Project/Area Number |
22K16687
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 56010:Neurosurgery-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大谷 理浩 岡山大学, 大学病院, 助教 (60902989)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 膠芽腫 / 細胞周期 / MTAP / 腫瘍微小環境 / 悪性神経膠腫 / 構造的脆弱性 / 腫瘍免疫 |
Outline of Research at the Start |
神経膠腫は予後不良な疾患であり、新規治療法の開発が急務である。近年、腫瘍細胞における遺伝子のコピー数変化が着目されているが、実際には着目される遺伝子だけでなく、その周辺に存在する遺伝子(neighboring passenger genes)にもコピー数変化が起こっていることが報告されている。このneighboring passenger genesの欠失に対する特異的な治療が、腫瘍脆弱性に繋がることが報告されており、新規治療標的と考えられている。 本研究では、CDKN2A遺伝子の欠失に伴って発生する「構造的脆弱性」を標的とした新規治療法を開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
神経膠腫は予後不良な疾患であり、新規治療法の開発が急務である。神経膠腫のうち、CDKN2A/B遺伝子共欠失を伴う症例は特に予後が悪く、2021年に発表されたWHO分類第5版でも診断に必須である。Methylthioadenosine phosphorylase (MTAP)はCDKN2Aの近傍に位置するneighboring passenger geneであり神経膠腫の約45%で欠失するが、メチオニン代謝に関連した遺伝子であり、欠失に伴いメチオニン合成能の低下や、基質(SAMやMTA)の蓄積、メチル化変化を引き起こす。我々は、CDKN2AやMTAP欠失神経膠腫におけるPRMT5およびPP2A阻害により、腫瘍細胞のcell senescenceおよびnecroptosisが誘導され、in vitroおよびin vivoにおいて抗腫瘍効果を示すことを報告してきた。本研究の目的は、CDKN2AやMTAP欠失神経膠腫においてcell senescenceなどの腫瘍細胞死が誘導される分子生物学的な機序および腫瘍微小環境へ与える影響の解明である。さらに担腫瘍マウスモデルを用いて抗腫瘍免疫の誘導を評価し、腫瘍細胞死に与える影響について評価する。 まずMTAP欠失による神経膠腫細胞への影響を調べるために複数の膠芽腫細胞を用いて、MTAP欠失神経膠腫細胞を樹立した。MTAP欠失細胞はコントール細胞と比較し増殖能に変化を認め、細胞周期の変化が示唆された。次に、MTAP欠失細胞およびコントロール細胞からRNAを抽出し、網羅的トランスクリプトーム解析を行うことで、MTAP欠失が腫瘍細胞に与える影響について解析を行った。さらに、これらの細胞をマウス脳内へ移植し、組織標本を作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度および5年度はMTAP欠失神経膠腫細胞を複数作成し、細胞増殖等に与える影響を解明した。我々は慶応大学および米国Solk研究所から入手したマウス神経膠腫細胞(TS、005細胞)を有しており、shRNAおよびCRISPR/Cas9システムを用いてMTAP欠失細胞を樹立した。まずMTAP欠失細胞を用いてin vitroで増殖能を評価した。マウス神経膠腫細胞2系統におけるcell proliferation assayでは、MTAP欠失細胞の増殖能は野生型と比較して有意に低下した。また、in vivoではMTAP欠失細胞をマウス脳内へ移植して担腫瘍マウスモデルを作製し、生存期間を比較した。MTAP欠失細胞を用いた担腫瘍マウスモデルは野生型と比較して有意に生存期間の延長をみとめた。次にMTAP欠失細胞よりRNAを抽出し網羅的トランスクリプトーム解析を行うことで、遺伝子発現変化やシグナル伝達変化など、MTAP欠失に伴う構造的脆弱性に関する因子について解析を行った。MTAP欠失細胞群は野生型と比較してProgrammed Cell Death等に関連する遺伝子の発現変化をみとめた。MTAP欠失神経膠腫細胞の樹立、MTAP欠失神経膠腫細胞を用いたin vitroおよびin vivoにおける増殖能の評価、およびbulk RNA-seqを施行しており、現時点で計画はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
Bulk RNA-seq において、MTAP欠失腫瘍細胞群は野生型と比較してProgrammed Cell Death等に関連する遺伝子の発現変化をみとめた。さらに、がん細胞代謝やストレス応答型の転写制御システムに関する遺伝子も発現変化を認めた。MTAP欠失細胞を用いたWestern Blottingにおいても、bulk RNA-seq の結果と同様に、たんぱく質発現の変化を確認した。今後はメチオニン代謝を含めた腫瘍代謝に関連する経路に着目し、腫瘍細胞死やcell senescenceに与える影響を解析する。またMTAP欠失を用いた担腫瘍マウスモデルを新たに作成し、腫瘍微小環境解析を行い、腫瘍細胞におけるMTAP欠失が周囲の腫瘍微小環境に与える影響を解明する。
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