Project/Area Number |
22K18030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 63020:Radiation influence-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
清水 直登 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 助教 (10911589)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | MRE11 / 相同組換え / DNA修復 |
Outline of Research at the Start |
相同組換え修復(HR)は、放射線によって誘発されるDNA二本鎖切断(DSB)を修復する経路である。MRE11はヌクレアーゼ活性を持ち、RAD50やNBS1と直接結合することで、MRN複合体を形成し、HRの初期ステップである削り込み反応を行う。その際、RAD50のダイナミックな構造変化が、MRE11による削り込み反応に重要である。本研究では、MREの新機能を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
相同組換えは、DSB切断端の5’末端からヌクレアーゼによる削り込みを受けることで開始される。削り込みによってできる3’末端が突出した一本鎖DNAは、RAD51蛋白質依存的に姉妹染色分体の相同領域に侵入する。侵入した一本鎖DNAの3’末端からDNA合成が起こる。DNA合成後、 DNA四本鎖からなる中間体、Joint molecule構造が生じる。このJoint molecule構造は、GEN1ヌクレアーゼなどによって切断され、相同組換えが完結する。MRE11ヌクレアーゼは、相同組換え修復の初期反応である DSB切断端の5’末端の削り込み反応に関与すると言われている。以前の報告では、50%程度の削り込み反応低下では、相同組換え頻度に影響を与えないことが示されている。そして、酵母におけるMRE11ヌクレアーゼ活性欠損及び遺伝子欠損の表現型は、極めて重篤な相同組換え欠損を示す。したがって、削り込み反応におけるMRE11の機能だけで、MRE11変異による重篤な組換え欠損が説明できるかは不明である。相同組換えにおけるMRE11の DSB切断端の5’末端の削り込み反応以外の機能を解明し、 MRE11変異による重篤な組換え欠損を示す原因を明らかにするために、MRE11ヌクレアーゼ活性欠損(MRE11-/H129N)することが可能なヒトTK6細胞を使った。MRE11-/H129N細胞では、野生型に比べ、相同組換え中間体(Joint molecule構造)であるIso-chromatid breakが顕著に増加した。そして、GEN1の過剰発現によって、放射線照射によって増加した Iso-chromatid break形成が抑制された。このことから、TK6細胞において、MRE11ヌクレアーゼは、 5’末端の削り込み反応以降に形成される組換え中間体の解消に重要な役割を果たしていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TK6細胞において、MRE11ヌクレアーゼは、 5’末端の削り込み反応以降に形成される組換え中間体の解消に重要な役割を果たしていることがわかった。相同組換え進行を調べるために、MRE11を条件的に欠損(MRE11-/-)あるいはヌクレアーゼ活性欠損(MRE11-/H129N)することが可能なヒトTK6細胞を使い、DSB発生に応答して形成されるRAD51 fociの経時変化を調べた。RAD51 は、姉妹染色分体の相同領域に侵入する反応に必須であり、相同組換え進行を解析する分子マーカーである。MRE11-/-及びMRE11-/H129N細胞は、放射線照射後、RAD51 foci形成が野生型細胞と同程度であった。一方で、これらの細胞では、RAD51 foci消失が遅れた。これらのことは、5’末端の削り込み反応以降の相同組換え過程にMRE11が重要な機能を担っていることを意味している。また MRE11-/-及びMRE11-/H129N細胞では、野生型に比べ、相同組換え中間体(Joint molecule構造)であるIso-chromatid breakが顕著に増加した。GEN1ヌクレアーゼの過剰発現によって、放射線照射によって増加した Iso-chromatid break形成が抑制された。このことから、TK6細胞において、MRE11ヌクレアーゼは、 5’末端の削り込み反応以降に形成される組換え中間体の解消に重要な役割を果たしている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに多くの変異が、ヒトMRE11で見つかっている。見つかったMRE11の変異は、疾患を引き起こすことがある。例えば、243番目のアミノ酸がトリプトファンからアルギニンに変異すると、毛細血管拡張性運動失調様症候群を引き起こす。この疾患は、免疫系や神経系に障害を起こす難病である。243番目のアミノ酸をアルギニンに置換したMRE11(MRE11 W243R /W243R)を発現するTK6細胞を作り、これまで同様にRAD51 fociの免疫染色や染色体分析を行い、相同組換え過程における影響を調べていく。 また、野生型ヒトMRNおよびMRE11の243番目のアミノ酸をアルギニンに置換したヒ トMRNタンパク質を精製する 。この精製したタンパク質とモデルDNAを用いて、MRE11変異体による相同組換え中間体の解消を生化学と高速原子間力顕微鏡 (HS-AFM)を用いた一分子レベルの可視化解析を統合的に行い調べる。 MRN がどのような構造変化によってJM構造を解消するのかが分かると同時に、2分子のMRE11 が協調して、JM構造を解消するのかも可視化を通しても明らかにする。
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