皮膚T細胞性リンパ腫における紫外線療法の免疫学的メカニズムの解明
Project/Area Number |
22K16275
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 53050:Dermatology-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
古舘 禎騎 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (90781279)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 菌状息肉症 / CTCL / M2マクロファージ / 紫外線 / FICZ / 血管新生因子 / 皮膚悪性リンパ腫 / TAMs / 紫外線療法 |
Outline of Research at the Start |
これまで我々は、紫外線により皮膚で誘導されるAhRの一つであるFICZが、ヒト表皮ケラチノサイトからのIL-17関連因子を増幅し、上皮系皮膚悪性腫瘍の進展に関与することを明らかにしてきた。IL-17は皮膚の抗菌ペプチドであるLL37の樹状細胞やマクロファージなど単球由来細胞で上昇すること、LL37は抗原提示細胞における自己抗原の取り込みを増加することが知られている。以上の観点から、本研究は早期と進行期CTCLにおける紫外線の役割を、AhRリガンドにより誘導される免疫反応をTAMs中心に解析し、紫外線が早期および進行期CTCL進行に与える影響をTAMs中心に解析することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は初めにin vitroで紫外線のM2マクロファージの極性に与える影響を、紫外線で誘導される表皮トリプトファン代謝物である6-Formylindo(3,2b)carbazole(FICZ)で検証するため、FICZの至適濃度の検証を行った。その結果、単球由来M2マクロファージをin vitroで刺激するにあたり、1 n mol/mlが至適濃度であることが明らかとなった。次に、FICZのM2マクロファージに与える影響をTh1ケモカイン(CXCL9, CXCL10, CXCL11)、Th2/Treg関連ケモカイン(CCL17, CCL22)、Th17関連ケモカイン(CCL20)、単球関連ケモカイン(CXCL5)と、血管新生関連因子(PAI-1, MMP-2, MMP-9, VEGF-A, VEGF-C)を検証した。その結果、ケモカインではTh2ケモカインであるCCL22を抑制することが明らかとなった。一方、血管新生因子ではPAI-1、MMP-9が上昇することが示唆された。我々は、CCL22がCTCL進行期のバイオマーカーとして以前報告している(Tanita et al. Front Oncol 2019)が、CTCLにおけるPAI-1、MMP-9の腫瘍進行に関わる役割は未だ不明である。PAI-1はメラノーマや血管肉腫など皮膚癌を含む多くの癌腫において予後不良因子として知られており、CTCLでも疾患進行に関与するバイオマーカーである可能性がある。そこで、CTCL患者血清中のケモカイン、血管新生因子を検証したところ、腫瘤形成期では扁平浸潤期までの菌状息肉症に比べて統計学的優位にPAI-1、MMP-2、MMP-9が上昇していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度はM2マクロファージの刺激因子としてFICZの至適濃度が、1 n mol/mlであることを明らかにした。続いてM2マクロファージを同濃度の紫外線代謝物FICZで刺激したところ、ケモカインではTh2ケモカインであるCCL22を抑制すること、血管新生因子ではPAI-1、MMP-9が上昇することが示唆された。また、当該年度には当初予定していた一連の免疫染色の手技確立を行い、当初予定していたIL-17, IL-23p19, IL-36g, CCL19, CCL20, CCL21, CCL22, CXCL10, LL-37の全ての項目において、適切な抗体の決定と抗原賦活法を確立した。同時に菌状息肉症の組織内にPAI-1陽性の腫瘍細胞、腫瘍随伴性マクロファージが存在することを見出した。また、CTCL患者血清中の一連のマーカーをケモカイン、血管新生因子を検証したところ、腫瘤形成期では扁平浸潤期までの菌状息肉症に比べて統計学的優位にPAI-1、MMP-2、MMP-9が上昇していることが明らかとなったため、これらの血管新生因子が菌状息肉症において腫瘤期進行に関与することが推測された。そのため、現在、ヒトCTCL細胞株であるHUT-78と単球由来M2マクロファージを用いて、PAI-1刺激による腫瘍細胞側反応と間質細胞側の血管新生因子に与える影響を検証しており、当初の研究計画を超えた進捗を認める。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の当該研究により、1) FICZのマクロファージへの免疫学的影響・血管新生因子に与える影響を検討するための至適濃度の決定、2)当初予定していた一連の免疫染色の手技確立、3)CTCLで血管新生因子の腫瘍細胞および間質細胞に与える影響を検証する方法、を確立した。今後は、AhRリガンドであるFICZに加えてマラセチア代謝物であるindirubinとtryptanthrinを用いて、菌状息肉症における外的因子が腫瘍の進捗に与える影響を総合的に評価する。また、免疫染色法が確立されたため、血清データから菌状息肉症の進行、予後との関連が示唆された因子であるCCL22、PAI-1、MMP-9を中心に検証する。さらにすでに確立しているEL-4マウスCTCLモデルを用いて、紫外線照射のこれら血管新生因子への影響をin vivoで検証する。さらに腫瘤期の紫外線療法の効果を検証するため、紫外線照射のマウスEL-4腫瘍増殖への影響をin vivoで解析する。さらに、PAI-1の腫瘍随伴性マクロファージとCTCL細胞に与える影響を解析することにより、菌状息肉症の予後関連因子であるPAI-1の腫瘍微小環境に与える影響を血管新生因子中心に解析し、これらの因子が実際に腫瘍血管新生に機能的に関わるかを、HUVEC内皮細胞三次元培養システムを用いて検証する。以上の項目を総合的に解析し、当初の目的である菌状息肉症の斑状局面期から腫瘍期への以降に関与する因子を解明することにより、進行期菌状息肉症の新規治療薬および新規治療法の開発に将来的につなげることを当該年度の目標とする。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Cutaneous angiosarcoma treated with taxane-based chemoradiotherapy: A multicenter study of 90 Japanese cases.2023
Author(s)
Fujimura T, Furudate S, Maekawa T, Kato H, Ito T, Matsushita S, Yoshino K, Hashimoto A, Muto Y, Ohuchi K, Amagai R, Kambayashi Y, Fujisawa Y.
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Journal Title
Skin Health and Disease
Volume: 3
Issue: 1
DOI
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Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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