Project/Area Number |
22K16346
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 54020:Connective tissue disease and allergy-related
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
福井 翔一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (80770833)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 関節リウマチ / リボソーム / シトルリン化蛋白 / 蛋白質シトルリン化 / 炎症性サイトカイン / PAD4 |
Outline of Research at the Start |
Peptidyl arginine deiminase 4 (PAD4)は蛋白質シトルリン化酵素であり、それをコードする PADI4 は関節リウマチ(RA)の疾患感受性遺伝子である。PADI4は抗シトルリン化蛋白質抗体の産生を引き起こすことでRAの病態に関わることが示唆されているが、その詳細な機構は不明である。本研究では、RA 患者でのリボソーム合成の変化やシトルリン化によるリボソームの質と翻訳機能の変化を健常人と比較し、RA 患者のシトルリン化リボソームに対する抗体を検出する。それにより、リボソームや蛋白質翻訳の RA での役割を、PAD4 による蛋白質シトルリン化の視点から明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画に従い患者検体を収集し、まずは血清中の炎症性サイトカインがリボソームでの蛋白翻訳に影響を与える可能性を考え、患者血清を健常人好中球に添加し、OPPを用いた蛋白翻訳アッセイを行った。しかし、疾患活動性の高い治療前血清と疾患活動性の低い治療後検体の間に差を見出すことはできなかっただけでなく、アッセイを繰り返すと、検体間のばらつきが大きく、一貫した結果を得ることが非常に難しいことが明らかとなった。マウスの検体を用いて各種遺伝子のノックアウトとの差のような比較的大きな差を検出する場合にはOPPを用いた蛋白翻訳アッセイは有用であるものの、ヒトの検体のように差異が比較的小さい場合には、評価が難しいものと考えられた。このため、当初予定していた患者の血球を用いてのOPPによる蛋白翻訳アッセイは行わないこととした。 続いて、患者検体でのばらつきを克服するため、関節リウマチ患者の滑膜細胞を用いることとした。細胞株は患者検体と形質に大きく違いが生じ、増殖能の差異はとくに翻訳過程を評価する上では好ましくないと考えられたため患者滑膜細胞を選択した。まずは本研究を構想する契機となったマウスでのPadi4ノックアウトによるサイトカイン産生の低下や翻訳過程の差異をヒトでも確認することとした。PADI4をノックダウンするためにsiRNAを用い、コントロールとPADI4のいずれのsiRNAも滑膜細胞の増殖能に影響を与えなかった。続いて、siRNAによりPADI4を抑制し、サイトカイン産生をさせるためにリポポリサッカライドで刺激を行った。予想に反して、サイトカイン産生はコントロールと比較しPADI4ノックダウンで上昇していた。マウスとヒト、ノックアウトとノックダウン、用いた細胞も異なるものの、相反する結果となったため、シトルリン化の蛋白翻訳への影響についての仮説の再検討が必要な状態である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
患者検体の収集は予定通り行うことができ、十分な数が確保できている点では順調な進捗と言える。しかし、蛋白翻訳アッセイは予定通り行うことができたものの、ヒト検体での使用の限界が明らかとなったため、新たなアプローチが必要とされる。まずはプレリミナリーデータとして得られていたマウスでの結果を患者検体で確かめることを目的として、患者の滑膜細胞を使用できるよう研究を一部修正したものの、ヒトとの結果が相反しており、仮説と研究計画の見直しが必要な状況である。これらを総合すると現時点では、進捗はやや遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は関節リウマチ患者におけるリボソームのシトルリン化ならびにその抗体を検出することと、シトルリン化したリボソームの機能変化を検出するというふたつの部分から成り立っている。後者については仮説の再検討が必要であるが、十分な患者検体が収集できていることから、次年度は前者に注力し、シトルリン化とリボソームの病態における役割を明らかにすることを第一に据えることで、研究の推進を図る。
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