Project/Area Number |
22K16140
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 53020:Cardiology-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮内 俊介 広島大学, 保健管理センター, 助教 (30910799)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 左心耳血栓 / 心房細動 / 心房心筋症 / 心原性脳塞栓症 / 線維化 / 内皮障害 / アミロイド / トランスサイレチン / 左心耳 |
Outline of Research at the Start |
心房細動患者は心原性脳塞栓症発症リスクが健常者の約5倍とされ、塞栓源の多くは左心房の一部で盲端状の左心耳に形成した血栓とされる。左心耳血栓形成の分子生物学的機序は解明されていない。広島大学病院は胸腔鏡補助下左心耳切除術の国内で数少ない実施施設となり、手術により切除した左心耳血栓患者の左心耳組織を研究試料として利用可能となった。本研究は心臓手術中に切除した左心耳組織を用い、RNA sequencing手法による遺伝子発現の変化、16S rRNA解析手法による感染細菌叢の網羅的解析および、左心耳組織の病理組織学的解析などを実施し、心房細動患者における左心耳血栓形成機序を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
左心耳血栓形成に関する組織学的エビデンスが十分に明らかにされていない。我々は左心耳局所で血栓形成に関与するVirchowの3徴に関わる因子として、左心耳壁の線維化と心内膜内皮障害に着目した。これまでに確立された心内膜内皮障害の定量化手法はないが、研究の中で健常な内皮細胞に発現するCD31に対する免疫組織化学染色および、解析用ソフトウェアを用いた心内膜内皮障害の定量化手法を確立した。病理組織学的な検討により、左心耳血栓症例では非血栓症例と比較して左心耳壁の線維化および、心内膜内皮障害が進行していることを明かにした。また、心原性脳塞栓症の予測スコアとして確立されているCHADS2スコアが実際に左心耳組織の線維化、心内膜内皮障害の重症度と相関していることを明かにした(Miyauchi S, et al. JACC Clin Electrophysiol. 2023;9:1158-1168)。また、左心耳壁の線維化と心内膜内皮障害は発作性心房細動の段階では進行しておらず、持続性心房細動、左心耳血栓症発症に至る過程で進行することは心房心筋症の臨床経過と関連付けて明らかにした。さらに、左心耳壁へのアミロイド沈着と血栓形成の関連に着目し左心房壁へのトランスサイレチン(プレアルブミン)沈着を組織学的に検討し、左心耳血栓症例では非血栓症例と比較してトランスサイレチンの陽性率が高いことを示唆するデータを得た。心房細動に起因する脳梗塞、心不全による健康寿命の毀損が社会的問題となっており、心房心筋症の概念が着目されているが、これまでの成果は心房心筋症を議論する上で重要な基礎的組織学的エビデンスとなるものと考える。加えて、心筋組織からの効率的なDNA/RNA抽出手法を確立した。少数症例の左心耳血栓症例と非血栓症例でRNA sequensingを実施し、結果について現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
線維化、内皮障害に着目した組織学的検討は概ね終了し、査読付き英文誌に掲載済みである。アミロイド沈着と左心耳血栓形成との関連については追加の検討が必要であるが、本年度までの研究で左心耳壁へのアミロイド沈着と血栓形成の関連を示すデータを得ており、研究期間内の解析完了を見込む。左心耳組織を用いたRNA sequencingについては現在解析段階である。左心耳組織の細菌叢解析については少数例で検討したが、手法を含めてさらなる検討が必要な状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
左心耳壁に沈着するアミロイドの同定、定量化を実施し、心房細動から左心耳血栓発症に至る心房心筋症の経過におけるアミロイドの役割を組織学的に明かにする。また、左心耳血栓症例、非血栓症例におけるRNA sequencingの解析を完了し、有意な遺伝子についてrealtime PCR法で組織での発現を検証する。アミロイド沈着に関する検討、RNA sequencingについては研究期間内の解析完了を目標とする。
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