Project/Area Number |
22K16283
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 53050:Dermatology-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 由香 九州大学, 大学病院, 学術研究員 (00746464)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 抗体薬物複合体 / 皮膚悪性腫瘍 / 標的分子 / マイクロアレイ |
Outline of Research at the Start |
近年、がん細胞を見つける目印になるようなタンパク質など(=標的)を狙って作用する「分子標的薬」の開発が活発に行われ、その効果が確認されてきている。この本研究では、皮膚がんの治療に応用できるような「標的」を見つけ出し、それに対する新しい種類の分子標的薬(抗体薬物複合体)を作製する方法を確立する。また、作製した薬剤が皮膚がん細胞の増殖を抑制できるか検証して、この手法が有用であることを確認する。
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Outline of Annual Research Achievements |
抗体薬物複合体は近年着目されている新たな作用機序の分子標的薬である。様々ながん腫に対して多様な分子を標的とした抗体薬物複合体が開発されているが、皮膚がん治療における知見はいまだ少ない。また、研究用として利用できる抗体薬物複合体も限られていることが関連する研究の促進を妨げている。そこで本研究では、皮膚がんに対する分子標的治療に応用可能な標的分子の同定と、それに対する抗体薬物複合体の作製法を確立してその有効性を検証することを目的としている。 令和5年度は主に、正常皮膚細胞と皮膚がん細胞を用いたマイクロアレイ解析より選出した候補分子の解析と、抗体薬物複合体の作製・検証を行った。特に、正常細胞に比較して皮膚がん細胞(メラノーマ)で優位に発現が高く、かつ細胞膜に局在・強発現していたことから、MCAMを候補因子とした。メラノーマ細胞でMCAMの発現を抑制したところ生細胞数の有意な減少とcyclin D1, BCL2の発現低下が確認され、MCAMがメラノーマ細胞において高発現しているだけではなく、細胞増殖・アポトーシスの調整に関与している可能性が示唆された。また、抗体薬物複合体の作製に関して、入手可能な抗MCAM抗体の量が限られており抗体薬物複合体作製条件の検討には不十分であったため、抗MCAM抗体よりは入手可能な量が多く、すでに実用化されている抗体薬物複合体(enfortumab vedotin)を構成するenfortumab(NECTIN4に対する抗体)と抗がん剤(MMAE)を用いて抗体薬物複合体の作製方法を検討した。作製した抗体薬物複合体を細胞株に添加して効果を検証したところ、生細胞数を有意に減少させることが確認された。この作製条件を参考に、抗MCAM抗体を対象とした抗体薬物複合体の作製にも着手する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの検証で標的分子として同定したMCAMに関して、入手可能な抗体量が限られており抗体薬物複合体作製条件の検討には不十分であったため、抗MCAM抗体よりは入手可能な量が多く、すでに抗体薬物複合体として実用化されているenfortumab vedotinを構成する抗体(enfortumab、NECTIN4に対する抗体)と抗がん剤(MMAE, vedotin)を用いて抗体薬物複合体の作製方法を検討した。また、当初高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による抗体薬物複合体の評価を計画していたが、最終産物(抗体薬物複合体)の収量がHPLCを実施するには不十分であった。そのため、吸光度の測定による方法を採用して評価した。NECTIN4を発現する細胞株に作製した抗体薬物複合体を添加して効果を検証したところ、生細胞数を有意に減少させることを確認している。Enfortumabを用いて検証した作製条件を参考に、抗MCAM抗体を対象とした抗体薬物複合体の作製にも着手する。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、これまでに同定した標的分子MCAMの発現・機能の評価を継続するとともに、Enfortumabを用いて検証した作製条件を参考にしてMCAMに対する抗体薬物複合体の作製条件を検討する。また、作製した抗体薬物複合体を正常及び皮膚がん細胞株に添加培養し、生細胞数、アポトーシスの状態を評価する。また、siRNAによりMCAMの発現を低下させた皮膚がん細胞株に抗体薬物複合体を添加培養し、その効果がキャンセルされることを確認して、抗体薬物複合体の効果の特異性を評価する。
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