Research Project
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
近年、開放隅角緑内障で眼内液の濃度の上昇が報告されているAdrenomedullin(AM)がTGF-β-SmadシグナルおよびLPA(リゾフォスファチジン酸)による炎症性変化を抑制する可能性を持つことが示唆されている。本研究ではAMの上昇に伴うその下流因子の病態への関与の詳細解明を目的とする。
緑内障には様々な病型が存在し、進行スピードや病態は多岐にわたるが、各病型の詳細は明らかになっておらず病型毎の治療はできていない。最大限の治療によっても失明する症例は依然多く、緑内障の病態を特に病型毎に明らかにし診断、治療を発展させる研究は急務である。特に急激な視機能の低下を引き起こす病型である、続発緑内障(secondary open angle glaucoma: SOAG)の病態は未だに詳細が不明だが、眼内液中の様々なメディエーターの関与が指摘されている。我々はSOAGにおいて、炎症を誘発するメディエーターであるRhoの強力なアゴニストであるリゾリン脂質の一つLPA(リゾフォスファチジン酸)およびその産生酵素であるATX(オートタキシン)が上昇していることを報告した。またそれらの因子が以前より原発開放隅角緑内障(POAG; primary open glaucoma)の病態への関与が示唆されているTGF-βとの間でクロストークを示すことを見出した。同様に近年、POAGで眼内液の濃度の上昇が報告されているアドレノメデュリンがTGF-β-SmadシグナルおよびLPAによる炎症性変化を抑制する可能性を持つことが示唆されている。本研究ではアドレノメデュリンの上昇に伴うその下流因子の病態への関与と各メディエーターのtrans signalingの詳細解明を目的とした。眼内液中に発現しているアドレノメデュリンに着目し、ヒト眼内液の臨床サンプル中の濃度を緑内障病型別に解析するためにサンプルの採集を試みた。緑内障症例の組織切片におけるアドレノメデュリンの発現をRNA scopeで確認するために組織切片の取得を試みた。また房水流出動態への影響を調べるためin vitroの系においてアドレノメデュリンの線維柱帯細胞の細胞骨格や上皮間葉転換への作用の検討のための細胞培養条件の検討を行った。
All 2022
All Presentation (2 results) (of which Invited: 2 results)