Project/Area Number |
22K16120
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 53020:Cardiology-related
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮澤 一雄 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 訪問研究員 (10843609)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 心房細動 / ゲノムワイド関連解析 / マルチオミックス解析 / 精密化医療 |
Outline of Research at the Start |
疾患の遺伝構造は民族間で異なることが知られている。しかし、心房細動のゲノム研究の多くはヨーロッパ人を中心に解析されているため、非ヨーロッパ人での遺伝構造は十分に解明されていない。本研究は日本で最大規模であるバイオバンクジャパンのデータを解析することで、疾患に関連する民族特異的な遺伝子多型を同定する。そしてエピゲノムやトランスクリプトームなどのデータと統合したマルチオミックス解析を行うことで、より詳細な疾患の病態生理を明らかにする。更に、これらの結果を実際の臨床医療に応用するため、ゲノム情報に基づいた疾患の層別化や新しいゲノム創薬へと繋げることで、心房細動の精密化医療の実現を進める。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の初年度では、解析に用いるデータセットの構築とそれを用いた疾患関連解析であった。データセットに関しては、理化学研究所生命医科学研究 センターが所有する約27万人のバイオバンクジャパンのデータから、本研究で取り扱う心房細動のサンプルと比較を行うためのコントロールのサンプルデータを抽出した。疾患との関連を調べるゲノムワイド関連解析を行うにあたり、サンプルデータのクオリティーチェックを行い、最終的に15,618 人の心房細動のケースと200,230人のコントロールを対象にゲノムワイド関連解析へ進めることとした。次に、解析で用いるジェノタイピングデータの情報量(解像度)を向上させるため、 ジェノタイピングされていない欠損データを、外部のシークエンスデータを利用して統計学的に推測し補完するインピュテーションの方法を実施した。これにより、アレル頻度が1%未満の遺伝子多型(バリアント)を含めた12,327,698個のゲノムデータを構築した。このたデータセットを用いて心房細動のゲノムワイド関連解析を実施し、心房細動の発症と関連する49の疾患感受性領域を同定することができ、そのうち3つの領域はこれまで報告のない新規の領域であった。さらに、この結果を欧米人のゲノムワイド関連解析の結果と統合した民族横断的メタ解析を行うことで、116,532人の心房細動ケースと1,338,446のコントロールサンプルを対象とした大規模なゲノムワイド関連解析を実現し、その結果統計学的に有意となる疾患感受性領域を223まで増やすことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、解析に用いるサンプルの抽出とそのゲノムデータの構築、さらにそのデータを用いた疾患関連解析を予定していた。特にサンプルの抽出とそのゲノムデータの構築は、その後の解析結果に大きな影響を与えるため、時間をかけて慎重に行なった。これに関しては、同様の解析を行なっている論文等を参考にし て、さらに研究室内のメンバーや上司と結果の共有しディスカッションを重ねた。約半年ほどのデータチェックを行い、最終的に解析に適したデータセットの構築が行えた。そして、このデータセットを用いて疾患とゲノムの関連解析へと進むことができた。得られたゲノムデータと疾患との関連を調べたゲノムワイド関連解析では、すでに疾患との関連が報告されている疾患感受性領域の同定ができており、解析結果に明らかなバイアスがないことを確認しており、これらはデー タのクオリティーに問題がないことを示している。関連解析においては、非常に多くのデータ量を使用し、さらに非常に多くの計算を行う必要があるため、研究費は解析に必要な機器の購入やサーバー管理費に使用している。またこれらの解析を行うにあたって、適切な解析ソフトウェアを選択し、またその結果の解釈についても研究室内のメンバーで十分検討した上で解析を進めている。現状では既存の報告に加えて、これまでに報告のない新規の疾患感受性領域も同定できていることから、同定した新規領域の 機能解析へ進めることができ、初年度の計画から次年度へとつなげることができ、進捗状況としては研究計画通りに進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度で得られた結果は、解析に用いるデータセットの構築に加えて、疾患と関連する疾患感受性領域の同定が主であった。しかし、領域内にある遺伝子多型 (バリアント)は全てが疾患と関連しているわけではないため、次年度ではそれらのバリアントの機能を明らかにし、疾患との詳細な関係を調べていく。実際には、これまでの報告でも心房細動と関連するバリアントは遺伝子を直接コードしないノンコーディング領域に多く集積していることが知られているため、これらのバ リアントは遺伝子発現の調節に関わる転写因子に影響を与えることが示唆される。そこで、遺伝子発現に関する公共のデータベースを利用して、各バリアントが どの転写因子に関与するかを調べていく。それにより、同定されたバリアントの中で、どのバリアントが疾患発症に重要であるかを評価する。これに関しては、共同研究機関でのデータベースも利用し、より詳細な機能解析を行なっていく。そのため、共同研究機関とデータの共有を行い、慎重にディスカッションを重ねていく予定である。さらに、近年ゲノムワイド関連解析の研究で注目されているポリジェニックリスクスコアについても調べていく。ポリジェニックリスクスコアはゲノムワイド関連解析の結果を利用して算出され、疾患の発症予測に有用であることが知られている。さらにバイオバンクジャパンでは心房細動に関連する 臨床アウトカム(心不全や脳梗塞など)の経時的データもあるため、これらのデータとポリジェニックスコアの関連についても同様に調べていく予定である。
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