地域住民における腸管への口腔細菌異所性定着とそのリスク因子の解明
Project/Area Number |
22K17269
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 57080:Social dentistry-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
影山 伸哉 九州大学, 歯学研究院, 助教 (90822495)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 口腔マイクロバイオーム / 腸管マイクロバイオーム / ロングリードシークエンサー / 16S rRNA / 異所性定着 |
Outline of Research at the Start |
口腔には膨大な数の細菌が複雑な常在細菌叢(マイクロバイオーム、MB)を構築して生息しており、我々はこれらの細菌を嚥下の度に飲み込んでいる。一方、様々な疾患患者の腸管MBにおいて口腔細菌が検出されており、口腔細菌の腸管への異所性定着が疾患発症に関わっていると考えられるようになってきた。本研究では、地域住民における腸管への口腔細菌異所性定着を高精度に検証し、そのリスク因子の同定を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続き唾液検体ならびに便検体のマイクロバイオーム解析を行った。ロングリードシークエンサーのPacBio Sequel II/ IIeシステムを用いて得られた16S rRNA遺伝子全長の塩基配列を用いて、各検体に含まれる細菌構成を明らかにした。本解析手法では細菌の識別に用いる16S rRNA遺伝子の可変領域(V1-V9領域)の塩基配列が全て解読されるため高精度な細菌同定が可能となるが、それに加えて最小1塩基の違いを区別する amplicon sequence variant(ASV)アプローチを組み合わせ、さらに高解像度に各検体の細菌構成を決定した。その結果、唾液マイクロバイオームと腸管マイクロバイオームの細菌構成は大きく異なっていたものの、72.9%の地域住民の腸管マイクロバイオームから少なくとも1つの口腔ASVが検出されることが明らかとなった。特に、Streptococcus salivariusやStreptococcus parasanguinis、Veillonella disparが腸管から高頻度・高比率に検出されていた。また、腸管マイクロバイオームにおける口腔細菌比率は、加齢やプラークの蓄積により増加していた。さらに、口腔細菌比率の増加した腸管マイクロバイオームでは有益な腸管常在細菌の比率が低下し、既知の病原性細菌の比率が増加していた。以上より、加齢や口腔衛生状態の悪化が腸管マイクロバイオームにおける口腔細菌比率を増加させ、腸管常在マイクロバイオームの細菌構成に影響を与える可能性が示唆された。一方、本研究は解析検体数が少なく、全身の健康状態など口腔細菌異所性定着のリスク因子の詳細については十分に検討できていない。今後は、解析検体数を増やして引き続き口腔と腸管マイクロバイオームの関係性について研究を続けていく。
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Report
(2 results)
Research Products
(15 results)