Project/Area Number |
22K16796
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 56030:Urology-related
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
永堀 健太 東海大学, 医学部, 特任講師 (50759561)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 男性不妊 / 精子形成障害 / 自己抗原 / 精巣 / 自己免疫性精巣炎 |
Outline of Research at the Start |
男性不妊の原因の約90%が「精子形成障害」であり、「精子形成障害」の原因の約70%が特発性(原因不明)とされている。その一方で、ヒト特発性精子形成障害の精巣生検では、免疫グロブリンや補体沈着が認められる症例も多く、自己免疫機序が関与している可能性が高い。本研究では、自己免疫性精子形成障害を惹起する種を超えた共通自己抗原分子を同定し、それらに共通するエピトープ配列を明らかにしていく。本研究は、臨床応用に向けた大きな一歩であり、ヒト男性不妊症の「治療法・検査法の開発」および「予防法の確立」に大きな進歩をもたらす。
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Outline of Annual Research Achievements |
本課題では自己免疫性精子形成障害を惹起する共通の標的抗原分子を同定し、共通のエピトープ配列を探索することで新たな臨床応用への学術的基盤となることを目指す。2023年度に、アジュバント処置をせずに同種および異種の雄性生殖細胞のみの接種により実験的に自己免疫性精子形成障害を引き起こすラットおよびマウスを用いて標的抗原候補分子の探索を行った。それぞれのモデルは精巣網、直精細管および白膜周囲にリンパ球浸潤が認められるが、精子形成は保たれている炎症初期の時期(マウス:初回接種から28日後、ラット:初回接種から30日目)にサンプリングを行った。各モデルマウスおよびラットから血清抗体を採取し、雄性生殖細胞由来のタンパク質を2D-westernblot法を用いて反応を確認し、その後質量分析を用いて反応タンパク質の解析を行ったところ11種類のタンパク質(Ankrd36、Hspa1L、Hspa2、Hspa4L、Hspa5、Lrrc34、ODF-2、Spa17、Spata19、Tubb2c、Tubb4b)が同定され、この内4種類(Hspa2、Spa17、Spata19、Tubb4b)はこれまでに報告のない新規に同定された標的抗原候補分子であった。また、Ankrd36、Hspa4L、Hspa5、Lrrc34、Tubb2cの5種類は実験的自己免疫性精巣炎モデルマウスおよびラットの両種において検出されたため共通の標的抗原候補分子として考えられた。この結果は、種を越えた共通の抗原が男性不妊を引き起こす可能性があることが示唆されており、今後これらの候補分子についてより詳細な調査(タンパク質の発現部位、自己抗体との反応性など)が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は探索した抗原を用いて実験的自己免疫性精巣炎モデルを作成できるかというところまで検討する計画であったが、異種実験的自己免疫性精巣炎モデルマウスおよびラットから得られた血清抗体を用いて、自己抗原の探索・同定までの実施にとどまった。この原因としては本来使用予定であった質量分析装置の故障もあり、解析について外部委託業者との解析に要する試料の精製度の確認をはじめ、解析に支障が生じないように委託業務に関する調整をしなければならなかったことなどが挙げられる。しかしながら、新規の候補分子の同定など新たな発見もあったことから解析を優先させたことは研究ストラテジーの観点から妥当であったと判断している。このことから、現在までの進捗状況は「(3)やや遅れている」に当てはまると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況は「(3)やや遅れている」に当てはまると判断したが、自己抗原の探索については2023年度の時点で一定の成果を得られていることから、研究計画そのものに大幅な変更の必要はないと思われる。このことから当初の予定通り本研究課題を進める。2024年度に実施予定である、「探索した共通標的抗原によるエピトープ解析」についても、当初の予定通り実施する。
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