Project/Area Number |
22K15485
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 49070:Immunology-related
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
木内 政宏 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (30823629)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
|
Keywords | 加齢性病原性ヘルパーT細胞 / エピゲノム不安定性 / Polycomb複合体 / Ezh2 / エピゲノム老化 / 病原性ヘルパーT細胞 / SASP / Cytotoxic CD4陽性T細胞 / 老化誘導性肺線維症 / H3K27Me3 |
Outline of Research at the Start |
細胞の老化は、臓器の機能低下を引き起こし、様々な疾患のリスクを上昇させる。近年、老化に伴う細胞レベルでのエピゲノム変化の蓄積が、病的な加齢性変化の起因となることが明らかになった。研究者は、これまで炎症性サイトカインを多量に産生する病原性ヘルパーT細胞が、老化マウスで特異的に出現することを見出した。そこで、本研究は、老化に伴うエピゲノム変化を“エピゲノム老化”として着目し、研究者が同定した病原性老化ヘルパーT細胞を用いた1細胞レベルでの網羅的エピゲノム・遺伝子発現量解析、超解像度顕微鏡による先端イメージング解析を通じて、エピゲノム老化による老化形質獲得形成機構の解明を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
細胞の老化は、臓器の機能低下を引き起こし、様々な疾患のリスクを上昇させる。近年、老化に伴う細胞レベルでのエピゲノム変化の蓄積が、病的な加齢性変化の原因となることが明らかになった。我々は、これまで炎症性サイトカインを多量に産生する病原性ヘルパーT細胞が、老化マウスで特異的に出現することを発見した。本研究は、老化に伴うエピゲノム変化を“エピゲノム老化”として着目し、研究者が同定した病原性老化ヘルパーT細胞を用いた1細胞レベルでの先端イメージング解析を通じて、エピゲノム老化による老化形質獲得形成機構の解明を行った。 その結果、老化マウスにおいて、アスペルギルス誘導性肺炎症を引き起こしたところ、若齢マウスと比較して、肺炎症が悪化し、通常若齢では起こらない肺胸膜側の線維化が認められた。この肺線維化は非常にヒトの加齢性の肺炎症に伴う線維化に酷似してた。また、これらの炎症および線維化は、T細胞が欠失したヌードマウスでは起こらないことから、T細胞を主体とした炎症であることが示唆された。そこで、T細胞特にCD4陽性T細胞のSingle cell RNA-seqを行い、病原性CD4陽性T細胞を同定した。その結果、従来のアスペルギルス炎症での主体であるTh2およびTh17細胞が検出されると共に、老化マウスでは細胞傷害性を有するCytotoxic CD4陽性T細胞が特異的に増加していた。さらに、老化マウスに見られるCytotoxic CD4陽性T細胞は、ヒストンH3K27me3を修飾するPolycomb複合体の修飾酵素であるEzh2の発現が有意に低下しており、Ezh2欠損CD4陽性T細胞の表現型を示すことが明らかにした。また、これらのゲノム不安定性により生じるCytotoxic CD4陽性T細胞は、慢性肺炎症において炎症の悪化に寄与することが明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、加齢に伴う肺炎症の悪化を明らかにし、その原因がT細胞の機能異常であることを明らかにした。また、1細胞レベルでの網羅的な遺伝子発現解析を通して、老化マウスに特異的に浸潤するCytotoxic CD4陽性T細胞を同定した。さらに、このCytotoxic CD4陽性T細胞が、エピゲノム修飾分子であるEzh2の発現低下を示し、加齢に伴うエピゲノムの不安定性が老化に伴う肺炎症に寄与することを発見した。これらのEzh2の機能低下によるエピゲノム不安定性は、CD4陽性T細胞において細胞傷害機能やSASPと呼ばれる炎症性サイトカインの増加を引き起こすことが示された。 以上の結果から、研究の進展は概ね順調であると考えられます。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、加齢によってCD4陽性T細胞がEzh2の機能低下などのエピゲノム不安定性を示すことが明らかになった。この加齢に関連するエピゲノムの不安定性をより詳細に理解するために、Single cell ATAC-seqを用いて、1細胞レベルでのエピゲノムのレギュロームを明らかにし、Polycomb複合体を含む広範なエピゲノム機能異常を同定を行う。 さらに、加齢に伴うエピゲノム異常を詳細に特定することで、それに対応するエピゲノム改変による加齢関連のエピゲノム機能異常の正常化方法を探求を行う。具体的には、低分子試薬やCrispr/dCas9などの遺伝子改変手法を用いて、特定のエピゲノム異常を改善する方法を検討する。
|