細菌病原性発現を制御する「微細なpH応答機構」の解明
Project/Area Number |
22K15462
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 49050:Bacteriology-related
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
山中 幸 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (00760240)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 酸性 / pH / HdeD / LysR / Enterococcus faecalis / 細菌 / 病原性 / プロトン |
Outline of Research at the Start |
申請者はこれまでに大腸菌をモデルとして、中性付近の10倍以下のプロトン量変化に応答する膜タンパク質を発見した。本研究では、細菌のpH適応性と病原性発現の理解に向けて「微細なpH応答機構とシステムの普遍性」を解明する。結果として、細菌が大幅なpH変化だけでなく微細なプロトン量変化を感知し、細胞エネルギーの獲得と病原性発現に還元する過程が明らかになる。将来的に、細菌のpH適応性を利用した病原性を発揮させないための予防剤開発に応用展開できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
中性から酸性へのpH変化は、細菌の病原性発現を誘導するシグナルとして古くから普遍的に知られている。細菌は、中性pH 7.0を基準とした時に100から1000倍のプロトン量変化だけではなく、[1] 10倍程度の微細な量的変化に応答する仕組みがあること、そして[2]この機構が細菌病原性発現に関与する仕組みとして普遍的に存在する、という仮説から本研究立案に至った。2022年度は、微細なpH変化に応答する大腸菌膜タンパク質(HdeD)の精製を実施し、ヒト常在グラム陽性細菌Enterococcus faecalisのゲノム解析を行った。 まず、X線結晶構造解析によりプロトン応答機構を調べるため、Hisタグで精製可能な大腸菌HdeDを発現するプラスミドを構築した。このプラスミドを用いて、大腸菌細胞内でHis-HdeDの安定的な発現条件を決定した。今後の構造解析に向けて、結晶化のための量と質を保持したタンパク質を精製できると予想される。 次に、感知・伝達する機構の普遍性を証明するために、薬剤耐性化が問題となっているE. faecalisをモデル細菌として用いた。大腸菌HdeDは、LysRファミリーに属する転写因子lrhAの発現を制御する。ヒト口腔から単離されたE. faecalis E203株のゲノム配列を決定し、ホモロジー解析を行った。その結果、E. faecalis E203株ゲノムにはlrhAホモログ遺伝子が少なくとも8個存在することがわかった。さらに、これらの8個の候補遺伝子についてルシフェラーゼとのレポーター構築を進めた。今後、レポーター解析を実施することで、E. faecalisにおけるHdeDオーソログの探索が可能になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
項目1として「大腸菌膜タンパク質(HdeD)の結晶構造解析」を2022年度から2024年度で計画しており、該当年度ではタンパク質精製までを完了する予定であった。しかし、講座内に装備されている超遠心分離機が故障し、修理に時間がかかったため大腸菌内での発現条件の検討に留まった。修理の間、2023年度から2024年度に計画していた項目2「HdeDオーソログの探索」を先に進め、E. faecalis E203株で探索に必要なlrhAホモログ遺伝子の同定、およびレポーター遺伝子の構築に着手することができた。項目2が予定より進んでおり、項目1の遅れは2023年度に取り戻せると考えられる。以上のことから、研究全体としておおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は計画に沿って、以下のように研究を遂行する。 【項目1】 2022年度までにコンストラクトしたプラスミドでHis-HdeDが大腸菌内で安定的に発現すること、これが膜画分に存在することまで確認できた。2023年度は、大量培養を実施した上で、可溶化の検討および結晶化に十分な量かつ高純度のタンパク質を精製する。その後、結晶化解析を行っていく。 【項目2】計画どおりlrhAホモログ遺伝子のレポータープラスミドを使って、E. faecalis E203株におけるHdeDオーソログのスクリーニングを行なっていく。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)