卵巣明細胞がんの腫瘍免疫機構の解明と新たな免疫療法の探索
Project/Area Number |
22K16868
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 56040:Obstetrics and gynecology-related
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
村上 幸祐 近畿大学, 医学部, 講師 (60734671)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 卵巣がん / 卵巣明細胞がん / 腫瘍免疫 / IL-6 / IL-17 / Th17 / 免疫チェックポイント阻害薬 / 卵巣明細胞癌 / RORC / CD4 / PD-L1 |
Outline of Research at the Start |
卵巣明細胞がん(OCCC)は、予後不良であり、新たな治療戦略が必要である。卵巣がんに対する免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の臨床試験から、OCCCにはICIが奏効する可能性がある。また、OCCCはIL-6高産生腫瘍であるが、IL-6がリンパ球やマクロファージの分布に関与している可能性がある。しかし、OCCCの腫瘍内浸潤免疫担当細胞の分布とIL-6産生やPD-L1発現の関係、および宿主免疫応答については未解明である。本研究は、ヒトOCCCの腫瘍内浸潤免疫担当細胞の分布とIL-6産生やPD-L1発現の解明、並びにシンジェニックマウスモデルを用いたin vivoでの免疫応答の解明を目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
卵巣明細胞がんの腫瘍免疫機構について、特に卵巣明細胞がんに特徴的な高IL-6環境がもたらす腫瘍免疫微小環境に着目して研究を進めている。これまでの研究から、ヒト卵巣明細胞がんのin houseおよび大規模な卵巣がん臨床試験に紐づいたRNAシーケンシングデータのバイオインフォマティクス解析により、卵巣明細胞がんの持つ高IL6環境がTh17への分化誘導を介してIL17産生する腫瘍免疫微小環境をもたらすこと、この特徴は卵巣明細胞癌シグニチャーと相関すること、さらにこれが免疫チェックポイント阻害薬奏効のバイオマーカーとなりうる可能性を見出した。さらに、これらのデータから得られた現象が、実際に生体内でどのように機能しているのか、我々が樹立した近交系卵巣明細胞がんマウスモデルを用いて検証を進めてきた。IL17そのものはマウス卵巣明細胞がん細胞の炎症性サイトカイン分泌を促し、増殖が促進された。一方で、発癌させたマウスにIL17を投与し、腫瘍内のT細胞をフローサイトメトリーで調べると、疲弊したT細胞が多く浸潤してくることがわかった。また、この腫瘍を摘出してシングルセルRNAシーケンシングを行い、再現性が確認された。さらに、Th17を高発現するRorgトランスジェニックマウスからT細胞を抽出し、卵巣明細胞がんマウスに移注して生体内で高Th17・高IL17環境を維持しながら免疫チェックポイント阻害薬を投与すると、有意に予後が延長することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、特にマウスモデルを用いた腫瘍免疫微小環境の解析を重点的に行い、ヒトのデータから得られた現象が、実際に生体内でどのように機能しているのか、我々が樹立した近交系卵巣明細胞がんマウスモデルを用いて検証を進めてきた。IL17そのものはマウス卵巣明細胞がん細胞の炎症性サイトカイン分泌を促し、増殖が促進された。一方で、発癌させたマウスにIL17を投与し、腫瘍内のT細胞をフローサイトメトリーで調べると、疲弊したT細胞が多く浸潤してくることがわかった。また、この腫瘍を摘出してシングルセルRNAシーケンシングを行い、再現性が確認された。さらに、Th17を高発現するRorgトランスジェニックマウスからT細胞を抽出し、卵巣明細胞がんマウスに移注して生体内で高Th17・高IL17環境を維持しながら免疫チェックポイント阻害薬を投与すると、有意に予後が延長することがわかった。したがって、研究計画から鑑みて、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、さらにマウスのデータを頑健にするために、個体数を増やして検証を行う。さらに、マウス腫瘍のシングルセルRNAシーケンシングの解析を進める。また、現在新鮮なヒト卵巣明細胞がんサンプルを収集しており、5例を目標に揃い次第、シングルセルRNAシーケンシングの解析を行うことを予定している。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)