新規免疫治療標的やバイオマーカー同定のための胃癌腹膜播種の動的免疫微小環境の解析
Project/Area Number |
22K15586
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 50020:Tumor diagnostics and therapeutics-related
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山下 晃平 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (00867202)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 胃癌 / 腹膜播種 / 腹水 / 免疫微小環境 / サブクローン / 癌性腹水 / 腫瘍免疫 |
Outline of Research at the Start |
胃癌の予後向上のために胃癌腹膜播種の克服は喫緊の課題である。がん免疫療法は、新規治療として期待されており、胃癌腹膜播種特有の腫瘍免疫微小環境の解明が望まれる。本研究は、胃癌腹膜播種患者の癌性腹水を用い、治療誘導性の免疫関連因子の動態変化について網羅的解析を行い、機能解析や臨床検体で検証を行うことで治療誘導性免疫抑制因子を明らかにする。癌性腹水をLiquid biopsyとして用い、治療段階や病勢に応じた免疫治療バイオマーカーの同定や既存の治療薬と免疫療法の併用を含む戦略的免疫治療の確立を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、免疫チェックポイント阻害剤に代表される免疫治療が臨床試験での有効な治療成績を基に臨床応用されているが、胃癌の最多の転移形式である胃癌腹膜播種への治療効果は乏しく、胃癌腹膜播種特有の腫瘍免疫微小環境の解明が望まれる。本研究は、癌性腹水を利用し胃癌腹膜播種の免疫治療抵抗性に関わる因子の同定を目指している。 まず、免疫治療による胃癌腹膜播種の免疫プロファイルの経時的変化を同定するために、胃癌腹膜播種患者の免疫治療前後の癌性腹水を探索した。治療詳細を含む臨床情報から計31症例の適格症例を同定したが、その大半が免疫治療をごく短期間受けた後に死亡した症例であり、免疫治療による腹腔内の腫瘍免疫微小環境のリモデリングを十分に観察できない可能性が示唆された。そのため、同一患者の治療前後の比較ではなく、治療経過や採取時期の異なる患者の腹水検体を用いて、生物統計学的手法にて腹水がん細胞のサブクローン進化構造を解明する方針とした。このサブクローンは異なる遺伝子変異の組み合わせをもつ細胞集団でしばしば治療抵抗性と関連することが報告されており、治療効果や生存などの臨床情報と照らし合わせることで免疫治療抵抗性の解明に寄与することが期待される。 現在、パイロット研究として8症例の胃癌腹膜播種患者サンプルを全エクソームシークエンス(WES)、シングルセルRNAシークエンス(scRNA seq)へ提出し、生物統計学者との共同研究で解析を進めている。観察された変異をベースとし個々の細胞を細胞亜集団に分け、サブクローン進化の系統樹構築に着手している。現在得られた情報では、腹膜播種細胞においては分岐系統でなく線形系統のサブクローン進化を推定している。また、ごく限られた数ではあるが、癌細胞と骨髄系細胞の両方の特徴を有する細胞亜集団が同定され、胃癌腹膜播種の免疫微小環境との関連について検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初、免疫治療を受けた胃癌腹膜播種患者の癌性腹水をWESやscRNAseqに提出し、治療前後での単純な比較解析を行う方針であったが、臨床情報と照らし合わせると、十分な免疫治療を受けた症例が少なく、免疫治療抵抗性を評価する上で意義のある実質的な症例数が極めて少ないことが判明した。今後の免疫治療の適応拡大でさらなる症例の蓄積が期待されるが、現時点での治療前後での単純比較は症例数の観点から困難であると判断した。そこで、同一患者のWESとscRNAseqの組み合わせで、生物統計学的手法を用いた胃癌腹膜播種細胞のサブクローン進化に焦点を当てる方針へと変更した。免疫治療抵抗性に関連する因子の同定後に、in vitroやin vivoでの実証へつなげる予定であるが、現状、これらの方針変更のために進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
生物統計学的方法論を確立させ、胃癌腹膜播種細胞のサブクローン進化の系統樹の同定を行い、サブクローン特有の遺伝子変異や構造異常などを抽出し、臨床情報と照らし合わせて免疫治療抵抗性関連因子をピックアップし、in vitroやin vivoでの実証へつなげる。さらに、胃癌腹膜播種細胞のみならず、腹水中の免疫細胞にも焦点を当てており、胃癌腹膜播種の免疫微小環境のクロストークを明らかにする方針である。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)