Project/Area Number |
22K16644
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 55060:Emergency medicine-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
榎木 裕紀 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 講師 (50813854)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 骨格筋萎縮 / 敗血症 / 坐骨神経切断 / エクソソーム / 抑制性免疫 / サルコペニア / 腎障害 / 骨格筋 |
Outline of Research at the Start |
サルコペニア(骨格筋の萎縮)を有する患者では、敗血症や感染症の予後が不良であることが知られている。最近になり、骨格筋が感染症病態時に免疫調節作用に関与していることが報告されているが、その詳細な制御機構は未だ不明である。近年、エクソソームと呼ばれる細胞から分泌される小胞が臓器間のコミュニケーション因子として注目されており、疾患との関わりも報告されている。本研究ではサルコペニアによる敗血症増悪機序として骨格筋由来のエクソソームを介した免疫機構に及ぼす影響ついて検証することを目的としている。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年は、骨格筋萎縮下における敗血症病態の悪化に対するエクソソームの関連について検討した。また敗血症と免疫細胞との関連を明らかにするために、腹腔内マクロファージ細胞および脾臓細胞の解析も同様に行った。まず、エクソソームの関与を確認するためにshamまたは坐骨神経切断(DN)マウスに対してエクソソーム分泌阻害剤であるGW4869を投与し、敗血症を誘導した。その結果、DNマウスにおける敗血症での死亡率がGW4869投与によって低下する傾向が見られた。そこでDNマウスの敗血症後の血清中のエクソソームが病態増悪と関連すると考え、shamまたはDNマウスの敗血症後の血清からエクソソームを超遠心法により回収し、これらを健常マウスへ投与後に敗血症を誘導し、生存率を評価した。その結果、DNマウス血清の投与は予後を増悪させる傾向が見られた。しかしこれら結果を検証するためには多群間での比較が必要であるため、統計学的な有意差を得るためには多くの検体が必要である可能性が考えられた。次に免疫細胞の解析を行った。その結果、腹腔内のマクロファージ細胞には顕著な変化は見られなかったが、脾臓組織におけるT細胞免疫の変化が認められた。特に抑制性免疫と関連する制御性T細胞および免疫チェックポイント分子のCTLA4 (cytotoxic T-lymphocyte associated antigen 4) を発現するT細胞が増加しており、これらが廃用性筋萎縮による敗血症病態の増悪と遷延に関連している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エクソソームの関与について阻害剤またはエクソソーム投与の検討結果は、傾向としては関与が疑われる結果であったが、元来の検討でshamマウスと比較してDNマウスの敗血症後の生存率はSham vs. DN = 63% vs. 35% (P < 0.05)であり、阻害剤やエクソソームの投与による検証では多群検定による統計学的有意差を得ることが難しいと判断された。一方で免疫細胞の解析において、抑制性免疫の亢進が確認されたことから廃用性筋萎縮による敗血症増悪における機序として新規性を見出しており、あらたな方向性が見出された点においておおむね順調と判断した。2023ー2024年度にかけて、エクソソームとマクロファージ細胞の関連性の評価予定であったが、今回の結果を受けて、抑制性T細胞に対する影響について詳細を解析する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、脾臓組織における抑制性免疫に関連する細胞集団をさらに詳細に解析する。またこれら抑制性免疫を誘導する機序として、エクソソームの関与についてex vivoによる解析を実施する。つまり、脾臓より回収した細胞に対して、モデルマウス由来の血清から超遠心法により回収したエクソソームの投与を行い、細胞集団をフローサイトメトリーを用いて評価する。また近年、骨格筋と脾臓組織が遠隔臓器間でクロストークを行っていることが報告されていることから、その過去の報告で用いられていた手法を模倣して、同様にDNによる敗血症増悪における骨格筋とのクロストーク方法について評価する予定である。
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