Project/Area Number |
22K16457
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 55010:General surgery and pediatric surgery-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
土屋 尭裕 東北大学, 大学病院, 助教 (30785621)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 肝細胞癌 / SASP / 胆汁酸 / 腸肝循環短絡化 / 減量・代謝改善手術 / 十二指腸空腸バイパス / 腸肝循環 / 代謝改善手術 / NASH |
Outline of Research at the Start |
肥満の増加に伴い非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が増加しており、肝細胞癌の発生母地ともなる深刻な病態であるものの治療法は確立されていない。肥満者では腸内細菌叢の変化により二次胆汁酸が増加し、肝において「細胞老化」を起こし発癌が促進される。我々はラットを用いた実験で肥満症に対する十二指腸空腸バイパス術(DJB)のNASH改善効果を報告し、そのなかで胆汁酸の腸肝循環短絡化を見出しており、これが胆汁酸と腸内細菌の接触を減じ二次胆汁酸の産生を抑制している可能性がある。本研究ではDJB術後の胆汁酸動態の変化が肝の細胞老化を抑制し発癌を減少させるとの仮説をたて、ラットモデルを用いて検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、肥満と肝発癌の関連を腸内環境の変化と肝臓における細胞老化現象の観点から究明し、さらに減量・代謝改善手術によって胆汁酸動態をはじめ とした腸内環境を改変させることでこれを抑制しうるかを検証することである。当教室では食事誘発性の肥満NASHモデルラットを有しており、これに減量・代謝 改善手術の一つである十二指腸空腸バイパス(DJB)を施すことでNASHが改善すること、その効果に胆汁酸の腸肝循環の短絡化が関与していることをこれまでに報告してきた。 近年、肥満に伴う肝発癌に腸内環境の変化と肝組織中の細胞老化現象による微小環境(Senescence-associated Secretory Phenotype (SASP))の 関与が注目されている。DJB後に腸肝循環が短絡化すれば、腸内環境の変化から上述の肝におけるSASPは修飾され肝発癌が減少する可能性がある。本研究ではこれを検証するため、DJBラットモデルを用いて肝における細胞老化現象の多寡と腸内および血中胆汁酸量・分画を調べ肝発癌抑制効果とそのメカニズムを探る。SDラットに当教室で開発した欧米食を模した餌(fast food diet)を与えることで食事誘発性の肥満NASHモデルラット(これはヒトにおける肥満関連発癌(肝細胞癌や大腸癌)リスク群のモデルと考えられる)を作製し、その自然経過における肝組織中のp16, p21といった細胞老化現象の指標やIL-6, IL-1βといった炎症性サイトカインを確認し、手術介入群におけるそれらと比較検討することで肥満に伴う肝発癌のメカニズムと、減量代謝改善手術によるその抑制効果を検証する。現在、ラットモデルの血液や組織のサンプリングが終了しており、今後各解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
食事誘発性NASHモデルラットのバイパス手術とその後の飼育、およびサンプル採取までが完了している。長期飼育群では肝発癌も期待されたが、肉眼的な観察では明らかな肝腫瘍の観察は確認されなかった。本研究の目的の一番目である肝SASPの多寡については必ずしも発癌は必要とせず、これまで得られたサンプルから予定通り解析を行なっていく。一方、発癌モデルでの検証も行う必要はあると考えており、この確立に想定よりも時間を要した。条件設定は完了したため、可及的早期に飼育を開始する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
食事誘発性NASHモデルラットのDJBモデルから採取したサンプルの解析を行う。具体的には肝組織における星細胞の細胞老化、SASPの多寡を免疫染色を用いて確認する。血中胆汁酸分画を解析し、細胞障害性の強い二次胆汁酸であるデオキシコール酸をバイパス群とsham群で比較する。また、発癌モデルを用いて同様にバイパス実験を行い、肝発癌抑制効果を検証する。
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