腸内細菌叢を用いた機械学習によるパーキンソン病の予後予測
Project/Area Number |
22K17343
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 58020:Hygiene and public health-related: including laboratory approach
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西脇 寛 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (80919134)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 腸内細菌 / 機械学習 / パーキンソン病 / 統計 / 予後予測 |
Outline of Research at the Start |
近年、パーキンソン病(PD)の少なくとも50%において、腸管神経叢で生じたαシヌクレイン(レビー小体)の異常凝集が、迷走神経を経由して迷走神経背側核・青斑核・中脳黒質に進展することが明らかにされてきたが、腸内細菌叢の変化がPDやRBDの結果か原因か不明である。そこで、PD・RBD患者を2年間、4年間フォローアップして研究開始時における腸内細菌叢がPD・RBD進行を予測できるか否かを明らかにするとともにPD・RBD進行に伴う腸内細菌叢の変化を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
私はパーキンソン病(PD)患者165人を2年間フォローアップして、腸内細菌叢と症状の進行の関係を明らかにするために研究開始時の腸内細菌叢から2年後の症状進行を予測するランダムフォレストモデルを作成しました。パーキンソン病の重症度を確立された手法により5段階に分けて評価しました。第1段階の早期パーキンソン病患者の2年間の第2段階以上への進行を腸内細菌叢が正答率79.2%で予測しました。短鎖脂肪酸産生菌であるFusicatenibacter属, Faecalibacterium属, Blautia属の少ない患者、ムチン分解菌であるAkkermansia属の多い患者は症状進行が早いことがわかりました。それぞれの患者でこれら4つの菌の量は2年間で変化せず、4つの菌がパーキンソン病の進行を早める可能性が示されました。本研究の結果から、早期パーキンソン病患者に対して腸内細菌叢を正常化する、あるいは不足する腸内代謝産物を補う治療介入を行うことで症状進行を遅らせることができる可能性があることが示されました。以上の研究成果がnpj Parkinson's diaseaseに掲載されました。 また私は、レビー小体型認知症(DLB)の腸内細菌叢と糞便胆汁酸を解析しました。その結果、短鎖脂肪酸(SCFA)を産生する腸内細菌が低下し、腸の粘膜を分解するAkkermansiaが上昇する特徴がPD患者とDLB患者において共通して認められました。糞便中の胆汁酸を定量したところ、DLBではウルソデオキシコール酸(UDCA)の産生が高いことがわかりました。以上の研究成果がnpj Parkinson's diaseaseに掲載されました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
腸内細菌叢によりパーキンソン病の予後を予測研究はすでに終了しました。今後は得られた知見をいかしてパーキンソン病のさらなる病態解明を行っていきます。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画を2つ考えています。 (I) Shotgun metagenome法による先行研究が6例あり腸内細菌叢が細菌遺伝子レベルで異なることが明らかになってきました。しかし、各研究ごとに結果が異なりさらに細菌遺伝子の変化が腸内代謝産物の変化につながっているかどうか不明であり発展的な結果を得られていません。そこで、私たちの研究グループは、現在入手可能なshotgun metagenomeデータと我々のグループのshotgun metagenomeデータの計6個を用いてメタ解析を行い、共通して増加・減少する遺伝子や代謝経路(pathway)の同定を試みています。さらに、メタ解析の結果から増加・減少が予測される便中代謝産物の測定を行っていく予定です。 (II) ウイルスには真核生物に寄生するeukaryotic virusと細菌に寄生するbacteriophageがあり人に直接寄生するeukaryotic virusについては人への影響の研究が盛んです。しかし、bacteriophageについては人への影響を調べる研究は少なく免疫系や炎症に関与することが示されている程度です。また、近年腸内細菌叢解析だけでなく腸内ウイルス叢解析が各疾患で行われつつあります。細菌はbacteriophageと相互作用するため腸内ウイルス叢を含めて解析することで腸内の全体像を把握できる可能性が高く病態解明や治療戦略につながると思われます。そこでパーキンソン病で増減するbacteriophageの同定を試み、それをパーキンソン病の病態の解明につなげていくことを目指します。また、全世界のメタゲノムデータから国ごとにウイルス叢解析を行いデータベースの作成を行う予定です。これによって、ウイルス叢解析の基盤づくりと研究の促進を目指します。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)