Project/Area Number |
22K17627
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 59010:Rehabilitation science-related
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Research Institution | Tohoku Seikatsu Bunka College (2023) Tohoku University (2022) |
Principal Investigator |
中尾 真理 東北生活文化大学, 家政学部, 教授 (00764028)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 介護負担 / 摂食嚥下障害 / 家族介護者 / 精神的健康 / 持続可能性 / 介護の持続可能性 / 地域包括ケアシステム |
Outline of Research at the Start |
本研究は、摂食嚥下障害患者の在宅介護者の介護負担を客観的に明らかにし、介護を持続可能とするために、介護負担を測定するための指標を開発することを目的とする。 令和4年度は 米国で開発された「摂食嚥下障害者介護負担調査票(Caregiver Analysis of Reported Experiences with Swallowing Disorders: CARES)」の日本語版の原案を国際的に合意された手順に則って開発する。更に、日本文化に適した調査票にするため、CARES翻訳原案を10名の摂食嚥下障害患者の在宅介護者に対しパイロットスタディーを行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は摂食・嚥下障害者の在宅介護者の介護負担を客観的に明らかにし、介護を持続可能とするための基礎データの作成を目的にしている。2022年度は、介護者の介護負担を測定するための指標を開発することを目標として、米国で開発された摂食嚥下障害者の家族介護者の介護負担の評価ツールである「摂食嚥下障害者介護調査票」(Caregiver Analysis of Reported Experiences with Swallowing Disorders: CARES)を翻訳し、オリジナルと等価概念を表す日本語版原案を作成した。この翻訳プロセスについては現在論文化を進めている。作成された摂食嚥下障害者介護調査票日本語版原案(CARES-J)を用いて、10名の家族介護者と嚥下障害患者を対象にしたパイロットスタディを行った。具体的には、CARES-Jを家族介護者に回答してもらい、質問項目の回答のしやすさや改善点について、面接を家族介護者(男性2名、女性8名)に対して行った。調査の結果からCARES-J第1版を作成した。パイロットスタディの結果については、2023年9月第29回摂食嚥下リハビリテーション学会定期学術集会および2023年11月Asia Dysphagia Society 2023で発表した。また結果について2024年度中に論文化を予定している。 2023年度はCARES-J第1版の信頼性妥当性検証のため、本調査の実施に取り掛かった。、東北大学医学系研究科倫理委員会(承認番号2023-1-912)と東北生活文化大学倫理委員会(承認番号 令和5―第15号)の承認を得た。2023年10月より8つの医療機関と1つの患者家族会の協力を得て、410部のアンケートセットを頒布し、2024年5月21日までに合計110名より回答を得ている。7月末まで対象者登録を継続し、解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度に作成作成した摂食嚥下障害者介護調査票日本語版原案(CARES-J)を用いて、10名の家族介護者と嚥下障害患者を対象にしたパイロットスタディを行った。調査の結果から、CARES-J日本語版原案の質問項目を修正し、CARES-J第1版を作成し、逆翻訳を行い、原著者レビューを行った。2023年度は、完成したCARES-J第1版の信頼性妥当性検証を目指し、大規模調査を実施している。まず、研究内容につき、複数の在宅訪問医療や外来診療で摂食嚥下障害の診療・や訪問看護サービスの提供を行っている医療機関に説明、協力を求めた。最終的に8つの医療機関と1つの患者家族会の協力を得られることとなった。東北大学医学系研究科倫理委員会の承認(承認番号2023-1-912)と自身の所属する東北生活文化大学倫理委員会の承認(承認番号 令和5―第15号)を得た。承認に当たっては、研究代表者の所属施設の変更により、倫理審査上の研究代表者の変更を要するなど時間を要し、当初の予定以上に時間がかかった。2023年11月と2024年1月にCARES-J第1版、患者及び家族介護者の背景情報や現在の食事内容、介護の具体的な内容と利用している訪問サービス等を得るための調査票、一般的な介護負担を調査するためのZARIT介護負担尺度、家族介護者の精神的健康を測定するためのSF-36 v2.0(包括的Q O L調査票) をそれぞれ90部と220部各協力施設と団体(対象施設・団体)に送付した。返送数は現在総数110部程度であり、目標としている嚥下障害患者家族介護者群125部 嚥下障害のない介護の必要な患者家族数38部まで55部ほど不足するため、さらに2024年5月100部を追加で送付し、協力施設・団体に配布をお願いしている。データ登録は7月末までの予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
まずCARES-J第1版の信頼性妥当性検証を目指す。配布中のアンケート調査は7月末までに回収・登録し8月中にデータ化を目指す。これらのデータを用いて、ラッシュ分析を行い、調査票の信頼性妥当性を検証する。検証が完了したのち、CARES日本語版第1版とZarit介護負担尺度日本語版、被介護者の食事状況から特定したIDDSI―FDSの2変量相関を解析し、基準関連妥当性を検証する。その後、以下の3点について解析を行う。(1)被介護者の摂食嚥下障害の有無とCARES日本語版第1版及びZarit介護負担尺度日本語版における介護負担の差異についての解析:被介護者の摂食嚥下障害あり群となし群における介護負担尺度上の量的比較と質的比較を行う。(2)摂食嚥下障害患者の在宅介護者の介護負担と精神的健康の関連についての解析: CARES日本語版第1版の回答と、SF36v2の回答結果を用いて、介護者の介護負担と精神的健康状態の関連を解析する。(3)摂食嚥下障害患者の在宅介護において、訪問系サービスの利用の有無及び頻度と家族介護者の精神的健康の関連についての解析: 対象者の家庭における訪問系サービス利用の有無及び利用頻度の調査結果と、S F36v2の回答結果を用いて、訪問系サービスの利用の有無及び頻度と家族介護者の精神的健康状態の関連を解析する。以上の解析から得られた結果を、2024年3月に米国フィラデルフィアで行われる米国嚥下学会で発表し、摂食嚥下障害についての査読つき英文雑誌のうちトップジャーナルであるDysphagia (Springer社)に投稿を予定する。今回の研究で摂食嚥下障害患者の在宅介護を持続可能とするための基礎データを作成・提供できる見込みである。次年度以降は、これをもとにして、誰1人取り残さない社会に資するべく、当事者に本当に必要とされる介入について検討していきたい。
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