中東の国家間対立と「公的イスラーム」の役割:国家の正統性と法学者ネットワーク
Project/Area Number |
22K18097
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
池端 蕗子 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 准教授 (70868249)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 公的イスラーム / ウラマー / 国家間対立 / 国家の正統性 / イスラーム法学 |
Outline of Research at the Start |
中東・湾岸地域にはいくつも域内の国家間の対立があり、特にイスラーム諸国間のイスラームをめぐる深刻な対立があって、「宗派対立」も生じている。これらの国々では、社会のイスラーム性を称揚する場合でも抑制する場合でも、国家が「公的イスラーム」を唱えて正統性を強化する傾向が強く、その内容が外交関係にも影響を及ぼす。本研究では、国家と法学者たちの相互関与の中から「公的イスラーム」が構築される過程を解析し、法学者の国内外のネットワークが公権力に与える影響、国家と法学者の協調・競合関係、各国が護持する「公的イスラーム」が地域内で国家間の対立と融和に作用する実態を考究する。
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Outline of Annual Research Achievements |
20世紀半ば以降のグローバルな宗教復興以降、宗教的な規範が政治と密接に結びついてきた。特に、現代中東・イスラーム諸国において、宗教的な規範は内政・外政双方と密接に結びつき、国家間関係や国際的な合意形成にも影響を及ぼしている。これらの国々では、イスラーム性を称揚する場合でも抑制する場合でも、国家の側が「正しいイスラーム」や「公的な教義」を唱えて正統性を強化する傾向が強い。本研究はこうして国家が形成する規範を「公的イスラーム」と名づけ、それが国家の正統性強化にどの程度有効に働いているのか、国家間の緊張・対立・融和の国際関係の動態においてどのような作用をしているのかを考究するものである。 本年度前期は、「公的イスラーム」概念について日本中東学会年次大会で口頭発表を行い、イスラーム法学の専門家、研究者らから有益なフィードバックを頂いた。先行研究の精査も行った。これまでの「公的イスラーム」研究は各国研究として蓄積されてきたが、本研究では「公的イスラーム」の国際的な相互関係に着目している。したがって各国の制度研究と並行し、国際機構、国際組織や、イスラーム法学者(ウラマー)の国際的ネットワークに着目して研究を進めた。 本年度夏季はサウディアラビアとヨルダンにおいてフィールドワークを実施した。サウディアラビアにおいては、イスラーム諸国の国際機構であるイスラーム協力機構(OIC)本部と、その下部組織である国際イスラーム法学アカデミー事務所などに訪問し、事務局長らにインタビュー調査を行った。ヨルダンでは、特にウラマーネットワークに関係する書籍の収集を行うとともに、国内外の教育ネットワークについて大学やイスラーム教育施設に訪問しインタビュー調査を行った。これらのインタビュー調査の成果については、本年度後期に国際会議において英語で口頭発表を行ったほか、国内の研究会等でも口頭発表を行い成果公開に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サウディアラビアとヨルダンでの現地調査で、有益なインタビュー調査と資料収集ができたため。また、現段階での成果については積極的に国内外の学会・研究会で口頭発表を行い、成果公開に努めたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度はイギリスで開催される英国中東学会年次大会と、アルゼンチンで開催される国際政治経済学会の世界大会に参加予定であり、国際的な成果公開に努めるとともに、論文としての刊行を目指し執筆活動に努める。さらに現地データの収集が必要であるため、カタール、エジプトでのフィールドワークも予定している。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)