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ベトナムにおける「サイゴン・ノスタルジー」ブームの生成過程に関する研究

Research Project

Project/Area Number 22K18087
Research Category

Grant-in-Aid for Early-Career Scientists

Allocation TypeMulti-year Fund
Review Section Basic Section 80010:Area studies-related
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

大泉 さやか  東京大学, 教養学部, 特任講師 (50826740)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2026-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Keywords分断国家 / ベトナム / 記憶 / サイゴン / ノスタルジー / 冷戦
Outline of Research at the Start

ベトナムでは、2010年代以降、文化・芸術分野において、南北分断期(1954年~1975年)の南ベトナムのサイゴンに関して、懐古の情を表現する「サイゴン・ノスタルジー」ブームが起きている。北ベトナムの体制を引き継いだ現体制の下でなぜそれが可能になったのか。本研究では、「サイゴン・ノスタルジー」ブームの生成過程を検討し、ノスタルジーという視角から、国家分断期に関する記憶の表象のあり方、変容について考察することを目的とする。国家の公定認識や政策と人々の記憶や感情の相互関係の中で表される新たなノスタルジーの表象のあり方を提示することを目指す。

Outline of Annual Research Achievements

2023年度は当初の予定通り、「サイゴン・ノスタルジー」を表現した出版物、音楽、映画などにおいて、流通が許可されるよう、制作者側が語り方、表現方法を調節する自主規制はいかに行われているかを中心に考察した。加えて、国家の公定的な南ベトナム認識の変化に関する追加の資料収集も実施した。具体的な活動としては、2023年8月25日から8月29日、9月3日から9月9日、2024年2月25日から3月4日の間、ホーチミン市およびハノイに出張し、資料収集や観察を行った。それ以外は国内において、資料の読解等を行った。
2023年度の研究を通して、1点目に、2010年代以降、南ベトナム時代について肯定的な評価ができるようになった要因として、対米関係、在外ベトナム人との関係の改善・接近だけでなく、南シナ海問題をめぐる対中関係も関わっていることが新たにわかった。2点目に、「サイゴン・ノスタルジー」を表現した出版物、音楽、映画等では、南ベトナム時代であることに言及しない、または南ベトナム時代を象徴する事物を社会主義ベトナム的なものに置き換えるという方法で政治問題化を避ける傾向があることが明らかになった。3点目に、「サイゴン・ノスタルジー」ブームは、古書や古物の収集とその披露(骨董市)の形でも広がっていることを調査できた。
成果物としては、『史学雑誌』に、2022年度における東南アジア史研究の動向をまとめた論考を掲載することができた。東西冷戦時代の東南アジアに関する注目が高まっていることを指摘したが、その流れの中で本研究の意義も高めることができると考えられる。これ以外には、昭和女子大学において行った発表において、南ベトナム時代のアオザイに対する今日の評価に言及した。アウトリーチ活動としては、同大学の学生と企画した映画鑑賞会の中で南ベトナム時代を扱った映画を取り上げ、解説を作成した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2023年度は新型コロナウイルス感染症の流行も収束し、ベトナムへの渡航も予定通りにできた。研究活動の結果、次のように成果発表への道筋が見えているため、上記の評価とした。2023年度の研究によって、なぜ2010年代から「サイゴン・ノスタルジー」ブームが起きているのか、南ベトナム時代について積極的に評価することができるようになったのかは、対米関係、在外ベトナム人との関係だけでなく対中関係からも説明ができることがわかった。また、「サイゴン・ノスタルジー」を表現する際に、政治問題化を避けるための手法、傾向を類型化して把握することができた。これらの成果は今後、論文としてまとめることができると考えている。

Strategy for Future Research Activity

2024年度は、当初の予定の通り、ベトナム本国で表現される「サイゴン・ノスタルジー」は、(「難民」として海外に定住した)在外ベトナム人のコミュニティにおいて表現されるサイゴンへのノスタルジーといかなる相違、往還があるかを調査するため、アメリカへの渡航を計画する。加えて、2024年度に研究した内容のフォローアップとして、ベトナム国内、特に南部における出版事情についても追加で調査を行いたい。
2025年度は、南北分断期を直接経験していない世代(1970年代後半以降生まれ)、ベトナム北部でも「サイゴン・ノスタルジー」が受容され、人気を得ているのはなぜかを研究することになっているが、2023年度の調査でも、「昔のサイゴン」をコンセプトとしたあるカフェの創設者がベトナム戦争以降の生まれであることがわかっている。これまでに得たヒントを基に調査を進められるのではないかと考えている。

Report

(2 results)
  • 2023 Research-status Report
  • 2022 Research-status Report
  • Research Products

    (5 results)

All 2023 2022 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (2 results) (of which Open Access: 1 results) Presentation (1 results) Book (1 results)

  • [Int'l Joint Research] ベトナム国家大学ハノイ校附属ベトナム学・開発学院(ベトナム)

    • Related Report
      2022 Research-status Report
  • [Journal Article] 東南アジア(2022年の歴史学会―回顧と展望―)2023

    • Author(s)
      大泉 さやか
    • Journal Title

      史学雑誌

      Volume: 132(5) Pages: 278-285

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  • [Journal Article] 辞典案内2022 ベトナム語2022

    • Author(s)
      大泉さやか
    • Journal Title

      教養学部報

      Volume: 635 Pages: 8-8

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      2022 Research-status Report
    • Open Access
  • [Presentation] アオザイの歴史と革新アオザイをめぐる動向2023

    • Author(s)
      大泉 さやか
    • Organizer
      昭和女子大学国際文化研究所主催「ベトナムの衣生活:衣服調査成果と現代のアオザイ」ミニシンポジウム
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  • [Book] 『現代ベトナムを知るための63章【第3版】』2023

    • Author(s)
      岩井美佐紀(編著)、大泉さやか、下條尚志ほか54名(共著)
    • Total Pages
      440
    • Publisher
      明石書店
    • ISBN
      9784750355290
    • Related Report
      2022 Research-status Report

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Published: 2022-04-19   Modified: 2024-12-25  

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