ドコサヘキサエン酸の酸化代謝物による抗動脈硬化作用の分子生物学的機序の解析
Project/Area Number |
22K17836
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
田島 彩沙 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (20780688)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | ドコサヘキサエン酸 / DHA / 動脈硬化 / 核内受容体 |
Outline of Research at the Start |
ドコサヘキサエン酸(DHA)は動脈硬化や認知症の予防効果を期待して健康食品で広く用いられているが、DHAの臨床試験での有効性については評価が未だ確定しておらず、医薬品適用には至っていない。申請者はDHAの血管内皮細胞への作用に着目し、低濃度のDHAによる動脈硬化抑制作用を確認した。本研究はそのメカニズムの更なる解析を進めるものである。本研究の成果によって、動脈硬化予防に対するDHAのより有効な適用方法を確立できるものと期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
ドコサヘキサエン酸(DHA)は、オメガ3系の多価不飽和脂肪酸であり中枢神経系への作用からアルツハイマーとの関係が知られている。しかし、本研究は、 DHAおよびDHA代謝産物の抗動脈効果の機序を解明することを目的としており、血管内皮細胞とマクロファージを用いて動脈硬化発生のモデル系を作成し、DHAの作用機序を細胞レベル及び分子レベルで解析を行っている。動脈硬化に対するエイコサペンタエン酸(EPA)の作用とその機序については多くの報告が見られるが、DHAの抗動脈作用機序は未だ明らかにされていない。これまでにDHAに関する疫学調査や臨床研究、動物実験の報告はあるが、本研究では培養細胞を用いたメカニズム解析を行っている。 申請者は動脈硬化初期段階の血管内皮細胞の酸化ストレスで発生する活性酸種(ROS)に対して、DHAがEPAの100分の1の濃度でそのROS生成を顕著に抑制することを見出した。一方、マクロファージ内に蓄積されたコレステロールに対しては、DHAが細胞外輸送を促進していることも確認した。これらの作用の実行分子がDHAそれ自体なのか、それともDHA代謝産物を介しているのかは現在確認中であるが、DHA代謝酵素の阻害剤を用いた実験では、現時点でDHA作用を無効化するには至っていないので、DHA自体が実行分子である可能性もある。また、DHAによる効果が核内受容体を介している可能性を示唆するデータも得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において、当初予定されていたDHA代謝産物の同定には至っていないものの、DHA自体の直接作用であることも踏まえ、機能解析を先に進めており、こちらは予定よりも早くメカニズムの解明ができると考えている。DHA代謝産物に関してはまずDHA自身の効果かどうかを明確にしてから進めるのが良いと考え、あえて先に進めていない現状である。しかし、研究全体としてはDHAによる抗動脈硬化作用のメカニズム解析は進んでいる。また、これまでの研究から、DHAの血管内皮細胞に対する効果には由来する臍帯によって個体差(DHA に対するnon-responder)が認められるが、その原因の検討からDHAの作用発現が低い個体でも、使用する培地の種類を置き換えることで、ある程度の効果が認められることが判明したことから、DHAの作用発現には細胞内の必須成分がある程度の濃度で存在している必要があると考えられる。そこで、現在その因子の絞り込みを行なっている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、単球細胞と血管内皮細胞の共培養系を用いて、これまでに明らかにしたメカニズムが細胞間相互作用においても実際に機能していることを証明する予定である。また、DHA代謝物質の関与については、DHA代謝経路の他の酵素阻害剤を用いて、DHA代謝産物の関与の有無を詳細に解析する予定であるが、実際にいくつかのDHA代謝産物を用いてDHAと同様の抗動脈硬化作用が認められるかどうかも検討する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)