肺がん進行におけるキヌレニナーゼの役割解明と新規がん治療法の開発
Project/Area Number |
22K16585
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 55040:Respiratory surgery-related
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Research Institution | Kanagawa Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
項 慧慧 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), 臨床研究所がん分子病態学部, 特任研究員 (80869793)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 肺がん / キヌレニナーゼ / 肺がん進行 / キヌレニンナーぜ / 腫瘍微小環境 |
Outline of Research at the Start |
現在、肺がんは日本人において最も死亡数が多く、肺がんの死亡数を減少させる為、新たな治療法を開発することが期待される。アミノ酸代謝の制御は、がん細胞の悪化や免疫細胞の機能調節に重要であり、重要な研究課題である。本研究では、肺がんにおけるキヌレニナーゼの活性化と腫瘍の形成及び悪化の関係を明らかにすることを目的とする。また、臨床検体におけるキヌレニナーゼの網羅的遺伝子発現と臨床情報との関連を検討する。さらに、がん細胞や免疫細胞機能への影響を探索する。肺がん・転移における、キヌレニナーゼを介してKyn代謝経路を標的とした新規がん治療の確立に資する科学的エビデンスを蓄積する。
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Outline of Annual Research Achievements |
トリプトファンの代謝産物であるキヌレニンが腫瘍形成に関与することが注目されており、腫瘍微小環境におけるキヌレニンの蓄積量の減少が抗腫瘍免疫の活性化に関連することが報告されている。キヌレニナーゼは、トリプトファン代謝経路の重要な酵素であり、キヌレニンをアントラニル酸に、3-ヒドロキシキヌレニンを3-ヒドロキシアントラニル酸に代謝する役割を担っている。この酵素がキヌレニンの代謝に直接関与することから、その機能や制御が肺がんの進行にどのように影響するを解明することは重要である。 本研究の目的は、肺がんにおけるキヌレニナーゼの活性化と腫瘍の形成及び悪化進展の関係を明らかにすることである。今年度は、昨年度までに得られた外科切除肺がん検体の解析データ、臨床データ解析に、肺がん培養細胞を用いた実験、免疫不全マウスモデルでの実験を加え、キヌレニナーゼの発現が肺がん進行において果たす役割について仮説を構築した。 RNA干渉法を用いて培養ヒト肺腺がん細胞でキヌレニナーゼのmRNAをノックダウンして実施した二次元細胞培養実験で、キヌレニナーゼの発現ががん細胞自身の増殖、遊走能、浸潤能に与える影響を検討した。その結果、キヌレニナーゼの発現がこれらのがん細胞の特性に重要な役割を果たしていることが示唆された。 さらに、生体内での解析を行うために、CRISPR-Cas9システムを用いて恒常的にキヌレニナーゼの遺伝子をノックアウト(破壊)したヒト肺腺がん細胞株を作製し、これを免疫不全マウスの皮下に移植する動物実験モデルを構築した。この動物実験モデルを用いて、ヒト肺がん細胞株でのキヌレニナーゼ遺伝子のノックアウトが腫瘍の形成や進行にどのような影響を与えるかを検証する予備的な実験を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、昨年の研究に基づき、研究を進めた。主に二次元細胞培養の実験系での検証実験を行い、概ね計画通りに進行した。一方、マウス動物実験モデルを用いたキヌレニナーゼ遺伝子ノックダウンによる腫瘍制御効果の検証に関しては、実験系の立ち上げに時間がかかり、予備実験を終了するに留まり、遅延が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)作製が完了した、キヌレニナーゼ遺伝子をノックアウトしたヒト肺がん(腺がん)細胞株が、T細胞の免疫不全マウスであるヌードマウスへの皮下移植で生着し腫瘍形成することを予備実験で確認できた。今後は、統計学的解析が可能なn数で動物実験を行い、キヌレニナーゼの腫瘍形成及び転移への関与の検証を進める。 (2)ヌードマウスで作製した異種移植腫瘍のRNA sequencingによる網羅的遺伝子発現解析、病理組織形態学的な解析、メタボローム解析などの詳細な統合オミクスデータ解析を行い、キヌレニナーゼの肺がんにおける役割の明確を進める。 (3)臨床データ解析の深化することで、キヌレニナーゼの発現量と肺がん患者の予後との関連性を解析し、キヌレニナーゼを標的とした新しい治療法開発の可能性を検討する。 (4)得られた研究成果を学会や論文で公表し、成果を社会に還元すると共に、外部からのフィードバックを収集して今後の研究の質を向上、方向性の修正を諮る。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)
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[Presentation] アルギナーゼ1を介したアルギニン代謝の活性化は大腸がんの肝転移巣形成と抗腫瘍免疫を制御する2022
Author(s)
北村秀光, 王向東, 項慧慧, 豊島雄二郎, 沈輝棟, 志智俊介, 中本裕紀, 木村沙織, 杉山昂, 本間重紀, 宮城洋平, 武冨紹信
Organizer
第26回日本がん免疫学会
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