脂質膜を貫通した疎水化DNAの自己集合による人工ナノポア構築の新手法
Project/Area Number |
22K17991
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 62010:Life, health and medical informatics-related
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 佑介 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (60830560)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | DNAナノテクノロジー / 自己集合 / 分子ロボティクス / 人工細胞 / リポソーム |
Outline of Research at the Start |
分子ロボットや人工細胞の筐体として用いられる脂質二分子膜小胞に,外部環境との物質のやり取りのためのナノポア構造を実装する必要がある.しかし,従来の方法では低効率でしかナノポアを実装することができない.本研究では,膜貫通した2本鎖DNAを機能するその場で自己集合させ,脂質膜に効率よくナノポアを実装する.構造と情報が一体となっているDNA分子を用いて自己集合パターンを分子自身にプログラムし,様々な孔径のナノポアを脂質膜小胞に実装する方法を確立する.以上を通して,脂質膜中での自己集合により機能するDNA分子デバイス開発を大きく進展させることを目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
本提案では,脂質二分子膜小胞(リポソーム)の膜中に,人工DNAナノポアを効率良く実装するための新手法を開発することを目指している.完成したDNAナノポア構造を膜挿入するという従来の手法とは異なり,膜中に埋め込んだ2本鎖DNAを自己集合させナノポアを構築することを計画している.本年度は,環状に自己集合可能なユニット構造の設計およびそれらの膜貫通の評価に注力した.膜貫通のためにDNAに修飾した疎水分子が,形成されたポア部分に干渉することを避ける必要があるため,DNA二重らせんの位相を考慮した設計を行なった.また,任意のタイミングで自己集合を制御するため,外部からのトリガー分子の入力でユニット構造の自己集合が開始される設計とした.設計した分子が脂質膜を貫通することを,NBDとジチオナイトの還元反応により確認した.さらに膜貫通状態でトリガー分子の添加に応じて自己集合が開始されることを分子量の増加に伴う拡散速度の変化により確認した.自己集合の効率には課題が残るものの,本提案の根幹をなす分子機構を確立することができた.また,本提案では,DNAを機能するその場で自己集合させることで効率良くDNAナノポアをリポソームに実装するアプローチを主軸としているが,疎水分子を修飾したDNAナノポアと界面活性剤であるコール酸ナトリウムを混合すると,リポソーム膜への導入効率が向上することが示された.当該成果については,学術論文として報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代表者の異動に伴いう実験室の新規立ち上げなど当初想定していなかった困難もあったが,おおむね当初の計画に沿った進捗が得られている.さらに,界面活性剤の援用による疎水的DNAナノ構造の精製など,当初の計画には見込まれていなかった成果も得られており,おおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に確立した機構を用いて,脂質膜貫通DNA分子の自己集合によるナノポア形成を推進する.その一方で,現状の設計ではユニット1つあたりの作製コストが高かったことから,トライアンドエラーを円滑に行うために,これまでに開発した機構を踏襲しつつもコストを抑えた設計を考案した.今後は,新たに設計したユニット構造を用いて,研究目的の達成を目指す.
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)