食道扁平上皮癌における長寿遺伝子サーチュインの生物学的意義解明と革新的治療の開発
Project/Area Number |
22K16481
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 55020:Digestive surgery-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大塚 亮太 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (20790786)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 食道扁平上皮癌 / 長寿遺伝子 / サーチュイン / バイオマーカー |
Outline of Research at the Start |
本研究は癌組織におけるmRNA・蛋白レベル発現の検討に加えて、食道癌細胞株・in vivoモデルにおけるサーチュインの強制発現およびノックダウンに伴う増殖動態の解析により、(1)食道癌におけるサーチュイン発現の生物学的意義を解明すること、(2)発現の亢進あるいは抑制に伴う癌増殖への影響を明らかにすることを目的としている。本研究により、サーチュインが新たな食道癌病態バイオマーカーとなることに加えて、治療ターゲットとして革新的な治療開発の基盤が確立されることが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
初年度の計画としてサーチュインの臨床病理学的意義の検討を行った。これまで食道扁平上皮癌において報告のないSIRT5およびSIRT7に着目し、食道扁平上皮癌臨床検体における発現を免疫染色法を用いて解析した。SIRT5では低発現群で比較的早期癌の割合が高い傾向にあったが、有意差は認めず、生存期間でも有意な関係は示せなかった。SIRT7に関しては免疫染色法の再現性に乏しく、条件を整えていく必要があり、現時点で結果は得られていない。 一方、食道扁平上皮癌での実験系確立に時間を要したため、並行して上部消化器癌である胃癌においてもサーチュインの臨床病理学的特性の検討を行った。胃癌手術検体におけるSIRT1の発現を免疫染色、また患者血清濃度をELISA法で解析した。78例のうち、SIRT1組織高発現は35例(44.9%)、SIRT1低発現は43例(55.1%)であった。SIRT1組織高発現は、進行したステージと有意に関連していた(p=0.017)。SIRT1組織発現と他の因子との間には有意差は認めらなかった。血清SIRT1レベルは、80歳以下の群で有意に高かった(p=0.047)以外、他の因子との有意な関連は認めなかった。血清SIRT1濃度の平均値は、SIRT1組織高発現群とSIRT1組織低発現群でそれぞれ12.27pg/ml(2.31-31.76)、18.26pg/ml(3.06-176.05)であり、統計的に有意な差は認めなかった(p=0.419)。SIRT1組織高発現は、低発現に比べて全生存期間(OS)および無再発生存期間(RFS)が有意に不良であった(p=0.033、p=0.033)。一方、血清SIRT1高値群と低値群では、OSおよびRFSに有意差は認めなかった(p=0.458、p=0.574)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していた食道扁平上皮癌における臨床病理学的特性の検討に関しては、有意な結果は得られなかったが、今後症例数を増やし検討を追加していく予定である。また他のSIRTでの検討や、化学放射線感受性や抵抗性との関連などの検討項目は残されており、次年度に結果を得られると考えている。 一方、胃癌での検討に関しては、SIRT1の組織内での発現および血清中の濃度に関する検討を行ったが、両者の関連性は認められなかった。しかし、その新規性からこの結果がAnticancer Research誌に掲載された(Anticancer Res. 2023 Apr;43(4):1485-1491. doi: 10.21873/anticanres.16297)。食道扁平上皮癌においても同様の検討を行った報告はまだ存在していないため、次年度に解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の進捗を元に、さらなる解析を行っていく。初年度は食道扁平上皮癌においては良好な結果は得られなかったが、胃癌において新たな知見の可能性を得ており、食道扁平上皮癌に応用できると考えている。 また、次年度は発現解析の結果を踏まえた上で、サーチュイン発現の機能解析を行っていく予定である。具体的には食道扁平上皮癌細胞株のサーチュインの発現をノックダウンまたは増強することで、細胞増殖能、浸潤能、転移能、アポトーシス、オートファジー、化学放射線感受性・抵抗性に及ぼす影響を検討予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)