Project/Area Number |
22K15366
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 48020:Physiology-related
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
諸岡 七美 浜松医科大学, 医学部, 助教 (40817110)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Keywords | リンパ管 / 生体イメージング |
Outline of Research at the Start |
リンパ管は体の各組織において、水分調節や栄養供給および不要物回収のバランスを維持するために必須の脈管器官である。生体局所でのリンパ管の物質取り込み機構は、解剖学的な特徴やマクロの生理学研究によって推定がなされてきたが、生体で直接実証する研究はなされておらず、真の生理機能や物質回収のメカニズムは未解明のままである。そこで本研究では、最尖端の光イメージング技術を駆使して、生きた動物を非侵襲に観察しながらリンパ管に物質が取り込まれる様子を逐次捉えることに挑戦し、リンパ管による物質取り込みの場とそのメカニズムを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
生体におけるリンパ管を介した物質循環動態の直接計測を実施するため、前年度までに二光子励起顕微鏡を用いたリンパ管の生体イメージング法を確立した。生体局所に導入したトレーサー(TRITC-dextranなど)が間質からリンパ管内腔へ取り込まれる様子を、タイムラプスイメージングによって経時的に観察し、その拡散パターンの解析をおこなうことで、物質取り込み部位が明らかになりつつある。更に、物質取り込みのメカニズムにまで迫るためには、より詳細な時空間解析が必要であることから、令和5年度は高速画像取得を試み、リンパ管の径全体を含んだ立体的で且つ時間分解能も高い計測条件の検討をおこなった。また、取り込んだ物質が次の分節へと移動し、より中枢へと流れるさま、すなわちリンパ液の輸送過程を可視化することを目的に、より広範囲な視野でのタイムラプス観察条件の検討も行った。観察結果から、リンパ管内へと取り込まれたトレーサーの輸送が小区画ごとに制御されていることが示唆されたため、生体観察後に免疫染色によってリンパ弁を確認し、分節構造とリンパ液輸送との関係を考察した。また、リンパ管周囲の構造が取り込みに影響を及ぼすかを検討するため、リンパ管の基底膜構造と物質取り込み部位との関係を調べた。周囲を被覆する細胞については、平滑筋細胞だけでなく、ペリサイト等についても確認した。リンパ管の生体における機能部位と解剖学的特徴との関係を示した例はこれまでなく、生きた個体での機能実態の理解につながると期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで、血管から間質に漏出した物質がリンパ管内へと取り込まれる様子を模倣するため、血管内に蛍光トレーサーを導入し、光刺激によって末梢血管の一部を傷害してトレーサーを人工的に漏出させ、これがリンパ管内に取り込まれる様子をタイムラプスイメージングによって観察している。前年度までは光刺激の光源として可視光レーザーを使用していたが、これにより刺激点近傍の光褪色が生じ、観察中に当該部位のリンパ管構造が消失してしまう問題があった(Vegfr3-Gap43-Venus BAC Tgマウスを用いて可視化しているため、本来であれば外郭だけでなく、一つ一つの内皮細胞の区別が可能)。そこで、令和5年度は刺激レーザーを近赤外光に変更し刺激光の周囲への漏れこみを軽減させることで、リンパ管構造の褪色を避けた状態でのタイムラプス観察を可能とした。これに加え、高速画像取得条件の検討をおこなったことで(概要欄を参照)、微小循環におけるより詳細な物質動態の計測と解析をおこなう系を確立することが出来たと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのリンパ管の生体観察および機能部位における構造学的検討の結果から、末梢組織における物質取り込み部位やメカニズムについて、いくつかの仮説を立てることが出来た。今後は、新たに構築した観察手法を利用して、これらを検証していく計画である。
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