Project/Area Number |
22K16358
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 54020:Connective tissue disease and allergy-related
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
長谷川 久紀 東京医科歯科大学, 統合国際機構, 講師 (00707028)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | ヒトiPS細胞由来筋細胞 / ヒトiPS細胞由来CD8T細胞 / 多発性筋炎 / ヒト筋細胞-CD8T細胞-共培養系 / 筋細胞傷害 / 多発性筋炎/皮膚筋炎 / ヒトiPS細胞 / 筋傷害 / 筋細胞-CD8T細胞-マクロファージ混合培養 |
Outline of Research at the Start |
自己免疫性筋炎の発症には、活性化した自己反応性細胞傷害性CD8T細胞(CTL)と筋局所の自然免疫活性化が必要だが、多発性筋炎/皮膚筋炎(PM/DM)患者の筋病変に認めるマクロファージ(Mψ)や筋細胞自体の自然免疫活性化や病態への寄与は不明な点が多い。本研究では、ヒトiPS細胞(hiPSC)から分化させた筋細胞に対し、抗原特異的に傷害するhiPSC由来再生CTLとの共培養系で、hiPSC由来Mψを混合培養し、別に準備したhiPSC由来筋細胞を傷害して得られたDAMPs含有培養上清も加え、MψやDAMPsがCTLの筋細胞傷害へ与える影響の検証を通じ、PM/DMの自然免疫活性化機序の解明を追究する。
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Outline of Annual Research Achievements |
多発性筋炎/皮膚筋炎(PM/DM)では、病態に非特異的な既存の免疫抑制療法に対し副作用や治療抵抗性を示す症例が多く、病態に基づいた新規治療薬の開発が重要である。当研究室は、自己免疫性筋炎の発症には、細胞傷害性CD8T細胞(CTL)だけでなく、筋局所の自然免疫活性化も必須であることを示しているが、PM/DM患者の筋病変に浸潤しているマクロファージ(Mψ) や筋細胞自体の自然免疫活性化への寄与の理解は十分でない。本研究では、ヒトiPS細胞(hiPSC)由来筋細胞を抗原特異的に傷害するCTLの系を確立後、その系にMψを混合培養し、Mψや筋細胞自体がCTLの筋細胞傷害能に与える影響の検証からPM/DMの病態解明を目指す。 PM/DMの病態特異抗原は同定されていないため、日本人の約60%がヘテロで有するHLA-A*24:02の特異抗原であるWT1ペプチドと、WT1特異的再生CTL(rCTL)に着目し(Cancer Res 2016;76:6839)、京都大学河本宏先生よりWT1特異的rCTLをいただき、HLA-A*24:02陽性のリンパ芽球様細胞株(LCL)とWT1を用いてrCTLを増殖・活性化させた。 HLA-A*24:02陽性または陰性のPM患者由来hiPSCに筋原生転写因子MyoDを導入し、高率に筋細胞へと分化するMyoD強発現hiPSCバルクを樹立後、筋分化条件で筋細胞へ分化させた。活性化したWT1特異的rCTLとWT1有無の条件下で共培養したところ、rCTLによる筋細胞に対するHLA-A*24:02拘束性の抗原特異的な細胞傷害が確認され、以上の研究成果を、2023年度の日米のリウマチ学会にて報告した。 今後、hiPSCからMψも分化させ、hiPSC由来の筋細胞-CTL- Mψの混合培養系でのrCTLの筋細胞傷害能の変化から、Mψや筋細胞の自然免疫活性化への寄与を考察する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は、hiPSC由来筋細胞に対する抗原特異的CTLによる筋細胞傷害系を確立した。血液HLAハプロタイプ解析で判明したHLA-A*24:02陽性、陰性のPM患者由来hiPSC株にそれぞれ、ドキシサイクリン(Dox) 誘導性MyoD発現カセットを導入し、多クローン性MyoD-hiPS細胞バルクを樹立後、Dox誘導翌日にMyoD強発現分画をflow cytometerで回収し、Dox非存在下で未分化状態を維持したまま増殖させ、高率に筋細胞へと分化可能なMyoD強発現hiPSCバルクを樹立した。以後、このバルクをDox存在下の筋分化条件で培養し、筋細胞へと分化させ、WT1存在下でLCLにより増殖・活性化させたWT1特異的rCTLと共培養した。筋細胞の細胞傷害度は、筋細胞に取り込ませたcalceinの培養上清への放出量を蛍光度にて評価した。 HLA-A*24:02陽性MyoD強発現hiPSCバルク由来の筋細胞は、WT1存在下で、rCTL数に応じた抗原特異的な細胞傷害を受けた。一方、rCTLの筋細胞傷害は、WT1非存在下やタクロリムス存在下、またWT1存在下でもHLA-A*24:02陰性のhiPSC由来筋細胞との共培養では抑制された。以上より、hiPSCを用い、ヒト細胞由来のCTLによる筋細胞に対するHLA拘束性の抗原特異的な細胞傷害系を確立したと判断した。 2023年度は、上記研究結果を社会へ発信することに重きを置き、まず2023年4月に日本リウマチ学会で口頭発表にて、2024年11月にアメリカリウマチ学会でポスター発表にて研究成果を報告した。本年度は、両学会への演題登録のための抄録作成、発表用スライドやポスター作成、特に後者の学会発表のための英語での資料作成に時間を要した。同時に、上記研究成果に関し、海外雑誌へ投稿するための論文作成も進め、まもなく投稿可能な段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、本研究課題の核となるhiPSCを用いたヒト細胞由来のCTLによる筋細胞傷害系の確立に成功した。2023年度は、当研究室で開発した①hiPSCから高率に筋細胞へと分化可能なMyoD強発現hiPSCバルクの樹立方法と、②hiPSCを用いたヒト細胞由来のCTLによる筋細胞傷害系の確立、に関し、社会へ発信するための学会発表と実験成果の執筆(海外雑誌への投稿)に主眼をおいた。2024年度は、まずは論文の完成と投稿、そして、論文のacceptのためのrevise実験に多くの時間を要すると思われる。 その後、hiPSCからMψも分化させ、hiPSC由来の筋細胞-CTL- Mψの混合培養系でのrCTLの筋細胞傷害能の変化から、Mψや筋細胞の自然免疫活性化への寄与を考察する。Pouyanfard S et al. Stem Cells 2021を参考に、筋細胞に分化させるPM患者由来hiPSCと同一のhiPSCを、SCF、VEGF、BMP4、Rock-Yを含む培地で胚様体へ分化させた後、M-CSF+IL-3刺激と培地の変更によりMψ前駆細胞、Mψ0へと分化させる。その後、hiPSC-Mψ0をLPS+IFNγまたはIL-4+IL-13で刺激し、Mψ1またはMψ2に分化さ、確立した筋細胞傷害系において、各Mψサブセット(M1、M2)をそれぞれ混合培養し、再生CTLの筋細胞傷害に与える差異を評価する。 次に、自然免疫活性化因子として筋細胞由来のDAMPsが筋細胞-CTL- Mψ混合培養系に与える影響を検証する。hiPS細胞由来筋細胞を過酸化水素水や低酸素環境下で培養して傷害を与え、筋細胞培養上清や筋細胞溶解液(以後、DAMPs含有液)を回収する。そして、別に準備した筋細胞-CTL- Mψ混合培養系へのDAMPs含有液の有無による筋細胞傷害への影響を評価していく。
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