胎児発育不全における胎児肝血流量および軟部組織量を用いた周産期予後の予測
Project/Area Number |
22K16864
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 56040:Obstetrics and gynecology-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
池ノ上 学 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (40573259)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 胎児発育不全 / 胎児肝血流量 / 胎児脂肪量 / 胎児四肢容積 / 胎児超音波 / アディポカイン / 胎児軟部組織量 |
Outline of Research at the Start |
胎児発育不全(FGR)は、周産期予後不良因子の一つであり、また生活習慣病などの児の長期予後にも関連する。FGRの管理や娩出時期については確立されたエビデンスは未だ乏しく、FGRの予後予測因子の解明が望まれている。 近年、胎児肝血流量が胎児の軟部組織量(脂肪量・骨格筋量)に関連し、胎児発育の予測に有用であることが報告されている。そこで本研究では、FGRにおいて肝血流量および軟部組織量を測定し、周産期予後との関連について検討を行う。胎児肝血流量や軟部組織量が周産期予後に関する新たなパラメーターとなれば、FGRにおける周産期予後の改善へ繋がる可能性がある。
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Outline of Annual Research Achievements |
胎児発育不全(Fetal growth restriction: FGR)は、様々な母体合併症(妊娠高血圧症候群、常位胎盤早期剥離)や新生児合併症(新生児呼吸窮迫症候群、新生児虚血性脳症、低血糖、高ビリルビン血症、敗血症、脳性麻痺、周産期死亡)のリスク因子である。そのため、FGRの予後を予測し適切な周産期管理を行うことは、周産期合併症の予防を目指す上で重要である。FGRの原因の一つに子宮胎盤血流不全があり、特徴的な非対称性の胎児発育をきたす。これは血流の再分配によるものであり、脳などの重要臓器の発育は保たれるものの、肝臓などの腹部臓器の発育は妨げられ、腹囲の発育が停滞する。具体的には、胎盤から臍帯静脈を通って胎児内へ流入した血流は、一部が静脈管を通して心臓・脳へ送られ、残りは肝臓へ還流するが、FGRでは脳血流保護のため静脈管血流量が増加し、肝血流量が減少する。胎児肝血流量の減少により胎盤からの栄養基質の供給量が低下し、肝臓でのグリコーゲン産生量や、脂肪酸・トリグリセリドなど脂質の合成量が低下する。その結果、肝臓サイズの発育不全に伴う腹囲発育速度の低下や、体脂肪量の減少をきたす。本研究では、胎児期における脂肪量や肝血流量を計測し、胎児発育との関連について検討を行っており、2022年3月までに42例の妊婦のリクルートを行っている。前方視的に妊娠初期、中期、末期、産褥期における母体血および臍帯血の採血を、さらに妊娠24週、30週、36週での詳細な胎児超音波検査による胎児脂肪量や胎児肝血流量の評価を行なっている。2023年3月までに、すでに20例が分娩に至っている。今後、母体血・臍帯血における、胎児発育マーカー、アディポカインなどの測定を行い、胎児肝血流量および軟部組織量(骨格筋量・脂肪量)と胎児発育や周産期予後との関連について解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、胎児期における脂肪量や肝血流量を計測し、胎児発育や周産期予後との関連について検討を行うこととしており、2022年3月までに42例の妊婦のリクルートを行っている。前方視的に妊娠初期、中期、末期、産褥期における母体血および臍帯血の採血を、さらに妊娠24週、30週、36週での詳細な胎児超音波検査による胎児脂肪量や胎児肝血流量の評価を行なっている。2023年3月までに、すでに20例が分娩に至っている。これらの症例について,妊娠24週時における母体血清中のアディポカイン(レプチン・アディポネクチン)および遊離脂肪酸分画(24成分)と、妊娠24週,30週,36週における胎児四肢容積との相関について検討した、Preliminary な解析を行なった。妊娠24週におけるレプチンは,妊娠36週における胎児大腿容積と有意な正の相関を示した.一方でアディポネクチンおよび脂肪酸分画は,いずれも胎児四肢容積との相関は認めなかった.このことから、レプチンが新たな胎児発育の指標となる可能性が示唆された。 本研究では妊娠初期・中期・後期および分娩後の採血を行っているが、採血検体の効率良い、低コストでの解析を計画しているため、採血検体の解析がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、母体のさらなるリクルートを行い、妊娠初期、中期、末期、産褥期における母体血および臍帯血の採血、さらに妊娠24週、30週、36週での胎児超音波検査による胎児脂肪量や胎児肝血流量の評価・および周産期予後に関する情報収集を継続する。これまでに、妊娠24週におけるレプチンが,妊娠後期における胎児脂肪量の指標となる可能性が示唆された。今後さらに、母体血・臍帯血における、アミノ酸分画、脂肪酸分画、アディポカイン、IGF-1などの測定を行い、胎児肝血流量および軟部組織量(骨格筋量・脂肪量)と胎児発育・周産期予後との関連について解析を行う予定である。胎児脂肪量や肝血流量に影響を与えうる母体因子や血清マーカーを解明していくことで, 児の周産期予後のみでなく長期予後に関連する病態の解明や,早期発症メタボリックシンドロームの一次予防へとつながる可能性がある.
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)