Project/Area Number |
22K17080
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 57040:Regenerative dentistry and dental engineering-related
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
原 基 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 助教 (90845281)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Keywords | 歯髄幹細胞 / 再生医療 / 歯の細胞バ ン ク / 肝細胞 / 肝炎モデル / 細胞分化特異的転写因子 / 歯の細胞バンク / 多系統分化 / 間葉系幹細胞 |
Outline of Research at the Start |
間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cell; MSC)は多くの細胞系統に分化し、有力な再生医療の細胞資源である。歯の歯髄細胞は自然脱落した乳歯や抜去智歯から得られるため、骨髄採取などに比較して費用や侵襲性が少なく、特に優れた細胞資源である。申請者が所属する日本歯科大学では歯の細胞バンク事業を行っている。申請者らはこれまで歯髄MSCが、肝細胞形質を有する細胞に分化し、動物モデルにおいて重症肝炎を改善する効果があることを明らかにした。歯髄細胞は将来性に富んだ細胞資源として、様々な疾患への応用が期待される。本研究では再生医療研究を発展させ、歯の細胞バンクの実際の臨床応用の確立を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cell ; MSC)は多くの細胞系統に分化することのできる細胞である。 MSCは多くの細胞系統に分化し、有力な再生医療の細胞資源であることが知られている。更に、歯の歯髄細胞は自然脱落した乳歯や抜去智歯から得られるため、骨髄採取などに比較して費用や侵襲性が少なく、特に優れた細胞資源である。申請者が所属する日本歯科大学では2015年より歯の細胞バンク事業がスタートしている。申請者らはこれまで歯髄MSCが、肝細胞形質を有する細胞に分化し、動物モデルにおいて重症肝炎を改善する効果があることを明らかにした。このように歯髄細胞は将来性に富んだ細胞資源として、様々な疾患への応用が期待されている。本研究ではこれらの再生医療研究を発展させ、歯の細胞バンクの実際の臨床応用の確立を目指すものである。 本研究の目的は、歯の細胞バンクの実際の応用に向けて、歯髄細胞の中で多彩な細胞系統への分化を可能とする表面マーカーと各々の細胞形質への分化に必要な増殖因子を明らかにし、更に歯髄MSCの炎症抑制作用の機序を解明することによって、多様な疾患への、本バンクを利用した再生医療の具体的な道筋をつけることにある。申請者らは本研究費を用いてまず歯髄MSCから肝細胞への分化への詳細な分子機序を解析することが重要であると考え研究を遂行している。 まず申請者らは歯髄MSCを種々の条件でActivin Aやインスリン、EGF、HGF濃度で培養し肝細胞分化の再現性のある条件を検討しているが、実験結果は一様でなく、特に初代歯髄MSCの培養継代数などにも微妙に左右されるため、未だ再現性のある分化条件を確立する段階には至っていない。今後は低酸素暴露などによってMSCのPre-conditioningを施行し分化能を向上させることに注力していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者は大学院時代の研究と研究活動スタート支援に基づいた細胞培養や動物実験の研究経験によって、これらの技術には習熟している。しかしながら間葉系幹細胞(MSC)の培養や分化への至適培養条件の決定は予想以上に難しく今現在、試行錯誤を繰り返している段階である。具体的にはMSCの肝細胞類似細胞分化に関しても、過去20を超える報告があるが一様ではなく、MSCには表面マーカーからみたHeterogeneityが存在しており、単にFriedstein法のように細胞増殖能の高い細胞集団が分化に適しているという単純な理由ではないことを見出している。従ってMSCの増殖曲線による適当な増殖能と分化因子(例えば肝であればActivin A、FGF、HGF、インスリン)の至適な組み合わせがどこに存在しているのかということを見出すことはなかなか難しいと実感している。しかしながら申請者らは肝細胞の形質獲得に最も重要な転写因子は肝細胞特異的転写因子(HGF-4)の発現が鍵であることを見出しており、今後HNF-4の発現の多寡をマーカーとして上記の肝細胞分化に必須の増殖因子によるHNF-4の発現誘導について検証している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のMSCの培養、及び分化の基礎実験を進行させ、効率よく多系統へ分化する細胞集団を表面マーカーの解析から同定することを試みたい。過去の多くの報告によればCD73、CD105、更にCD117などがMSCの分化能発揮に必須であるとされる。これらの報告を参考にして、種々のCD分子特異抗体の組み合わせによって、増殖能、分化能に優れたMSC分画を精製する。そして精製したMSC分画の肝細胞への分化誘導を基礎的な方法として発展させ、培養上清に加える成長因子を変え骨、軟骨、歯、神経、脂肪、ラ氏島への多系統細胞分化能を検証する。(研究協力者の大越、石川の指導を受ける。) MSCが組織損傷を修復する状況では、炎症による低酸素と低栄養状態においてその効果を発揮する必要性に迫られていることが知られている。申請者らはMSCのPre-conditioningによる分化能、増殖能の誘導について興味を抱いている。特に低酸素暴露下ではMSCが増殖、分化能を増強させる可能性がある。申請者らは低酸素培養系の予備実験を行っており、今後4%程度の酸素濃度下での歯髄MSCの多系統細胞分化の促進の有無について研究を遂行していく。
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