老化抑制遺伝子欠損マウスの切歯を用いた加齢に伴う硬組織劣化機構の材料学的分析
Project/Area Number |
22K17079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 57040:Regenerative dentistry and dental engineering-related
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
渡邉 知恵 昭和大学, 歯学部, 助教 (40801519)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 老化硬組織モデル / 加齢 / 象牙質 / 材料特性 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,老化抑制遺伝子であるクロトー遺伝子欠損型マウスの切歯象牙質を老化硬組織モデルとして,加齢に伴う硬組織の劣化を材料工学的に評価する.ナノインデンテーションを含む先端工学技術を応用し,硬組織の分子構造・機械特性(材料特性)を数値化する.その結果,骨の質的改善を目的とした新たな創薬を促進するベースラインデータの提供を目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,老化抑制遺伝子であるクロトー遺伝子欠損型マウスの切歯象牙質を老化硬組織モデルとして,加齢に伴う硬組織の劣化を材料工学的に評価する.ナノインデンテーションを含む先端工学技術を応用し,硬組織の分子構造・機械的特性(材料特性)を数値化する.最終的には,骨の質的改善を目的とした新たな創薬を促進するベースラインデータの提供を目指している. 初年次となる本年度は,動物実験委員会および遺伝子組み換え委員会の承認を得た後,対象動物であるクロトー遺伝子欠損型(α-klotho(-/-);老化モデル)マウスを搬入し,計測サンプルの製作および測定・解析を行った.ナノインデンテーション試験による機械的特性評価では,老化モデルマウスのエナメル象牙境に近接する象牙質の弾性係数および弾塑性変曲点がコントロールである健常マウスと比較して有意に低い結果を示した.象牙質は歯髄最外層に位置する象牙牙細胞から形成されるため,老化モデルマウスでは加齢に伴い象牙質の性質が変化したことが示され,これは老化による質的劣化の影響によるものと考えられた.その結果については,第81回日本歯科理工学会学術講演会にて発表を行い,クラレノリタケデンタル株式会社の企業賞を受賞した. 現在は粘弾性挙動や顕微ラマン分光分析を含めた解析をまとめており,そちらに関しても結果を発表していく方針である.また,令和5年度も老化モデルマウスの搬入が予定されており,サンプルを増やし機械的特性の低下の原因や機序についてさまざまな角度から検討を行っていく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
老化モデルマウスの象牙質についてサンプルを製作し,機械的特性の計測を開始している.その結果,老化モデルマウスではエナメル象牙境に近接する象牙質の弾性係数および弾塑性変曲点の低下が認められ,得られたデータに関する学会発表を行った.また,同サンプルに対する顕微ラマン分光分析や粘弾性試験に関してもデータ採集を行っている.粘弾性試験の解析では,MATLABをもちいた荷重曲線の近似(Fitting Curve)により,粘性と弾塑性それぞれに対して評価ができている.以上をふまえて,予定通り当初の研究計画を遂行できていると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度も老化モデルマウスの搬入が予定されており,引き続き各試験のデータをまとめていく予定である.そちらに加えて組織老化の根拠を探索するために,象牙質以外の組織を対象として生化学的評価も予定している.また,スクラッチ試験といったさらなる機械的特性評価や,蛍光染色をもちいた硬組織描記法によりいつの時点で形成された象牙質か確認することも検討している. マウス切歯象牙質が硬組織の質的評価モデルとして,今後さまざまな疾患モデルマウスに応用できる可能性が示唆されれば,各疾患がもたらす硬組織への影響を明らかにすることができ,さらなる応用研究が期待できる.
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)