膜の無い構造体における蛋白質-RNA相互作用の役割の解明
Project/Area Number |
22K16319
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 54010:Hematology and medical oncology-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 圭太 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (70899301)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | CRISPR/Cas13 / 膜の無い構造体 / BiFC / NanoBiT / split-TurboID |
Outline of Research at the Start |
細胞内には複数の蛋白質と核酸によって形成される膜の無い構造体(MOs: Membraneles Organelles)が多数存在している。MOsは細胞内で様々な機能を有していると考えられるが、その生物学的役割の多くは謎に包まれている。MOsの形成や機能には蛋白質-RNA相互作用が重要な役割を担っていると考えられる。 申請者は蛋白質-RNA相互作用を調べるため、CRISPR/Cas13を応用した新技術を開発した。本研究ではこの技術を応用し、代表的なMOsの一つであるパラスペックルを対象に、MOs形成における蛋白質-RNA相互作用の役割を明らかにすることを目標とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
細胞内には複数の蛋白質と核酸によって形成される膜の無い構造体(MOs:Membraneless Organelles)が多数存在している。MOsの形成や機能には蛋白質-RNA相互作用が重要な役割を担っていると考えられる。本研究ではCRISPR/Cas13(Cas13)を応用した技術を活用し、MOs形成における蛋白質-RNA相互作用の役割を明らかにすることを目標とする。 Cas13とBiFCを組み合わせ、293T細胞内でMOsの可視化を行った。代表的なMOsの一つであるパラスペックルを対象に、核内にMOsが形成される様子をライブセルイメージングにより観察した。また、パラスペックル形成により得られる蛍光シグナルを、FACSを用いて定量することに成功した。Cas13-BiFC融合蛋白質・ガイドRNAと遺伝子導入量の最適化を行い、シグナルノイズ比を改良した。Cas13-BiFCによって観察される蛍光シグナルが、パラスペックルの局在と一致することをRNA-FISHと蛍光免疫染色法により確認した。 Cas13とNanoBiTの組み合わせでは、発光基質を加えることでパラスペックル形成を発光シグナルとして定量することに成功した。BiFCと同様に融合蛋白質・ガイドRNAと遺伝子導入量の最適化を行い、最良のシグナルノイズ比が得られるCas13-NanoBiTの確立を行った。パラスペックル形成を促進する亜ヒ酸の投与により、発光強度が増加することを確認した。 Cas13とSplit-TurboIDを組み合わせて、MOsを構成する蛋白質を網羅的にビオチン化する系を確立した。Cas13-Split-TurboIDを遺伝子導入し、293T細胞内で形成されるパラスペックルの構成因子を網羅的にビオチン化し、ストレプトアビジンビーズを用いて免疫沈降した。抽出された蛋白質をLC-MS/MSを用いて解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は293T細胞内に形成されるパラスペックルを対象に「BiFC-Cas13」「NanoBiT-Cas13」「Split-TurboID-Cas13」の3つの技術を用いて多角的に解析した。各システムの最適化などにより、シグナルノイズ比の高い実験系の確立に成功した。全体の進捗として、初年度予定されていた実験計画は達成されており、おおむね予定通り進捗していると評価できる。 Split-TurboID-Cas13では、ビオチン化タンパク質の網羅的解析(LC-MS/MS)により、既知のパラスペックルタンパク質がビオチン化を受けていることが確認され、実験系が正常に動作していることが確認された。同時に現時点ではパラスペックルとの相互関係が明らかになっていないエピジェネティクス因子や、RNA修飾因子がビオチン化反応を受けていることが確認された。これは、未知のパラスペックルの機能を示唆しているものと考えられ、当初予定していた計画を上回る発見である。次年度以降の研究として、Split-TurboID-Cas13で認められた新規の蛋白質とパラスペックルとの関係性について明らかにしていくことを予定している。 初年度に達成できず課題となっているのは、血液系細胞株でのパラスペックルの機能解析である。次年度以降293T細胞以外での細胞株、特に浮遊細胞において「BiFC-Cas13」「NanoBiT-Cas13」「Split-TurboID-Cas13」を運用しパラスペックルの機能を解析することを目標に、研究を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進の方策として、「Split-TurboID-Cas13により確認された新規因子とパラスペックルとの関係性の確認」「293T細胞以外でのBiFC-Cas13・NanoBiT-Cas13・Split-TurboID-Cas13の運用」「新たなMOsでのBiFC-Cas13・NanoBiT-Cas13・Split-TurboID-Cas13の運用」が挙げられる。 初年度の研究成果により、パラスペックルと関係性を持つ新規因子として、エピジェネティクス因子やRNA修飾因子が認められた。CRISPR/Cas9によるノックアウトなどにより、これらの因子に介入することでパラスペックルの形成や機能にどのような影響が起きるか、293T細胞を用いて確認する。また、今まで確認されていないパラスペックルの新たな機能として、エピジェネティクス制御やRNA修飾に関与している可能性が考えられ、NONOやNEAT1のノックアウトにより、DNA・ヒストン修飾やRNA修飾にどのような影響が起きるかを確認する。 293T細胞以外でのBiFC-Cas13・NanoBiT-Cas13・Split-TurboID-Cas13の運用は課題となっている。初年度血球細胞株でのBiFC-Cas13の運用を試みたものの、有効な蛍光シグナルが得られなかった。原因として、293T細胞と比しての遺伝子導入効率の違いなどが考えられ、血球細胞における遺伝子導入量・方法の最適化や、CRISPR/Cas9システムを使ったEndogenousなゲノム領域へのノックインを行う予定である。 新たなMOsでのBiFC-Cas13・NanoBiT-Cas13・Split-TurboID-Cas13の運用を検討しており、パラスペックルと類似した核内MOsである核スペックルや、細胞質に存在するMOsのストレス顆粒などを対象とした計画を立てている。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)