植物由来ナノ粒子を用いた神経炎症に対する新規治療薬の開発
Project/Area Number |
22K15304
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 47050:Environmental and natural pharmaceutical resources-related
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
石田 智滉 高知大学, 医学部附属病院, 薬剤師 (90792010)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | エクソソーム / ナノ粒子 / Atractylodes lancea / Allium tuberosum / Zingiber officinale / 神経炎症 / BV2細胞 / ミクログリア / nanoparticle / 機能性食品 / Exosome / 薬用植物 / エクソソーム様ナノ粒子 / 薬物送達 |
Outline of Research at the Start |
本研究では先ず、薬用植物及び食品(果実や野菜)の中からExosome like nano-particles(ELNs)を抽出してライブラリーを作成する。次に、ライブラリーのELNsについて、in vitroでの抗炎症活性及び、マウスを用いた薬物動態試験での脳内移行性を指標にしてスクリーニングを行う。最終的に、スクリーニングで見いだされたELNsについて、神経炎症モデルマウスに対する有効性の評価を行い、神経炎症治療に応用できるELNsを見いだすことを目的とする。ELNsは薬理活性だけでなく、薬物送達の担体としても応用可能であり、本研究は中枢神経疾患に対する創薬を発展させると期待している。
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Outline of Annual Research Achievements |
神経炎症は外科的侵襲や微生物感染などが起因となり生じ、せん妄など一過性の認知機能障害やアルツハイマー病、うつ病などの慢性疾患に発展するため、神経炎症を改善する治療方法の開発が求められている。これに対して、最近の研究で植物由来Exosome like nanoparticle(以下ELNs)が、異種の細胞に対して薬理作用を発揮することが報告されている。さらに、ELNsの中には脳内に移行するものがいくつか報告されており、神経炎症の治療に応用できる可能性がある。本研究では、ELNsを応用した神経炎症治療の開発を目指した検討をしている。 まず、薬用植物及び食品(果実や野菜)の中からELNsを抽出し、lipopolysaccharideで刺激したマウスミクログリア由来BV2細胞に対する神経炎症抑制作用を指標にしてスクリーニングを行った。その結果、Atractylodes lanceaの根茎(蒼朮)、Allium tuberosum(ニラ)の地上部、Zingiber officinale(生姜)の根茎由来のELNsがLPS刺激BV2細胞の炎症性サイトカイン産生量を有意に低下させることが分かった。これらの成果については、学術論文として受理されている(J Pharm Pharmacol, 75, 1322-1331)。 さらに、動物モデルにおいてニラ由良ELNsが神経炎症抑制作用を発揮するか検討した。、LPSの腹腔内投与により神経炎症を惹起したマウスに対してニラ由来ELNsを経口投与し、神経炎症抑制作用及び、それに伴う認知機能障害改善作用について評価をした。その結果、ニラ由来ELNsをマウスに経口投与することで、標的部位である海馬の歯状回に到達し、神経炎症及びそれに伴う行動記憶障害を緩和することが示唆された。当該結果については、2023年度に開催された日本生薬学会第69年会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画では、2023年度までの2年間で薬用植物、食品(果実や野菜)からELNsを抽出してELNのライブラリーを作成し、その後、マウスミクログリア由来BV-2細胞を用いて、細胞内に到達し、抗炎症作用を発揮するELNsのスクリーニングを終了する計画になっていた。これに対して実際には、2023年度中旬までに当該計画を終了し、2024年度実施予定であるモデル動物を用いた検討を開始しているため、計画以上に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の研究成果より、複数のELNsに神経炎症抑制作用があることが示唆された。そこで2024年度は申請書の研究計画に沿って、ELNsの体内動態の評価を行う。具体的には、ELNsを蛍光色素(PKH26)で染色し、マウス(ICR)に経口及び尾静脈投与し、その後、経時的にin vivo imaging system(IVIS)でELNsの動態を観察することで、ELNsの脳内及び全身への移行性を確認する。 また、これまでの研究成果から見出したELNsには、複数のmiRNAが含まれることが分かった。これらの作用とその機序について明らかにするために検討を行っていく。具体的には、LPS刺激BV2細胞に対して、ELNs由来miRNAを導入し、炎症性サイトカイン産生量等への影響を評価する。さらに、miRNA導入後のBV2細胞よりRNAを抽出し、RNAシーケンスを行うことで、miRNA導入により変動した遺伝子を網羅的に解析する。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)