Project/Area Number |
22K18118
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 80030:Gender studies-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
工藤 晴子 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (20910037)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 難民・強制移動 / 第三国定住 / アメリカ合衆国 / テキサス州 / 難民保護 / ジェンダー / セクシュアリティ / クィア移住 / 庇護 / 国境 |
Outline of Research at the Start |
性的マイノリティの人々のなかには非規範的なジェンダーやセクシュアリティを理由に、ときに強制的な移動を経験し難民としての保護を必要とする人々がいる。本研究はそうした難民の経験と移民・難民政策の構造的問題を検討することで、国境を越える移動とセクシュアリティの関連性を難民保護をめぐる規範と政治から明らかにする。アメリカ合衆国における「第三国定住プログラム」と呼ばれる難民受け入れの制度を調査分析の対象とし、「難民」の選別にセクシュアリティの規範がどのように作用するのかを明らかにし、また、移動の主体である難民の周縁化への抵抗や交渉といったリアリティから移民/難民といった区別やカテゴリーを問い直す。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、第三国定住レジームとセクシュアリティの規範の関連性に特に焦点をあて研究を進めた。冷戦期から現在までのアメリカにおける庇護政策と第三国定住政策に関する資料・データを収集、分析しながら第三国定住のアクターの特徴や言説を捉えることを試みた。9月にはニューヨーク州とカリフォルニア州にならぶ難民受け入れを実施するテキサス州のダラス市を訪れ、ダラス市移民受け入れ担当課(Welcoming Communities and Immigration Affiars)、第三国定住コーディネーター、第三国定住難民受け入れ団体、弁護士等の訪問・聞き取りを行なった。連邦政府レベルの第三国定住受け入れ政策が、その実施・運用においては州レベルと市レベルで異なる様子や、2021年の政権交代、ウクライナ難民、アフガニスタン難民の受け入れについて、アクターごとに様々な影響を受けていることがなどがあきらかになった。また、ダラス市においては、前年度調査を実施したニューヨーク市やオークランド市とは異なり、宗教関連NGOによる受け入れが、地域における難民の統合において重要な役割を果たしていることが確認できた。難民の集住地域のなかにあるコミュニティーセンターをキリスト教系NGOでの聞き取りと観察からは、難民を隣人として迎え入れる「他者の受け入れ」の実践が読み取れたといえる。こうした第三国定住政策実施の環境の中で、クィアな難民は「脆弱性」を備えた集団のためのカテゴリーのもとで保護の対象となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究課題の2年度目にあたるが、おおむね順調に進展している。その理由として、特にフィールド調査を予定通り実施し、関係者への聞き取りと資料収集を計画通りに進めることができたことがあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題を今後はカナダとの比較を視野に入れて進めることを検討している。2023年にアメリカは民間支援(Private sponsorship)による第三国定住プログラムを開始したが、そのモデルとなっているのがカナダの制度である。カナダではこの民間支援制度のなかでこれまで多くの性的マイノリティの難民が受け入れられてきたことや、異性愛中心的な「家族」の定義が問われてきたこと、トロントを拠点とするNGOがアメリカにも拠点を置き活動を始めたことなどから、アメリカの新しい民間支援制度を読み解くためには、カナダにおける制度の位置付けを確認し、現代的な特徴をとらえる必要があると考えられる。
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