転写因子FoxO1/PPARαを用いた選択的インスリン抵抗性の病態解明
Project/Area Number |
22K16422
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 54040:Metabolism and endocrinology-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
北本 匠 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (90916173)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
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Keywords | 糖尿病 / インスリン抵抗性 / Foxo1 / 2型糖尿病 / 糖産生 / FoxO1 / PPARα |
Outline of Research at the Start |
2型糖尿病は、膵β細胞からのインスリン分泌不全とインスリン作用障害により生じる慢性高血糖を主徴とする代謝性疾患である。肝細胞のインスリン作用障害時に惹起される高血糖は、インスリンシグナル下流で活性制御を受ける転写因子FoxO1をノックアウト(KO)することで正常化する。しかし、その全体像は技術的な問題から未解明であった。本研究は申請者グループが近年明らかにした成果(Kitamoto et al. PNAS, 2021)に基づき、インスリンシグナル下流にある糖代謝制御特異的な標的遺伝子を特定することを目的とする。そして、選択的インスリン感受性改善薬の創薬基盤を築くことを大きな目標として掲げる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度に打ち立てた目標は主にFoxO1とPPRAαの相互作用を明らかにすることである。まずFoxO1とPPARαの発現プラスミドを作成した。PPARαに対する良質な抗体が生産中止により入手できなくなってしまったため、N末端にDDK (Flag)を付着させ、FoxO1にはHAを付着させて作成した。ウェスタンブロットにより、これらのプラスミドのタンパク発現が各々の転写因子の分子量に相当する52kDaおよび80kDaにブロットされることを確認し、Luciferaseアッセイへと進めた。まず肝糖新生の律速酵素をコードする主要な制御遺伝子であるG6pcについて、先行研究で行ったFoxo1とPPARαのChIP-seqのデータから、両者が結合するPromoterおよびEnhancer領域を同定した。それらの配列を用いて、1) Promoter-pGL4.10, 2) Enhancer-pGL4.10, 3) Enhancer-Promoter-pGL4.10の3種類のLuciferase assay用プラスミドを作成した。これらに対して、各々のリガンドであるインスリン、遊離脂肪酸、WY14643の3種類を用いて刺激を行い、G6pcの発現変化を評価した。その結果、FoxO1とPPARαはG6pcの発現を相乗的に強めることが確認された。この効果はEnhancerのみでは認められず、EnhancerとPromoterが揃わなければ得られなかった。また、これらの実験とは別に、FoxO1とPPARαのダブルノックアウトマウスから肝臓組織を取得し、適切な条件を評価した上で、それらのサンプルをRNA-seqに回して、現在解析をしている最中である。次年度の目標である糖代謝特異的標的遺伝子群の同定に向けて着実に研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年は研究室移動の年であった。そのため、昨年前半は、実験器具の確認、マウス実験のための動物実験に関わる倫理審査のための書類作成、必要な講義の受講などで実験が止まっていた。そのため、思っていた以上に実験が進まなかったという現状があった。しかし、後半になり徐々に実験環境が整ってきたところで研究を再開することが可能となった。その結果、当初立案していた計画である、FoxO1とPPARαの相互作用を調べるために必要なプラスミドの作成を完成させることができて、必要な実験データの取得まで得られた。さらにin vivo実験では、2年目の研究に必要な糖代謝特異的な標的遺伝子の同定のためにRNA-seqまで終えることができた。なんとか当初たてた目標通りまで進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、当初の予定通り主に二つの点に注力したい。1) 初年度に行ったRNA-seqのデータの解析を進めて、FoxO1/PPARαのChIP-seqとRNA-seqを結合させたRegulomeデータベースを作成する。そして、両転写因子の糖新生経路に関わる遺伝子制御マップを作成し、G6PCよりも上流にある遺伝子群から標的を絞り込む。インスリン作用障害時の発現変化を確認し、候補リストを作成する予定である。さらに、候補遺伝子を絞り込んだら、両転写因子の結合領域を用いてリポーターアッセイで確認を行い、in vivoにおける糖新生に与える影響について評価を進めていく。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)