獣害全体モデルの構築:生態学的要因と社会的要因を内包した対策計画
Project/Area Number |
22K18052
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 64040:Social-ecological systems-related
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大谷 洋介 大阪大学, COデザインセンター, 准教授 (70750909)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | 野生動物管理 / 野生動物保全 / 獣害対策 / カメラトラップ / 獣害 / 鳥獣害 / 種間関係 / 深層学習 |
Outline of Research at the Start |
国内外で社会課題となっている獣害問題に対しては「生態学的調査に基づいた地域に合わせた対策」が有効であるとされている。しかしこれには2点の問題が存在する。ひとつ目は社会的要因を考慮に入れる必要があること、ふたつ目は複数種の加害動物の同時調査が困難であることである。 本研究では研究者が常駐せずとも継続的に複数種に対するモニタリングを行うことを可能とするシステムの開発および種間関係や対策状況、住民の状況など広範な条件を含んだモデルを構築することにより、「獣害問題」全体の構造を明らかにすることを目的とする。またそれによる社会課題としての獣害問題を深く理解した専門家の育成を副次的目的とする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
国内外で社会課題となっている獣害問題に対しては「生態学的調査に基づいた地域に合わせた対策」が有効であるとされている。しかしこれには2点の問題が存在する。ひとつ目は社会的要因を考慮に入れる必要があること、ふたつ目は複数種の加害動物の同時調査が困難であることである。本研究では研究者が常駐せずとも継続的に複数種に対するモニタリングを行うことを可能とするシステムの開発および種間関係や対策状況、住民の状況など広範な条件を含んだモデルを構築することにより、「獣害問題」全体の構造を明らかにすることを目的とする。加えて、農業被害を原因とした絶滅危惧動物の違法駆除や、獣害による収入減少や労働時間の増加による教育・ジョブトレーニング機会の逸失等が生じている国外(マレーシア等)の事例においても同様の調査を行う。 本年度においては、過去のデータの再分析を含め獣害問題の社会的側面および住民の意識変容について明らかにする和文の学術論文及び報告を各1本出版した。これらの論文からは、関係人口の参入により地域住民の自助、共助の意識が向上するという結果が得られた。またモニタリングシステムの開発に向けて自動撮影カメラを設置し、新たに公開された深層学習モデルの適用による高精度の動物検知、種判別機能の実装に取り組んだ。加えて、特にニホンザルを対象とした顔認識システムの精度向上に向け、個体識別サポートアプリの開発による継続的な学習データ収集の枠組みの構築に取り組んだ。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度においては、過去のインタビューデータおよび獣害対策に関する活動記録に新たな分析を加えることで、関係人口が獣害発生地域に関わることによるポジティブな影響およびそれが生じるプロセスを明らかにした。獣害対策への関係人口の参入は地域住民の公助への依存意識を下げ、自助、共助による対策を喚起する効果があることが示唆された。本研究の目的のひとつである社会的要因を内包した対策モデルの立案に向けて貴重な知見を得た。 また自動モニタリングシステムの構築においては、新たに公開された深層学習モデルの適用による認識精度の向上が示唆され、次年度以降の開発方針に目処が立った。 加えて国外における獣害対策モデルの構築はストレッチゴールとしていたが、Covid-19の蔓延状況が落ち着いたことから次年度における実施の目処が立ち、予算の一部を繰り越してこれに充てることとした。
|
Strategy for Future Research Activity |
生態学的要因と社会的要因を内包した対策モデルの構築に向けて、両側面の調査を継続して実施する。主として大阪府下に自動撮影カメラを設置し、また地域住民へのインタビューを行うことにより特に都市近郊における獣害発生状況および住民の意識を明らかにする。また並行して自動モニタリングシステムの構築、実装を進め、省労力での状況把握の実現を進める。 また日本とは獣害問題を取り巻く社会状況が大きく異なるマレーシアにおいて獣害発生状況、対策実施状況および住民の意識に関するインタビュー調査を実施する。
|
Report
(1 results)
Research Products
(2 results)