メトホルミンによる軟骨保護効果とその制御機構の解析
Project/Area Number |
22K17157
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 57060:Surgical dentistry-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
近藤 星 岡山大学, 大学病院, 医員 (90834838)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | メトホルミン / UCA1 / CCN2 / 軟骨細胞 / ドラッグリポジショニング |
Outline of Research at the Start |
変形性関節症 (OA)は痛みや軟骨破壊を伴い、世界で3億人以上が罹患する退行性の骨・関節疾患である。OAによる日常生活動作の制限は要介護の主な原因の一つであり、OA発症の分子メカニズム解明とその制御が急がれている。最近、糖尿病治療薬メトホルミンによるOA治療効果が報告されたが、その詳しい作用機序はわかっていない。 本研究は、メトホルミンによる軟骨保護効果とその制御機構における非コードR N Aの役割を明らかにし、メトホルミンをOA新治療薬として活用する基盤へつなげることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度の2022年度は、以下の結果を得た。 1. 軟骨細胞株HCS-2/8におけるメトホルミン(Met)作用の最適濃度・時間の検討を行なうとともに、Metを添加した場合の軟骨保護効果を検証した。Met濃度0-50 mMにおいて、濃度依存的に時間経過に伴い細胞増殖が抑制されたが、各濃度で細胞障害性は認めなかった。また0-10 mMでMetを添加したところ,アルシアンブルー染色性の細胞外基質は5 mMまで濃度依存的に顕著な蓄積の促進を認めたが,10 mMでは低下した。 2. HCS-2/8細胞に0-10 mM Metを添加したところ、軟骨分化を促進するUrothelial cancer-associated (UCA) 1, Cellular Communication Network Factor (CCN) 2, COL2A1, miR-18aの遺伝子発現は濃度依存的に上昇し、5 mMにおいて最高となったことから、5mM Met添加後の経時的な遺伝子発現を解析した。Met添加後、24時間でmiR-18a発現が上昇し、次いで48時間でUCA1発現の上昇を認めた。また、CCN2, COL2A1もMet添加後、経時的に発現が上昇した。 3. HCS-2/8細胞にUCA1 siRNAの導入により内因性UCA1をノックダウンしたのちMetを添加し、UCA1のMetによる発現促進を抑制したところ、UCA1発現抑制により、miR-18aの発現が低下しただけでなく、MetによるmiR-18aの発現促進作用が消失した。 4. HCS-2/8細胞にUCA1を過剰発現し、経時的な遺伝子発現を解析したところ、miR-18a-5p発現は24時間で低下し、その後上昇した。CCN2, Sox9発現は24時間で上昇し、その後低下した。ACAN, COL2A1発現はUCA1過剰発現により低下した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究初年度にも関わらず、癌細胞とは異なり、軟骨細胞ではメトホルミン添加でUCA1発現が上昇することを見出せたのは大きな成果であった。メトホルミンによるUCA1遺伝子発現制御が細胞種に依存するということは他に報告のない新発見である。また、miR-18aもメトホルミンにより発現が誘導され、miR-18aとUCA1の間の相互抑制作用のバランスが時間経過とともにUCA1 優位になることで、CCN2発現抑制因子であるmiR-18aを抑制し、CCN2を含む軟骨細胞代謝マーカーの遺伝子発現を促進することが示唆されたことは、部分的にではあるが、メトホルミンによる軟骨保護効果のメカニズムの解明につながる成果といえる。今回の結果をすでに論文化する準備にも入っており、研究計画当該年度の進捗状況は当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度についても培養細胞およびUCA1ノックインマウスでの検証を引き続き進めていく予定である。 UCA1ノックインマウス由来OAモデルの作製を行い、ヒトOA軟骨細胞やUCA1ノックインOAモデルマウスのそれぞれでMetによるUCA1誘導や軟骨保護効果について実験する。 軟骨細胞におけるメトホルミンによるUCA1誘導効果については、研究成果をまとめて近日中に論文化し、投稿する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)
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[Presentation] 軟骨細胞におけるメトホルミンによるlong non-coding RNA, UCA1およびCCN2の 発現制御.2022
Author(s)
近藤星, 服部高子, 桑原実穂, Fu Shanqi, 西田崇, 薬師寺翔太, 吉岡洋祐, 森谷徳文, 飯田征二, 滝 川正春, 久保田聡
Organizer
第45回日本分子生物学会年会/日本生物物理学会共催
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[Presentation] メトホルミンの軟骨細胞におけるlong non-coding RNA, UCA1およびCCN2の発現 制御と代謝における意義2022
Author(s)
近藤星, 服部高子, 桑原実穂, Fu Shanqi, 西田崇, 薬師寺翔太, 吉岡洋祐, 森谷徳文, 飯田征二, 滝 川正春, 久保田聡
Organizer
第13回日本CCNファミリー研究会
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[Presentation] メトホルミンによる非コードRNA誘導と軟骨細胞分化促進作用2022
Author(s)
近藤星, 服部高子, 桑原実穂, Fu Shanqi, 西田崇, 薬師寺翔太, 吉岡洋祐, 森谷徳文, 飯田征二, 滝川正春, 久保田聡
Organizer
第34回日本軟骨代謝学会
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