微量元素徐放性リン酸カルシウム担体によるメタン生成菌の選択的凝集
Project/Area Number |
22K18059
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 64050:Sound material-cycle social systems-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
梅津 将喜 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (30891387)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | メタン生成菌 / 金属担持 / リン酸カルシウム / 微量金属 / 微生物付着 |
Outline of Research at the Start |
遷移金属元素は微生物の細胞組織や酵素の構成成分として利用されている。中でもメタン生成菌はニッケルやコバルトを含む金属酵素によってメタン生成代謝を行うことから、これらの遷移金属の補給により嫌気性消化性能が向上することが知られている。 本研究ではリン酸カルシウム中にニッケルやコバルトのイオンを置換固溶させることで、廃水中で金属イオンを局所的に放出する微生物担体の開発に挑戦する。これにより金属元素の持続的な供給を行うとともに、遷移金属要求性の高いメタン生成菌の選択的凝集を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、微量元素を徐放するリン酸カルシウム担体を作製することで、遷移金属要求性の高いメタン生成菌を選択的に凝集することを目的としている。 本年度は代表的な高温水素資化性メタン生成菌であるMethanothermobacter thermautotrophicus純粋株を使用し、ニッケルイオンの徐放が凝集およびメタン生成代謝に与える影響を評価した。水酸アパタイト(HAp)粉末に炭酸ニッケルを混合し、圧縮成形の後1200℃で2時間の加熱をすることで焼結を行った。焼結とは、粉末粒子を高温で加熱したとき粒子が互いに結合しながら固化する現象で、焼結体全体の表面積が減少することで緻密体を形成する。これによりニッケルイオンの放出を抑制し、ニッケル徐放性の水酸アパタイト担体を作製できると考えた。未焼結のニッケル含有HAp圧縮成形体を培地に入れたところ、培養1日程度で培地全体が緑色に変色し、高濃度のニッケルイオンが直ちに放出されたことが分かった。一方1200℃で焼結したニッケル含有HApでは、未焼結体と比較してニッケルの放出量が数百分の1程度に抑制された。また、ニッケルを除いた培養培地にこれらの担体を添加したところ、焼結したニッケル含有HApを添加した区ではメタンの生成が起きたのに対し、未焼結のニッケル含有HAp添加区ではメタンの生成がまったく見られなかった。これらの結果より、焼結によってニッケルの過剰放出を防ぐことでメタン生成菌への毒性を抑えることができたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度にあたる本年度は、焼結法を用いることでニッケル徐放性の水酸アパタイト担体を作製し、代表的な水素資化性メタン生成菌であるMethanothermobacterへの添加培養実験を行うことができた。未焼結体と比較し、ニッケルの放出量を抑えることでメタン生成菌への毒性が抑えられたが、ニッケル含有HAp上へのメタン生成菌の凝集やメタン生成の促進は見られなかった。したがって次年度では、ニッケルの担持量や緻密化を制御することによって、メタン生成菌の選択的凝集が可能なニッケル放出量を検討していく必要がある。また、本年度はDNA解析によるメタン生成菌の定量ができなかったが、次年度からリアルタイムPCRが新たに使用できるようになったことから、より精密にメタン生成菌の付着量を評価することが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は水素資化性メタン生成菌であるMethanothermobacterを実験に使用したが、メタン生成代謝経路によって使用する金属酵素が変わることから、水素資化性メタン生成菌と酢酸資化性メタン生成菌では要求する金属元素の種類や量が異なると考えられる。そこで次年度は、酢酸資化性メタン生成菌であるMethanosaeta conciliiに対し同様の実験を行い、メタン菌種ごとのニッケル要求性の違いを利用した選択的凝集の可能性を調査する。またニッケルと同様に、メタン生成代謝に不可欠な遷移元素であるコバルトを担持したリン酸カルシウム担体を作製し、メタン生成菌の凝集およびメタン生成代謝に与える影響を評価する。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)