Project/Area Number |
22K18077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
川添 達朗 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (90780437)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
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Keywords | 生物多様性 / 関係人口 / リモートセンシング / GIS / 哺乳類 / カメラトラップ |
Outline of Research at the Start |
過疎化や高齢化の影響で、地域社会の自然に対する働きかけはアンダーユースな状態になり、生物多様性の危機が生じている。近年、地方創生事業として関係人口の創出が注目され、それにともない人と自然との関わりが増加し始め、生物多様性を保全する担い手として、地域社会の役割が見直されてきている。 本研究では自然科学的な手法と人文学的な手法の学際的なアプローチにより、哺乳類を中心とした生物多様性を評価し、定住人口や関係人口などの地域社会の活動が自然環境に与える影響の実態解明を行う。それによって、生物多様性と地域社会の関連をより広範に理解できるとともに、持続可能な地方創生の方策につながることが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
生物多様性を保全する担い手として、地域社会の役割が見直されてきている。しかし、過疎化や高齢化の影響で、地域社会の自然に対する働きかけはアンダーユースな状態になり、生態系の荒廃や人と野生動物の軋轢が起き、生物多様性の危機が生じている。近年、地方創生事業として関係人口の創出が注目され、それにともない人と自然との関わりが増加し始めている。しかし、このような関係人口の増加による人と自然との関わりの変化が生物多様性に与える影響について詳細に検討した報告はない。 本研究では自然科学的な手法と人文学的な手法の学際的なアプローチにより、哺乳類を中心とした生物多様性の評価と、定住人口と関係人口の自然との関わり方の実態解明を行う。これらの知見を統合することで、生物多様性と地域社会の関連をより広範に理解できるとともに、持続可能な地方創生の方策につながることが期待される。 本年度は、9月に鹿児島県肝付町及び南大隅町においてフィールド調査を実施した。野生動物の生息状況のモニタリングのために、過年度に設置していたカメラトラップのデータ回収とメンテナンスを行い、データ収集を継続して行った。また、肝付町及び南大隅町においてインタビュー調査を実施し、農業や漁業、養蜂といった生業活動およびそれらを利用した地場産業や生産品の活用方法や販売の実態、野生動物の出没状況について聞き取りを行った。カメラトラップデータの分析からは、野生動物とくにニホンジカの生息範囲が年を追うごとに拡大していることが示唆された。また、インタビュー調査からは地域ごとに地場産業を生かした特産品の生産や販売規模に違いがあること、また地域住民の間でも取り組みに対する意識の違いがあることがうかがわれた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染拡大のため、予定していた地域のいくつかで十分な調査を実施することができなかった。十分なインタビュー調査を行うことができなかったことに加え、長期での野外調査が実施できず、本年度の夏に予定していた、ニホンザルの行動調査のためのGPSテレメトリー発信機の装着を行うことができなったため、「やや遅れている」とした。一方で、過年度のデータを含むカメラトラップによる野生動物の生息状況調査については、データ入力および予備的な解析を行うことができ、一定の進捗はあった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ひきつづき鹿児島県肝付町および南大隅町を中心に野生動物調査とインタビュー調査を中心に現地調査を実施する。新型コロナの感染拡大も収束しつつあり、昨年度実施できなかった、野生動物へのGPSテレメトリー発信機装着を優先して行う予定である。2023年8月までにGPSテレメトリー発信機の購入手続きと研究協力者との調整をすすめ、秋季までには現地に生息している野生ニホンザル2頭に発信機を装着することを目指す。また、これまでに実施しているカメラトラップを使用したデータ収集も、継続的なモニタリングに加え設置範囲と台数を増やして引き続き実施する。過年度のデータも含め、分析結果を学会発表等を通して公開する。現地での聞き取り調査も、複数の地域で等質なデータを収集できるように質問事項を精査するとともに、聞き取り対象者を増やして実施する。また、調査地域の人口や産業構造に関する行政データを取得し、GISを利用して人口動態を可視化することに取り組む。
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