神経過活動による海馬歯状回疑似未成熟化の分子機序の解明
Project/Area Number |
22K15204
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 46010:Neuroscience-general-related
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
村野 友幸 藤田医科大学, 医科学研究センター, 助教 (70887827)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Keywords | 神経科学 / 海馬 / 歯状回 |
Outline of Research at the Start |
マウスの海馬歯状回のオミクス解析(RNA-seq・ATAC-seq)に加え、公開データベースから取得したデータを活用し、大規模メタ解析を行う。バイオインフォマティクス解析から脱成熟状態に関わる遺伝子・分子群を推定し、脱成熟の原因分子の絞り込みを行う。 さらに、これらの標的に対し阻害薬剤投与やゲノム編集技術によるノックアウトを行い、脱成熟現象が阻害されるかを検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
海馬歯状回特異的に光感受性遺伝子・チャネルロドプシンを発現させたトランスジェニックマウスを作成し、光刺激によって神経過活動し、過活動による長期的な細胞性質の変化を引き起こすメカニズムについて調べた。まず、すでに取得してあった光刺激による神経過活動を誘導したマウスの海馬歯状回のオミクス解析(RNA-seq・ATAC-seq)のデータをGEO Accessionに公開した。次に、公開データベースから取得したデータを活用し、大規模メタ解析を行った。その結果、分裂細胞の有糸分裂期に特異的に発現する遺伝子が、神経細胞であるにもかかわらず有意に発現上昇していることが明らかになった。続いて、神経過活動が細胞核構造にも有糸分裂期様の変化を引き起こすかを調べた。神経過活動を繰り返し誘導した神経細胞では、核膜の破綻、ヒストンH3のリン酸化の亢進、ヘテロクロマチン領域の拡大などが観察された。これらの変化は、いずれも分裂細胞の有糸分裂期において細胞核で起きるものである。このことから、神経過活動が神経細胞の細胞核においても有糸分裂期様の変化を引き起こすことがわかった。 一般に有糸分裂期の開始は主にサイクリンB-CDK1によって誘導されると考えられている。そこで、遺伝子編集技術を用いてサイクリンBをノックアウトした状態で光刺激をおこなった。すると、光刺激を行っても有糸分裂期様の核構造の誘導が阻害されないことがわかった。また、神経過活動によるマウスの行動量の増加もサイクリンBのノックアウトによって阻害された。以上の結果から、サイクリンBの発現上昇とそれに引き続いて起こる有糸分裂期の擬似的な進行が、神経細胞におけるゲノム構造の変化をはじめとする長期持続する細胞性質の変化の分子メカニズムであることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスの準備が予定通り進まなかったため、一部の実験が完了していないが、概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに完了しなかった、遺伝子編集技術を用いた過活動によって誘導される表現型のレスキュー実験を完了させる。付随して、神経過活動が細胞死を誘導する可能性について検証する実験が必要となったため、これについても行う。また、カルシウム感受性蛍光タンパク質・GCaMPおよび光感受性遺伝子・ChrimsonRを用いて、神経活動をモニタリングしながら神経過活動を誘導することで、神経過活動が歯状回の細胞の集合活動に及ぼす影響について検証する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)