Project/Area Number |
22K17159
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 57060:Surgical dentistry-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上加世田 泰久 九州大学, 大学病院, 医員 (80907048)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 口腔扁平苔癬 / IPHBA / OLP / Epas1 / Il-31 / IL-31 / Sp1 |
Outline of Research at the Start |
本研究ではOLP病変局所の粘膜上皮や間質において、それぞれ特異的にIL-31やEpas1/Sp1などの発現が確認できれば、口腔粘膜におけるIL-31,Epas1/Sp1の新たな役割や重要性が明らかになると同時に、先行研究で見出したIPHBAに注目し、OLPにおけるステロイド療法に変わる新規治療法の開発へ展開できる可能性があり、極めて有意義な研究であると思われる。
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Outline of Annual Research Achievements |
口腔扁平苔癬(oral lichen planus: OLP)は、口腔粘膜に生じた角化異常を伴う難治性の慢性炎症性疾患である。一部のOLP症例では1%程度、初期口腔癌への悪性転化が認められ、近年WHOでは口腔潜在的悪性疾患に分類されている。しかしながら、OLPの発症・病態進展のメカニズムは不明な点が多く、根治的な治療は確立されておらず、ステロイドなどの対症療法が主体である。我々の先行研究で、アトピー性皮膚炎の掻痒惹起物質であるIL-31をEpas1依存的に阻害する低分子化合物4-(2-(4-isopropylbenzylidene) hydrazineyl) benzoic acid (IPHBA) を同定しアトピー性皮膚炎の新規治療薬としての有用性を報告した。そこで本研究では、先行研究で見出したIPHBAに注目し、OLPにおけるステロイド療法に変わる新規治療法の開発を目的とする。 OLPの病変上皮におけるEpas1依存的に発現するIL-31の同定、もしくは疾患関連分子の同定(令和4年度)一般に、ヒトの組織でDNAマイクロアレイを行う際、遺伝子の個体差が大きいため、患者・健常者間で遺伝子発現を正確に比較することは困難である。そこで本研究の先行実験として、OLP患者の生検材料から病変上皮と正常上皮(同一症例)をlaser microdissection (LMD)法にて採取し、この2つの組織をDNAマイクロアレイにて比較検討を行なった。現在、IL-31をEpas1/Sp1に注目して、OLPの病変局所における発現と局在および臨床所見 (悪性化の頻度や病型)との関連について継続して調べる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
口腔扁平苔癬(oral lichen planus: OLP)患者の生検材料から病変上皮と正常上皮(同一症例)をlaser microdissection (LMD)法にて採取し、この2つの組織をDNAマイクロアレイにて比較検討を行なった。その結果、病変上皮において正常上皮と比べ発現が上昇している、もしくは低下している遺伝子を複数同定した。現在、その同定した遺伝子のvalidationが難航している。また、OLP患者の生検材料を用いて免疫染色でEpas1、Sp1、IL-31が発現しているか検討中であるが、免疫染色条件が定まらない。OLP 18名、非特異性潰瘍5名、過角化症13 名、白板症5名および口腔癌9名の組織標本を用いて、T細胞を含む各リンパ球とサイトカインの多重蛍光免疫染色を行い、定量解析した。OLP患者組織からCD45陽性細胞を抽出し、scRNA-seqによる遺伝子発現解析を行った。組織標本を用いた多重蛍光免疫染色において、OLPでは病変局所に多数のTregの浸潤を認めた。 口腔扁平苔癬(oral lichen planus: OLP)患者の生検材料の病変上皮から分離したTh2細胞のIL-31産生能力とIPHBA効果の解析(令和5年度)OLP患者の生検材料の病変上皮から分離したCD4陽性ヘルパーT(Th)細胞もしくはTh2細胞を刺激し、IL-31の発現を確認するとともに、培養上清を採取してサイトカインアッセイを行う (in vitro)予定であるが、組織から細胞を単離した際に、病変部の細胞が非常に少なく、実験条件を現在検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔扁平苔癬(oral lichen planus: OLP)患者の生検材料の病変上皮から分離したTh2細胞のIL-31産生能力とIPHBA効果の解析(令和5年度)OLP患者の生検材料の病変上皮から分離したCD4陽性ヘルパーT(Th)細胞もしくはTh2細胞を刺激し、IL-31の発現を確認するとともに、培養上清を採取してサイトカインアッセイを行う (in vitro)。その際に、増加したIL-31 がIPHBAの有無で差が見られるか、確認を行う予定である。また、OLP患者の生検材料から病変上皮と正常上皮(同一症例)をlaser microdissection (LMD)法にて採取し、この2つの組織をDNAマイクロアレイにて比較検討で注目している遺伝子について、更なる解析を進める予定としている。それとともに近年、同じくT細胞が病態形成に関与するとされているアレルギー疾患、自己免疫疾患および炎症性腸疾患で、腸内細菌叢の異常(dysbiosis)が同疾患の発症に関与することが報告されている。OLPが、炎症性粘膜炎であることを考慮すると、腸内細菌叢の変化が病態形成に関与する可能性は十分に考えうる。よって、OLPの病態とdysbiosisとの関連を解明することで、ステロイド療法に変わる新規治療法の開発の新たな糸口にならないか、OLP患者と健常者を対象とし、被験者より採取した糞便を用いて16S rRNA解析を行い、両群の細菌叢を比較解析したいと考えている。
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