Project/Area Number |
22K16216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 53040:Nephrology-related
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
田川 安都子 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (20777841)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | ポドサイト / ミトコンドリア / オルガネラ / 糖尿病性腎症 / 蛋白尿 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、DRP-1遺伝子に制御されるポドサイトにおけるミトコンドリアダイナミクスが、糖尿病性腎症の治療標的になりえるか、そして、糸球体内皮細胞障害とポドサイト内ストレス応答機構の破綻という、糖尿病性腎症の悪化における「Two-hit theory」の証明を目指すものであり、その成果は今後の糖尿病性腎症研究における新たな方向性を示す可能性を秘めている。
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Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病性腎臓病の予後改善ため、蛋白尿を引き起こす血管内皮障害からポドサイト障害への進行メカニズムの解明が急務です。この研究では、糖尿病性腎臓病における蛋白尿の病因として、ポドサイトにおけるミトコンドリアの分裂を調節するダイナミン関連タンパク質1(Drp1)の役割を検討した。非糖尿病マウスにおいて、ノイラミニダーゼ投与による糸球体内皮糖カルコックスの除去は、ポドサイト障害を伴わない微量アルブミン尿を惹起し、ポドサイトでのDrp1発現の減少を伴うミトコンドリア伸長が生じました。一方、ストレプトゾトシン誘発糖尿病状態では、ノイラミニダーゼ投与によりポドサイト障害とアルブミン尿の増加が生じ、そこにはポドサイトでのDrp1発現増加とミトコンドリア分裂の増強が伴なっていました。細胞培養実験では、アルブミン刺激がDrp1の発現を減少させミトコンドリアを伸長させる一方で、高糖濃度によりアルブミン関連のミトコンドリアダイナミクスの変化を抑制し、アポトーシスを引き起こしました。さらに、ポドサイト特異的Drp1欠損マウスは、糖尿病関連のポドサイト障害の悪化とノイラミニダーゼ誘発のアルブミン尿増加を予防した。これらの結果は、内皮機能不全によるアルブミンの暴露がポドサイト障害の一因であり、ポドサイトでのミトコンドリア分裂の抑制は、糖尿病状態下で障害されるアルブミン刺激に対する細胞保護メカニズムである可能性が示された。糖尿病における蛋白尿減少を目的とした新たな治療戦略として、ポドサイトでのミトコンドリア分裂の抑制の可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスモデルの解析が進み、また新たな標的としてミトコンドリアのメンテナンスに必要なオートファジー・リソソーム系との関わりが見出されている。
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Strategy for Future Research Activity |
実験1. 内皮機能的障害に対するポドサイトDRP-1欠損の影響の検証:内皮機能障害モデル(NO産生不全)として全身eNOS欠損マウスを使用する。ポドサイト特異的DRP1-全身eNOSダブル欠損マウスを作製し、糖尿病、非糖尿病条件でのポドサイト内ミトコンドリア形態の観察、腎表現形を検討し、内皮NO産生不全に対するポドサイト内ミトコンドリアダイナミクスの意義を解明する。 実験2. 内皮構造的障害に対するポドサイトDRP-1欠損の影響の検証:内皮構造的障害(グリコカリックス消失)を起こすノイラミニダーゼの尾静脈投与により、一過性のアルブミン尿が出現することを確認している。この方法でマウスに尿アルブミン漏出を起こし、ポドサイト内のミトコンドリアが伸長するか、STZによる短期高血糖でこれらの現象が阻害され、アルブミン尿の増悪が生じるかを検証する。もしこれらの事象が生じる場合には、ポドサイト特異的DRP-1欠損マウスでその増悪が改善されるかを検討する。 実験3. オートファジー不全によるポドサイト障害悪化に対するDRP-1欠損の影響の検証:申請者はポドサイト特異的オートファジー(Atg5遺伝子)欠損マウスがリソソーム機能不全を介して糖尿病に伴うアルブミン尿増加を招くことを報告している。そこで、ポドサイト特異的TFEB-DRP-1ダブル欠損マウスを作製し、糖尿病状態での腎表現系を検証し、オートファジー・リソソーム不全状態でも、機能的に不十分なミトコンドリア領域の相互補完を促進することで、ポドサイト障害の増悪が抑制できるかを解明する。
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