骨格筋におけるPGC-1αを介したカルジオリピン生合成機序の解明
Project/Area Number |
22K17831
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
佐藤 友紀 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (30908455)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | カルジオリピン / ミトコンドリア / リン脂質 / PGC-1a / リノール酸 / 運動 |
Outline of Research at the Start |
本研究はミトコンドリアを構成するリン脂質であるカルジオリピン(CL)の生合成機序を明らかにする課題である。持久運動トレーニングの継続は筋持久力を向上させ、ミトコンドリア生合成の活性化は筋持久力向上に寄与する変化の1つである。PGC-1αは運動効果獲得において重要な役割を果たす転写共役因子であり、ミトコンドリア生合成促進にも関与している。ミトコンドリア生合成活性化時にはその構成成分であるCLの生合成も活性化すると考えられるがその機序は明らかになっていない。そこで本研究ではCL生合成においてPGC-1αが重要な因子であるのか、加えてCL生合成の分子メカニズム解明に取り組む。
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Outline of Annual Research Achievements |
持久運動トレーニングはミトコンドリア量を増加させ筋持久力を高めることが知られており、この変化は転写共役因子PGC-1αの発現増加が引き金となっている。ミトコンドリアは内膜と外膜の二つの膜で形成される細胞内小器官である。カルジオリピン(CL)はミトコンドリアの内膜に局在するリン脂質であり、骨格筋ではlinoleoyl基(18:2)が4つ結合したCL(18:2)4がその大部分を占めている。このため、PGC-1α依存的なミトコンドリア生合成促進時には、de novo合成およびリモデリング経路の活性化によるCL(18:2)4合成促進が伴うと予想される。 CL(18:2)4の増加には細胞内のlinoleoyl基(18:2)が結合したリン脂質、ホスファチジルコリン-PC(18:2-PC)やホスファチジルエタノールアミン-PE(18:2-PE)量の増加およびoleoyl基(18:1)が結合したリン脂質との存在比(18:2/18:1)が重要であることが知られているため、PGC-1a遺伝子組換えマウス(TgおよびKO)におけるCLおよびPC、PE分子の変化を調べた。その結果、PGC-1a Tgマウスの骨格筋において、CL(18:2)4の増加(18:2/18:1)比の増加が確認された。一方で、PGC-1a KOによるCLおよびPC、PE分子影響は認められなかった。リン脂質分子の形成にはアシル基転移酵素が寄与しており、それぞれ基質特異性が報告されている。アシル基転移酵素LPCAT3やLPAAT3が18:2が結合したリン脂質形成に寄与するが、PGC-1a Tgマウスにおいてそれら遺伝子の発現量には変化がなく、(18:2/18:1)比の増加を説明し得るメカニズムは未だ見いだせていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物実験施設の改修にともない、計画的な遺伝子組換えマウスの繁殖が出来なかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は遺伝子発現レベルのみならずアシル基転移酵素のタンパク質発現を測定することで候補分子を探索する。アシル基転移酵素のタンパク質発現を検出するための抗体の多くは未開発もしくは検出効率が良くないものが多いため、それら結果のみにこだわらず理論的に候補とされる分子についてエレクトロポレーション法などを用いてin vivoの実験系で遺伝子操作を行い検討を続ける。 また、PGC-1aによるミトコンドリア機能の向上がCL(18:2)4の増加のみで説明できるかを脂質組成を変えた餌(高リノール酸食、高オレイン酸食)を用いて検証する。具体的にはミトコンドリア量が増えた一方でCL(18:2)4が増加しない状況を人為的に作り出し、その際のミトコンドリア機能をフラックスアナライザーなどを用いて検証する。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)