肺幹細胞の形質異常から見えてくる間質性肺炎合併肺癌における発癌機序
Project/Area Number |
22K16192
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 53030:Respiratory medicine-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池尾 聡 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (60918267)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | 幹細胞 / 間質性肺炎 / 肺癌 |
Outline of Research at the Start |
間質性肺炎は難治性呼吸器疾患であるとともに、高率に肺癌を合併する。しかし、合併症が多いため肺癌治療に難渋することが多く、肺癌発症予防へのメディカルニーズは高い。本研究の目的は、間質性肺炎患者の肺癌発症予防を目指して、肺の慢性炎症である間質性肺炎からの発癌機序を解明することである。臨床検体から得た正常細胞、慢性炎症細胞、肺癌細胞の3つの部位を幹細胞の形質異常という観点から解析し、発癌に重要なバイオマーカーやシグナル経路を明らかにする。その結果を過去の臨床検体や肺オルガノイドで検証する。本研究は間質性肺炎患者の発癌予防に向けた新規創薬研究に寄与すると考えられる。
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Outline of Annual Research Achievements |
慢性炎症と発癌の関連は古くから指摘されている。近年、発生学をモチーフとして幹細胞学が発展してきており、様々な組織において、発生や再生の中心となる組織幹細胞が同定されている。本研究は慢性炎症と癌に幹細胞学観点を組み入れ、新たな発癌メカニズムを見出すことを目的としている。特に、肺の慢性炎症である間質性肺炎にフォーカスした研究を予定している。 臨床検体のオミックス解析によるバイオマーカー・シグナル経路同定を行うため、まず現在承認されている臨床研究について変更申請を行った。今後は臨床検体採取に協力いただく施設を選定してゆく予定である。また、慢性炎症と発癌の関連というテーマから、肺炎症と肺癌を合併した患者について症例報告を行った。本症例では、薬剤性肺障害と呼ばれる間質性肺炎の一種の合併が疑われ、正確な機序は不明ではあるものの、何らかの肺胞上細胞ダメージを来したと考えられる症例であった。 さらに、過去の臨床検体を用いて、同一患者における正常組織肺領域と間質性肺炎領域、肺癌領域で染色評価を行う予定である。幹細胞学視点からの研究として、この染色評価に適した幹細胞マーカーの策定を行った。実臨床において肺癌の予後因子として広く知られるTTF-1は別名NKX2.1と呼ばれる肺発生におけるマスター転写因子である。その他、近年肺発生におけるlung budと呼ばれる遠位端部分に発現している、SOX9やSOX2も重要なマーカーである。その他にも近年報告がなされている肺における幹細胞マーカーを選定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年6-10月のCOVID-19の第7波の影響で研究者の勤務する病院では院内クラスターによる病棟閉鎖があり、臨床検体採取体制の構築計画に遅れが出ている。一方で、過去の検体を用いた研究については、呼吸器内科を受診した肺癌・間質性肺炎合併患者の抽出を行い、組織切片スライドの有無について確認した。染色に用いるマーカーは上記のごとく幹細胞マーカーを選定しており、順次抗体の購入を進めている。 以上の経過はおおむね当初の年次計画に沿って進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のごとく選定したNKX2.1、SOX9、SOX2などの肺の組織幹細胞マーカーを用いて、正常領域、間質性肺炎などの炎症領域、肺癌領域の各領域について同一患者において免疫組織化学染色を行う。発現量や分布の違いなどに着目することで、それぞれの領域毎の幹細胞マーカーの発現について検討する。臨床検体サンプルを生細胞のまま回収できる体制を構築する。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)