Project/Area Number |
22K15833
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 52040:Radiological sciences-related
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
榎田 智弘 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医員 (60785583)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | Microbiome / 頭頸部癌 / 化学放射線治療 / 免疫チェックポイント阻害剤 / 微生物叢解析 |
Outline of Research at the Start |
局所進行頭頸部がんにおける化学放射線療法は根治治療の一つとして重要な役割を果たすが、本治療を完遂してもその半数以上が再発を来たし、その多くが緩和的薬物療法を要する状態に至る。また、同療法では口腔粘膜炎をはじめとする急性毒性が必発であり、時にそれは重篤となって治療継続の妨げにもなる。このような現状において、その効果や有害事象発生に影響を与えるものとして注目される生体内の微生物叢を詳細に把握することは、同疾患の予後と治療の安全性向上に寄与すると考えられる。本研究は、化学放射線治療を受ける頭頸部がん症例の口腔/糞便内微生物叢を網羅的に解析することで 実臨床への応用可能な知見を見出すことを提案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、頭頸部扁平上皮癌患者に対して実施される化学放射線治療(抗がん剤と放射線治療の同時併用療法)や全身薬物療法実施症例の臨床経過を通して口腔および腸内細菌叢を詳細に解析することにより、治療に随伴する有害事象や治療効果に与える影響を考察し、特に放射線治療分野での細菌叢解析の意義を検証することである。各種シークエンス技術の発展により、従来培養不可能な菌の検出まで可能となり、新たな菌種の発見や培養法での検出では得られなかった詳細な細菌叢解析が可能になってきたが、本研究では、上記治療に際して治療開始前および治療完了後を含む複数回渡り収取される検体について同解析を行うことで、細菌叢の微細な変化の同定やその臨床的意義についての考察を可能とする体制とした。ここでは、存在する細菌の遺伝子機能をより正確に推定し、真菌やウィルスといった同領域での解析が未だ不十分と考えられる微生物についても解析対象とすることが可能なショットガンゲノムシークエンスを採用した。並行して、微生物叢形成に重要な影響を与えると考えられる口腔内状況(齲歯や歯周病、一般的な衛生状況など)や胃粘膜保護剤、整腸剤/プロバイオティクス、抗菌剤/抗真菌剤の使用状況についても詳細に情報を収集する体制を整理し、これらと診療録ベースで収集される有害事象(感染症、放射線性粘膜炎、肺臓炎等)と治療効果(初期奏効、無病再発期間、全生存、その後に免疫チェックポイント阻害剤使用者はその奏効も含む)との関連性を上記微生物叢の特徴や推移を軸にして解析できるよう整えている。また、これら症例の対照となる健常者コホートとして、東北メディカル・メガバンク機構が唾液・歯垢等の生体試料を収集保管し、更に16Sリボソームによる口腔内細菌叢解析が行われた約1000人の同データについてアクセス、比較できる体制を構築した。。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた解析実施についての連携構築は達成され、直近半年の実績として50症例余の参加登録、検体数として140例余の唾液(一部糞便も同時採取)が得られており、症例集積/検体収集が安定して進行している。さらに現在保存液ベースと-80℃での凍結保存を併用しているが、東京大学との共同研究により遠心・抽出分画を検討することによりヒトゲノムを除き効率的に細菌・ウイルスのDNA配列解析を行う手法も確立しており、今後速やかに予定症例数の収集、DNA配列解析が可能な状態にある。
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Strategy for Future Research Activity |
検体収集は現行の収集ペースを維持しながら継続すると共に、順次抽出されたDNA を用いDNA シークエンスを行い、遺伝子機能アノテーション等の標準的手法による各時点での細菌種およびその他の真核生物やウィルスなどの同定、多様性評価を行う。合わせて、同時に収集される患者特性(口腔内所見など)や有害事象の発生状況、治療効果との関連 を考察し、同療法における安全性(有害事象)や有効性(治療効果)に影響する可能性の高い微生物叢を同定する。可能であれば抗生剤や菌移植などにより治療効 果を向上させるような新規治療コンセプトを提案する。
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