Project/Area Number |
22K15986
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 53010:Gastroenterology-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
屋嘉比 聖一 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (60909373)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
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Keywords | 過敏性腸症候群(IBS) / 下痢 / ストレス / 副腎皮質刺激放出因子(CRF) / 嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR) / 網羅的遺伝子発現解析 / 血管作動性腸管ペプチド(VIP) / 過敏性腸症候群 |
Outline of Research at the Start |
過敏性腸症候群(IBS)は人口の約15%の人が罹患しており、ストレス負荷により急激な下痢の発症をきたすが、この下痢の発症の機序については不明な点が多い。我々はIBSモデルラットにて、免疫組織学的に大腸の筋層だけでなく回腸の粘膜下層が活性化されていることを発見し、IBSの下痢の発症において腸管運動の亢進だけでなく、腸管分泌が関与している可能性を発見した。また我々の研究では回腸粘膜下層に存在するVIPが関与している可能性も発見した。本研究では、IBSモデルラットを用いて腸管の網羅的遺伝子発現解析を行い、ストレス下における下痢発症の分子機序に迫ると共に新たな治療法の開発へとつながることを目的とした。
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Outline of Annual Research Achievements |
過敏性腸症候群(IBS)における下痢発症の機序についてラットを用いて検証した。今回我々は、ラットにストレスをかける代わりに副腎皮質刺激放出因子(CRF)を腹腔内投与(IP)し、下痢を誘発することとした。初めに、ラットに下痢を起こす至適容量を確認して、既報と同様にCRF(10μg/kg)で良好な下痢の出現を認めた。また、既報と同様にCRF投与後60分で良好な排便を認めたため、CRF投与群とコントロール群各々から4匹づつ回腸末端を摘出し、網羅的遺伝子発現解析を行った。これらの結果として、水分泌に関与する項目について有意な差を認めた。我々はIBSの下痢発症のメカニズニムにおいて、CRFとVIPとの関連を報告しており、VIPと嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)の関連を示唆してしている報告もあるため、水分泌に関与するチャンネルの一つとしてCFTRに着目した。CFTR-inhなどを用いてCRFにより誘発される排便や下痢の発症が抑制できるか検証した。しかしながら、これらinhibitorをラットに用いた既報はあまりなく、投与のタイミングや方法や容量などについて検証する必要があり、既報を参考に様々な投与時間や投与容量を検証した。試薬の溶解のしづらさなどもあり濃度を含めた溶解方法などについても検証している。また、今回使用している試薬はDMSOで溶解したため、DMSO自体のラットへの影響を検証する必要があり、実際に種々の濃度や容量での検証を行い、ラットへの影響がないことを確認し、実際のCFTR-inh投与を行なった。これらの結果より一定の結果は得ているが、VIP-antagonistを用いた時ほどのクリアーの結果は得ておらず、更なる追加実験による検証やCFTR以外の水分子の関連なども含めて検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験で使用している試薬の在庫が国内になく、海外からの取り寄せとなっており、コロナ感染の流行や、ウクライナ侵攻などの影響により、試薬の入荷に時間を要する時期があったため、実験の開始などが遅れていたが、その後試薬は手に入るようになり、実験自体は進んでいる。しかしながら、実際に試薬を溶解する際に、既報で用いられた方法や添付文章通りの方法で溶解してもなかなか溶解された状態を維持するのが難しく、ラットに投与しても吸収されず、腹腔内に残ってしまっていることもあり、溶解濃度を変更したり、投与時間などを変更したりして検証することとなり、当初の予定より予想される範囲内ではあるが少し進行が遅れていると考えている。また、溶解の問題だけでなく、実際にどの程度の容量を投与すると効果があるのかの既報があまりないため、様々な濃度での実験をすることになっており、予想される範囲内ではあるが若干の遅れを生じていると考えている。当初予想していた程のクリアーな結果が出ていない部分もあり、現在でている結果の解析と並行して、他の関連因子との因果関係についても今後行なって行く予定であり、 今年度中には予定した部分までの結果を出すことは可能であると考えております。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究では、CFTR-inhの溶解や投与量や投与時間などで当初予想していた通りの結果がなかなか出ずに苦労しているが、異なる条件で何回か実験を行なっ たことにより、この問題点については解決されつつある。この条件の確認および修正などにより現在若干の遅れが生じているが、今後は更なる実験を追加して行う予定である。また、現在、出ている結果ではCFTRの関与が示唆される結果は出てはいるが、以前に我々が報告したVIPの関与と比較すると、CFTRがIBSの下痢の発症において果たしている役割は少ない可能性がある結果となっている。今回我々が行なった網羅的遺伝子発現解析では水分子の関与を示唆する結果が出ており、CFTR以外の水分分泌に関与する因子がより強く関与している可能性もあり、今後それらについても遺伝子発現以外の方法で更なる検討をしていく必要があると考えており、行なって行く予定である。
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