Project/Area Number |
22K17994
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 62010:Life, health and medical informatics-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
根本 孝裕 大阪大学, ヒューマン・メタバース疾患研究拠点, 特任准教授(常勤) (10928295)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 指向性進化法 / 次世代シークエンシング / 負の二項分布 / データ解析パイプライン / NGS / アデノ随伴ウィルス |
Outline of Research at the Start |
指向性進化法は、自然界の進化を人工的に引き起こすことで、タンパク質を目的のタスクに合わせて最適化する手法である。手法は2018年のノーベル化学賞の対象ともなり様々な分野で応用されている。最近のシークエンシング技術の発展により、指向性進化法のあり方も変わってきているが、未だにシークエンシングに内在する大きな揺らぎを正確に記述した理論は開発されておらず、現場ではこの大きな揺らぎが元になる混乱が多い。本研究計画では、負の二項分布を用いてシークエンシングに内在する大きな揺らぎを正確に記述し、指向性進化法で重要になる量(濃縮度)を信頼区間込みで推定することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
指向性進化法は、2018年のノーベル化学賞の対象ともなったタンパク質開発手法である。この手法では、DNAの塩基配列をランダムに変異させた変異種を多数用意し、それらを目的のタスクに合わせて繰り返しスクリーニングする。その結果ランダムな変異種の中から、目的のタスクに合わせて最適化された変異種が濃縮される。指向性進化法では、出来るだけ少ないスクリーニング回数で最適化された変異種を同定することが重要になるが、最近、スクリーニング回数を減らす目的で指向性進化法実験に次世代シークエンシングを取り入れる動きが見られる。ここで問題になるのが、次世代シークエンシング、特にPCR増幅エラーに付随したノイズである。2022年度は、このノイズを上手く制御するデータ解析ツール:ACIDES (Accurate Confidence Intervals for Directed Evolution Scores)を開発した。2023年度は、その論文投稿に関連して、追加実験をまず行った。特に複製実験(replicates実験)がある12個の公開データに対し、既存の5つのアルゴリズムとACIDESの性能比較評価を系統的に行った(論文の図5)。査読者とのやり取り後、最終的に論文はNature Communicationsに受理され、2023年12月に出版された。Pythonで書かれたACIDESのスクリプトはGitHubで公開され(https://github.com/nemoto-lab/ACIDES)、誰でも利用出来る状態になっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ解析パイプライン(申請書中で「推定アルゴリズム」と記述したもの)の内容を論文としてまとめるのは、研究計画の3年目の予定だった。その理由として、共同研究者の実験結果とデータ解析パイプラインの内容を一つの論文にまとめたかったことが挙げられる。しかし、既存の手法と比較した際の我々のデータ解析パイプライン(ACIDES)の効率が予想以上に高かったため、急遽手法のみの論文を発表することになった。2022年度に投稿した論文に対し、2023年度は追加実験を行い、その結果、論文はNature Communicationsに受理され出版されたことから、研究計画はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目は計画通り、ACIDESの対外発信を進めて行くと同時に、ACIDESを次の研究ステップにも繋げていく予定である。例えば、(i) 人の目(ex-vivo)の網膜を使ったAAV2(2型アデノ随伴ウイルス)に対する指向性進化法実験が既に共同研究者によって行われたが、その実験データに対するACIDESの応用研究や、また(ii) ACIDESでも使われる統計モデルの数理的構造を、より深く理解するための基礎研究などが現在進められている。
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