Project/Area Number |
22K16391
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 54040:Metabolism and endocrinology-related
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大塚 博樹 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (20771372)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 絶食負荷試験 / ノックアウトマウス作成 / ケトン体代謝 / 基底核病変 / 胎生致死 |
Outline of Research at the Start |
ケトン体は糖質が枯渇する状況における重要なエネルギー源である。ケトン食療法は代謝異常症だけでなく難治性てんかんにも行われているが、ケトン体の役割にはまだ不明点も多い。本研究ではケトン体代謝酵素であるミトコンドリアアセトアセチル-CoAチオラーゼ(T2)と、ミトコンドリア中鎖3-ケトアシル-CoAチオラーゼ(T1)の解析を行う。T1はT2と基質特異性に重なりがあるため、T2欠損マウス、T1欠損マウス、そしてダブルノックアウトマウスを作成する。これらのマウスに食餌負荷、空腹負荷など比較検討を行い、T2、T1の生理的な役割について明らかにする。そしてケトン体代謝の治療につなげることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
ケトン体は糖質が枯渇する状況における重要なエネルギー源である。ケトン食療法は代謝異常症だけでなく難治性てんかんにも行われているが、ケトン体の役割にはまだ不明点も多い。本研究ではケトン体代謝酵素であるミトコンドリアアセトアセチル-CoAチオラーゼ(T2)と、ミトコンドリア中鎖3-ケトアシル-CoAチオラーゼ(T1)の解析を行う。ヒトT2欠損症は存在するが、T1はT2と基質特異性に重なりがあり、ヒトT1欠損症は症例報告1つしか存在せず、まだ未解明な点が多いと考えられる。 まず本研究ではT2(ACAT1)欠損症のノックアウトマウス解析を通して基礎的なエビデンスを提供することを目的とする。T2欠損症はケトン体利用障害、イソロイシン異化障害をきたす。ヒトT2欠損症患者において、今まで誘因と考えられてきた重篤なケトアシドーシス発作がなくても基底核病変をきたす症例が報告されたため、T2欠損マウスを作成し食餌中のイソロイシン負荷と基底核病変が関連するか検索する。まずはノックアウトマウスで絶食によるケトアシドーシスは確認できており、絶食負荷時間を延長したりLPS刺激によるストレス負荷を検討している。 また並行して基質特異性のオーバーラップがあるT1(ACAA2)も解析し、T2、T1の生理的な役割について明らかにする。ミトコンドリアβ酸化系におけるT1の基質特異性は短鎖や中鎖の脂肪酸であるが、短鎖脂肪酸はT2とオーバーラップがある。ヒトT1欠損症は発見されておらず、基質特異性のオーバーラップのため症状が出ないか、胎生致死の可能性がある。T1欠損マウス、T1T2ダブルノックアウトマウスを作成し、胎生致死か、空腹負荷による変化はどうか検索する。T1ノックアウトマウス作成と飼育は進んでおり、すくなくともT1欠損だけで胎生致死になることはないことが判明している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究はノックアウトマウス作成、病理解析、神経系機能解析に関し、それぞれ生命機能分子設計分野 大沢匡毅教授、腫瘍病理学分野 原明 教授、高次神経形態学分野 山口瞬教授と連携して行う方針である。 第一の課題であるノックアウトマウス作成は完了しており、通常飼育での表現型確認として、問題なく成長することは確認できている。T1T2ダブルノックアウトマウスはこれから交配により作成予定である。T2ノックアウトマウスでは絶食負荷試験を行い、ヒト同様に強いケトアシドーシスをきたすことも確認した。以後絶食負荷時間の調整と臓器別アプローチを進めていく。T1ノックアウトマウスは単系統だけではデータがでない可能性もあり、特にT1,T1T2ダブルノックアウトに関する解析が遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
<1. 表現型解析、負荷試験> マウスは通常の食餌のほか、イソロイシン負荷、ケトン食で飼育する。前者はT2欠損に、後者はT1欠損に対して負荷となる。体重増加、行動異常、ケトアシドーシスの有無、尿有機酸、中枢神経・肝臓病理などについて解析する。生理的に脂肪負荷が強い授乳期のマウスで解析を行い、その後に上記の食餌負荷や空腹負荷試験を行う。T2ノックアウトマウスは空腹負荷のケトアシドーシス発作により基底核病変をきたすのか、病理像について検討する。一方T1ノックアウトマウスは空腹負荷により低血糖、脂肪肝をきたすと考えられ、肝・神経系病理解析、神経機能的解析を行う。 <2. マウス病理学的解析> 各ノックアウトマウスにおいて、大脳基底核を含む中枢神経系、さらに肝臓を含む全身臓器を病理組織学的あるいは組織特異的マーカーについて検索する。イソロイシン負荷あるいはケトン食投与により同様に中枢神経系および全身臓器を検索する。コントロールの野生型マウスと比較し組織形態学的変化を認めなかった場合は、虚血性疾患あるいは変性疾患の微細な病変を鋭敏に検出できる、マイクログリアおよびその発現タンパクgalectin-3を指標にして初期微小病変の有無を確認する。マウスが胎生致死となった場合は、胎生期の各発生段階における中枢神経を病理組織学的に検索すると共に、胎生致死に至った臓器を特定する。 <3. マウスの神経系機能的解析> コントロールの野生型マウスと各ノックアウトマウスにおいて、歩行や移動距離(ロータロッド)、移動範囲(オープンフィールド)、記憶・学習(迷路)などの行動実験を行う。
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