Project/Area Number |
22K15388
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 49010:Pathological biochemistry-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
本間 拓二郎 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (70743566)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | ChaC1 / グルタチオン / オキソプロリン / フェロトーシス / レドックスバランス / システイン |
Outline of Research at the Start |
グルタチオン(GSH)は活性酸素種の除去や生体異物の解毒に関与するトリペプチドで、生存や胚発生に必須である。その合成量はシステイン (Cys) の供給量に依存し、細胞内Cysが減少してGSHが枯渇すると過酸化脂質が蓄積し、新規細胞死・フェロトーシスを起こす。Cation transport regulator homolog (ChaC)ファミリーは細胞内におけるGSHの分解酵素で、ジペプチダーゼと協調的に働くことでCysの再利用に関係するものの、生体でのレドックスバランスの維持における役割は十分に明らかではない。本研究ではChaCファミリー遺伝子欠損マウスを樹立し、その病態生化学的検討を行うことで、ChaCファミリーの生理機能の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ゲノム編集によりChaCファミリーの遺伝子欠損マウスを作製し、その表現型を解析することで、GSH代謝におけるChaCの生体内機能を明らかにする。ChaC1欠損マウスに対する小胞体ストレス誘導剤やGSH枯渇ストレスの影響についても検討し、ChaCファミリーの欠損が各種病態に与える影響を明らかにするほか、ChaCファミリーの本来の生理機能を解明し、GSH再利用系の障害が各種病態に及ぼす影響を明らかにすることを目指している。今年度の研究では、ChaC1欠損マウスをゲノム編集により作成し、そのChaC1とCNDP2を介したGSH再利用系の障害がレドックスバランスに与える影響を詳細に検証した。最初に、ChaC1遺伝子のexon 1を標的としたガイドRNAおよびCas9ヌクレアーゼを受精卵に導入し、変異を導入した個体を生成した。電気泳動およびシーケンス解析の結果、異なる変異を持つゲノム編集マウスを複数得たが、これらは全てヘテロ欠損マウスであり、主要臓器を用いたウェスタンブロット解析ではChaC1タンパク質量に違いは認められなかった。その後、ヘテロ欠損個体同士を交配し、ChaC1ホモ欠損マウスを2つのラインで作成した。これらのマウスはChaC1遺伝子が完全に欠損しているにもかかわらず、正常に発生して生存可能であることが確認された。また、通常の飼育環境下で外観や行動に異常が見られず、生殖系にも影響を与えないことが確認された。ChaC1の活性の喪失を確認するために、飢餓ストレスを与えた上で腓腹筋を採取し、ChaC1酵素活性を測定した。野生型マウスでは飢餓によりオキソプロリン量が増加したことから、ChaC1発現誘導が示唆された。一方、ChaC1欠損マウスではオキソプロリン量に変化は認められず、ChaC1酵素活性が消失していることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の令和5年度の目標として、ChaC1欠損マウスがゲノム編集を用いて無事に樹立でき、酵素活性が消失していることが確認できたから。
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Strategy for Future Research Activity |
ChaC1欠損マウスの個体数を増やし、それらに剖検を施す。剖検では、肝臓ALT、腎臓BUN、心臓CPKなどの血液検査を行い、また、組織学的解析としてH&E染色を実施する。さらに、血中および主要臓器の代謝産物であるGSH、Cys、Cys-GlyなどをLC-MSで測定し、GSH代謝系に異常が見られるかどうか、および臓器間のクロストークへの影響を明らかにする。特に、ChaC1が恒常的に発現している膵臓や胃、ならびにChaC1が各種ストレスにより誘導することが分かっている筋肉を中心に解析する。もし全身での表現型が明確に認められない場合、ストレプトゾトシン誘発I型糖尿病モデルや急性腎障害モデル(虚血再灌流障害)を導入し、腎障害時におけるChaC1を介したGSHの保護作用を検討する。このようなアプローチにより、ChaC1の機能と様々な病態における役割を詳細に理解することを目指す。
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