NMR緩和を活用したメソポーラスシリカから放出される薬物のin situ解析
Project/Area Number |
22K15261
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 47020:Pharmaceutical analytical chemistry and physicochemistry-related
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
岡田 康太郎 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 特命准教授 (70842962)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | シリカ / 水酸基密度 / 比表面積 / NMR / 緩和時間 / メソポーラスシリカ / 結晶性 / 溶出 / in situ |
Outline of Research at the Start |
薬物-メソポーラスシリカ複合体は、メソサイズの細孔(2-50 nm)に低分子の薬物を内包させた固形製剤であり、薬物の溶解性を著しく向上させるため、次世代の製剤として期待されている。しかし、内包された薬物の放出メカニズムを、その場(in situ)で解析した例はなく、その全容は解明されていない。そこで本研究では、時間領域-核磁気共鳴(TDNMR)法の応用で、薬物-メソポーラスシリカ複合体のNMR緩和を測定する。そして、測定したNMR緩和を活用して、メソポーラスシリカに内包された薬物の結晶形・吸着サイトが、放出プロセス中にどのように変化するかを、in situで解析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
薬物-メソポーラスシリカ複合体は、メソサイズの細孔(2-50 nm)に低分子の薬物を物理吸着させた固形製剤であり、薬物の溶解性を著しく向上させるため、次世代の製剤として期待されている。本研究では、NMR緩和の測定により、メソポーラスシリカに吸着された薬物が、吸着・放出プロセス中にどのように変化するかについて、in situで解析することを目指している。 本年度は、前年度に引き続き、薬物-シリカ複合体の作成およびキャラクタリゼーションを行った。非メソポーラス型のシリカをメソポーラスシリカの対照物質として取り扱った検討を行う中で、シリカに吸着した薬物の化学的な安定性を決定づけるシリカの物性値を見出した。 モデル薬物としてアセチルサリチル酸(ASA)を選択し、非メソポーラス型のシリカとして7種の市販品を用いた(アエロジルOX50、90G、130、200、カープレックス67、80、アドソリダー102)。最初に、各シリカの物性値として、比表面積(SSA)、水分、pH、および水酸基密度(NOH)を取得した。得られたNOHの値の妥当性を、時間領域NMR法により、シリカ表面の親水性を見積もることで検証したところ、NOHの値の妥当性が示された。次に、ASAをシリカに吸着させたASA吸着シリカを、溶媒法にて作成し、40℃で1週間保存した後の分解物量を、ASAの化学的安定性の指標とした。シリカの各物性値と、保存したASA吸着シリカにおける分解物量との散布図を作成したところ、SSAとNOHの積である、単位重量あたりの水酸基の数が、ASA吸着シリカを保存した際における、ASAの化学的安定性を決定づけることが明らかになった。この成果については取りまとめ、2024年にJ. Pharm. Biomed. Anal. 誌に受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度では、①薬物-メソポーラスシリカ複合体のキャラクタリゼーションを完了し、②懸濁状態でのNMR緩和の評価を行う予定であった。①キャラクタリゼーションについては、メソポーラスシリカの対照物質となる非メソポーラス型のシリカを用いて試料を作成した。作成した薬物-シリカ複合体のキャラクタリゼーションを行い、吸着した薬物であるアセチルサリチル酸(ASA)の化学的な安定性を決定づける、シリカの物性値を明らかにでき、一連の研究をまとめて、J. Pharm. Biomed. Anal. 誌に報告した。一方で、②懸濁状態でのNMR緩和の評価については、低磁場NMR装置(minispec mq20, 20 MHz)を用いてNMR緩和を測定したが、懸濁状態の薬物のシグナルを検出できず、難航している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、メソポーラスシリカに薬物が吸着・放出する過程のモニタリングを目的として、①メソポーラスシリカに薬物が吸着する過程、②薬物-メソポーラスシリカ複合体から薬物が放出される過程、に分けてNMR緩和の測定を行う。①吸着過程については、低磁場NMR装置(minispec mq20, 20 MHz)に温度可変ユニットを接続し、溶融法にて薬物をメソポーラスシリカに吸着させる。薬物とメソポーラスシリカを混合した試料を、薬物の融点付近まで加温し、薬物を溶融させた状態でNMR緩和を測定する。測定したNMR緩和を解析することで、薬物がメソポーラスシリカに吸着する過程をin situでモニタリングする。②放出過程については、低磁場NMR装置では、感度および分解能が低いため、より感度および分解能の高い、高磁場NMR装置(JNM-ECX500, 500 MHz)を用いた検討を行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)