Project/Area Number |
22K17826
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
富永 直臣 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教(テニュアトラック) (90891507)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 細胞外小胞 / エクソソーム / 老化 / 骨格筋 / 筋肉 / 脳 |
Outline of Research at the Start |
超高齢社会において健康寿命の延長は重要な課題となっている。特に骨格筋は、歩行などの自立活動に重要な組織であることからも、健康寿命の延長の要となる。エクソソームは、様々な細胞から分泌される100nm程度の小胞で、細胞間コミュニケーションに重要なツールであることが、近年の研究で明らかとなってきた。今後さらにエクソソームを中心とした臓器間コミュニケーションメカニズムの解明が求められている。本研究では、エクソソームを中心とした臓器間コミュニケーションに注目し、エクソソームが及ぼす臓器機能への影響解明を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
エクソソーム(細胞外小胞)は100nm程度の小胞で、様々な細胞から分泌されることが分かっている。細胞内で作られた細胞外小胞には、タンパク質、RNA、DNAなど様々な分子が内包されている。細胞外小胞は細胞から分泌されると、近くの細胞や血流によって遠くの細胞に取込まれる。細胞外小胞が細胞に取込まれると、内包されていた分子が作用し、受容細胞の状態を変化させる。近年このような細胞外小胞を中心とした細胞間コミュニケーションメカニズムによる生命現象が明らかになってきている。しかし、細胞外小胞を中心とした細胞間コミュニケーションメカニズムと老化との関連については不明な点が多い。超高齢社会を迎えた日本では、老化関連疾患のメカニズム解明と治療法の開発が求められている。本研究は、骨格筋由来細胞外小胞による認知症発症メカニズムの解明を目的としている。本年は、若齢・老齢マウスから骨格筋幹細胞(筋芽細胞)を培養・分化させた後、細胞外小胞を回収した。回収した細胞外小胞は、粒子径、粒子数、タンパク質の発現について解析を行った。その結果、老化マウス骨格筋由来細胞外小胞では、粒子数が少なくタンパク質濃度が高いことが明らかとなった。さらに、一部のタンパク質発現に違いがあることを見出した。また、細胞外小胞の糖鎖修飾について8種類のレクチンを用いて、レクチンブロットを行ったところ、若齢・老齢骨格筋由来細胞外小胞に発現パターンの違いがみられた。特に、骨格筋由来エクソソームは肝臓マクロファージの増殖を抑制することが示された。これらの結果は、老化により細胞外小胞が変質することを示している。本研究継続により、老化マーカーの発見、臓器間コミュニケーションダイナミクスの理解と新規治療法開発に貢献することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、骨格筋由来細胞外小胞の老化変化を明らかにし、臓器間連関の解析を目的としている。これまでの研究で、マウス骨格筋から筋芽細胞の初代培養を樹立した。さらに、筋芽細胞を筋繊維に分化させ、細胞外小胞を精製・濃縮することに成功した。回収した細胞外小胞を、ナノトラッキング法により粒子径・粒子数を計測、加えてmicroBCA法によりタンパク濃度を測定した。その結果、老齢マウス由来の細胞外小胞では、1粒子当りのタンパク濃度が高いことが明らかとなった。レクチンブロット法やウェスタンブロット法により、糖鎖修飾・タンパク質発現についても解析したところ明確な違いを明らかにすることができた。また、骨格筋由来細胞外小胞は、肝臓マクロファージであるクッパー細胞の増殖を抑制することが明らかとなった。本年は、さらに、共同研究により血液脳関門のIn vitroモデルの確立を行った。本学では、細胞外小胞のプロテオーム解析ができなかったが、委託先(岡山大学・自然生命科学研究支援センター)と協力し、所属組織の多くの研究者が細胞外小胞プロテオーム解析を利用できる環境整備を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り、若齢・老齢マウス骨格筋由来の細胞外小胞には様々な違いがあることが明らかとなった。現在のところ、特定のタンパク質や糖鎖のみに注目しているため、網羅的な解析が必須となる。そこで、精製・濃縮した細胞外小胞をプロテオーム解析し、若齢・老齢の細胞外小胞の違いについて明らかにする。加えて、樹立した取込効率手法を用いて、若齢・老齢による違いを明らかにする。脳血管内皮細胞を用いて、血液脳関門破壊作用についても検証していく。また、差のあるタンパク質については、マウス血清から細胞外小胞を精製・濃縮し、標的タンパク質の有無や新規老化マーカーの確立を行っていく。本年の研究進展状況から、骨格筋細胞外小胞がクッパー細胞に影響し、且つ老化関連疾患に関与している可能性が出てきた。今後は、クッパー細胞が分泌する液性因子についても注目し解析を進める。
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