Project/Area Number |
22K17347
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 58020:Hygiene and public health-related: including laboratory approach
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
有馬 弘晃 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (30909122)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | ルワンダ / 妊婦 / 歯周病菌 / 病原性遺伝子 / 低体重児出生 / 歯磨き習慣 / 早産 / 低出生体重 |
Outline of Research at the Start |
人類の約50%が罹患している歯周病は、妊婦に早産や低体重児出生を誘発させることで、特に途上国で新生児の命を脅かしている可能性が指摘されている。これまでの多くの研究では、妊婦歯周病の評価尺度として“歯周病の進行度”が用いられてきたが、ルワンダでの予備調査から『歯周病菌の菌種が妊娠週数や出生時体重に影響する』という示唆を得ている。そこで本研究では、妊婦口腔内の歯周病菌量が早産や低体重児出生にもたらす影響を菌種別に明らかにする。また、妊婦の歯磨き習慣と保菌状況における地域の特性を明らかにすることで、その地の習慣に根差した口腔ケア法の開発を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の成果の一部が月刊誌「Medical Science Digest」と「Bio Clinica」に掲載された。ルワンダ農村部ルシジ地区の妊婦口腔内から歯周病菌を検出し、その菌量と歯磨き習慣や出産結果との関連性を解析した結果を和文でまとめたものである。 また本年度は、菌量に着目したこれまでの検証に加え、歯周病菌の病原性遺伝子に着目し、その遺伝子型が歯磨き習慣や妊婦の属性でどのように異なるのか、そして妊娠出産結果との関連性があるのかを明らかにする研究を開始している。重度の歯周病を引き起こすRed-complexの中でも、最も歯周病原細菌として知られるPorphyromonas gingivalisに着目し、その病原性遺伝子(RgpA、RgpB、Kgp)の全塩基配列を読むための実験を計画した。まずNCBIからATCC標準株の対象遺伝子配列を抽出し、ApEソフトウェアにて約500-600bpずつに分割した領域に対するプライマーを設計した。これらのプライマーを用いて実際にPCRを行い、シングルバンドが得られたサンプルはそのままシークエンス解析を行った。PCRにて複数のバンドが確認されたサンプルや増幅領域では、PCR産物を電気泳動し、ゲルを切り出してDNAを精製したものをシークエンス解析に用いた。本年度は、妊娠出産結果と紐づけされている94サンプルとATCC株の計95サンプルのシークエンスデータの取得まで終了した。来年度は各遺伝子の塩基配列から系統解析をし、早産や低体重児出生のリスク因子となる遺伝子型の探索を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、アフリカ農村部の妊婦における口腔内の歯周病菌分布が早産や低体重児出生のリスク因子となっているかを明らかにすることを目的としている。そこでルワンダ農村部ルシジ地区において、妊婦を対象とした調査と妊娠後の出生データの取得を行っている。質問紙を用いた妊娠中の聞き取り調査では、妊婦の基本的属性や歯磨き習慣(歯磨き頻度、ブラシ交換頻度、仕様器具等)についてのデータを取得した。同時に妊婦の唾液を採取しDNAを抽出した。出生後には児の身長、体重、性別、出産時週数のデータを取得した。 ルシジ地区では実際に、歯磨き回数が少ない妊婦では口腔内の歯周病菌量が多いことがわかっている。菌量と出産結果との関連解析では、口腔内の歯周病菌量が多いほど児の体重が低くなる傾向にあった。これらの結果をまとめ、論文として報告している。 さらに歯周病菌量に着目したこれまでの検証に加え、歯周病菌の病原性遺伝子に着目し、その遺伝子型が歯磨き習慣や妊婦の属性でどのように異なるのか、そして妊娠出産結果との関連性があるのかを明らかにする研究を開始している。重度の歯周病を引き起こすRed-complexの中でも、最もメジャーなPorphyromonas gingivalisに着目し、その病原性遺伝子(RgpA、RgpB、Kgp)の全塩基配列を読むための実験を計画した。ApEソフトウェアにて約500-600bpずつに分割した領域に対するプライマーを設計した。これらのプライマーを用いて実際にPCRを行い、シングルバンドが得られたサンプルはそのままシークエンス解析を行った。PCRにて複数のバンドが確認されたサンプルや増幅領域では、ゲルを切り出して目的のPCR産物を精製したものをシークエンス解析に用いた。妊娠出産結果と紐づけされている94サンプルとATCC株の計95サンプルのシークエンスデータの取得まで終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、まずP. gingivalisの病原性遺伝子に関する解析を継続し、シークエンスデータのクリーニング及び多型情報のまとめを行う。それぞれの一塩基多型について、妊婦の年齢、児の出生時身長、出生時体重との関連性を解析する。また、これらの解析からハイリスク型の遺伝子を同定した後、対象のSNPを検出するプライマーとプローブを設計し、妊娠に対するハイリスク歯周病菌の検査手法を確立する。 さらに現在倫理申請中の研究計画では、地域間での歯磨き習慣や歯周病菌の保菌状況の違いが出産結果にそのような影響を与えているかを明らかにしてく予定である。
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